悪役に好かれていますがどうやって逃げれますか!?

菟圃(うさぎはたけ)

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「本当にネヴィレントの中に魔王が存在しているみたいだね…。しかし、ネヴィレントと全く姿が変わらないみたいだけど…」

意識がはっきりしたのはラグザンドがお父様を呼びに行ったあたりだった。
今はお父様にじっと見つめられていてこの状況に若干困惑していた。

頭の中では魔王の声がずっと響いていて結構うるさい。

「僕もよく分かってないんだけど…」

「ふん、この姿が私の姿な訳がないだろう。お前を騙す為にこの体の持ち主の姿を写しただけに決まっている」

魔王が僕の体を使って誇らしげに胸を張っている。
僕の体を使って胸を張っているから、そこまで威張っている感じがしない。

「そうなんだね…少しだけ話を聞いたけど、ネヴィレントが特別な魂の持ち主だからと言っていたけど、それは本当なのかな?」

「本当に決まっているだろう!魔王は特別な魂の悪意ある感情でしか生まれないのだからな!」

魔王…段々と子供らしく感じてくる。
もしかして僕の年齢に引っ張られているとか?

でも僕こんな感じではないんだけど…

「魔王ってこんな感じだったんだね?ネヴィレントが少し威張って話しているみたいで可愛らしいね」

魔王ですら可愛いと言えるお父様にびっくりだよ。
まあ、魔王っていえば確かに偉そうに話したりしたり、それに伴って偉そうな行動をするのは理解できるけど、この魔王は全くその感じがしないんだよね。

「私は何も威張ってすらないぞ?」

魔王…他から見れば威張っているように見えるでしょ。
それを心の中で呟けば魔王が抗議する声が聞こえるけど僕はそれを全力で無視した。

「どうしてもネヴィレントが威張っているようにしか見えないね。本当に魔王としての危険性が高く見積もれないよ」

お父様のその言葉に魔王の抗議の声がぴたりと止まった。
嫌な予感がして僕はお父様から距離を取ろうとしたけど、体が全くいう事を聞いてくれなかった。

「私の本当の姿を見せてやろう」

魔王が僕の体を使用して急に魔法を使い始めてきた。
泥みたいな物を出して僕の体に被せてくる。

泥の中は意外にも息が問題なく吸う事ができた。
体は痛みを伴う事なく勝手に大きくなっていき、肌の色も灰褐色に変わっていく。

見慣れない自身の肌に驚きも感じつつも、大きくなっていく自分に何か感慨深さを感じた。
泥が僕の体から離れていく止まった、いつもとは違う高さの景色が見えた。

この普段とは違う目線の高さにキョロキョロと周りを見渡していると、お父様とパチリと視線があった。
お父様と目線が合うのはお父様が僕を抱っこした時か、お父様が僕の視線に合わせてしゃがんでくれた時ぐらいしかない。

だからかなり僕の身長が高くなったんだろうなって思う。

「ネヴィレントが成長すればこんな感じになるんだね…。私には見れない成長が見れてすごく嬉しいよ」

お父様の目から涙がほろりと落ちた。
そっか僕ハーフエルフだから成長が遅すぎて成長しきる前に人族であるお父様は亡くなってしまうからね…

そう考えると僕も悲しくなってポロポロと泣き始めた。
泣くつもりなかったのに悲しい感情が溢れ出てきて涙が止まらなかった。
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