悪役に好かれていますがどうやって逃げれますか!?

菟圃(うさぎはたけ)

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ウロを拠点で過ごし始めて早一週間が過ぎた。
思っている以上にウロでの生活は快適だった。

精霊達に周りを警戒してもらいながら、ウロから出ると空は雲で覆われていて気分が少し陰鬱になった。
食糧もまだあるけど森から出るとなると心元なくなってきているから、調達する為に僕は久々にウロから出て地面に降り立った。

地面は昨日降った雨のせいで若干泥濘んでいるけど、滑る程ではないから精霊達に目星をつけてもらっていた食物の所まで徒歩で進んだ。
精霊達は今日も楽しそうに会話をしている。

最近はこの状況を楽しむことができる程心の余裕ができ始めてきた。
食物のところに辿り着くと違和感を感じた。

何故かこの森では見たことがない食物が木の枝に刺さっていたからだ。
屋敷で過ごしていた時に良く食べていた果実で、この果実はエルフの森で取れる果物だったはず。

この場から急いで離れなければと思いたったが、その認識は完全に甘かったようだ。
既に白い鎧を着た騎士達が僕を中心に円状に囲まれていた。

精霊達は何やら酔っ払ったような動作で騎士達の周りを漂っている。
何やら精霊達にしたようだけど全くわからない。

ただその事によって精霊達に僕のお願いがなかった事になってしまったようだ。

「無様ねネヴィレント」

聖騎士達の間を縫って愛が姿を現した。
愛の姿を直視しない為か騎士達が急に跪き、愛を崇めるような行動をとり始めた。

跪く程度では僕を逃す事はないという高慢な行動。

「怖くて声も出ないのかしら?」

愛の挑発するような発言に乗ってやろうと思う。

「君こそ聖騎士を連れていないと僕と会話ができないくらい怯えているんでしょ?」

この発言をした途端、ふくらはぎに激痛が走って膝を地面についた。
激痛が走ったところを見れば矢が刺さっていて、血がぼたぼたと流れ出ている。

まるで話し方に注意しろと言わんばかりの撃たれ方だった。

キッと愛を睨みつけると愛は嬉しそうに顔を歪めた。
この歪んだ表情に愛は全く反省をしてなくて、そして今回の件も僕を罠に嵌めるために考えた事なんだろう。

人を貶める事に関しては頭が回るようで。
今だに流れ出る血がじわじわと僕の命を削っていく。

「そうして跪いているのがお似合いよ?」

愛の忌々しい笑みに水魔法をお見舞いした。
バシャンと顔が濡れて一瞬で愛の顔から笑みが消えて、真顔になったと思ったと同時に腕が切り落とされた。

ガクンと体が地面に打ち付けられて、一瞬何が起こったのか理解できなかったが襲ってくる腕からの痛みで切り落とされたことがわかった。
聖女ってだけでこんなに過保護にされるんだね。

痛みでそれどころではなくなって、切り落とされた腕より上に蔦が腕に巻かれる感じの想像をして魔法を発動すると問題なく腕のところに蔦がきつく巻きつけられた。

「器用なことをするのね?」

愛から嬉しそうな声が聞こえる。
顔を上げる程の気力がなくて、ただ声を聞くだけの状態になる。

「あんたがここで問題なく死ねば攻略対象が全部私の物になるんだから早く死になさいよね」

なんで僕がそんなくだらないことの為に死んでやらなければならないんだ。

「やっと愛しのラグザンド様をまともに攻略できると思うと嬉しい!あんたのせいですぐに攻略できなかったのだから死んで詫びなさい」

僕を殺してから、僕のを奪うというの?
許せない。

僕を殺して、自分は幸せになる?
そんな未来…許してはならない。

心の奥底からどろりとした何かが湧き上がってきた。
それに身を任せれば僕の意識はそのどろりとした何かに飲み込まれてしまった。
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