悪役に好かれていますがどうやって逃げれますか!?

菟圃(うさぎはたけ)

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「私の体を使って勝手に泣かないでくれないか?」

涙がぴたっと止められてびっくりした。
涙まで勝手に止められるとは思いもしなかった。

魔王って身勝手なんだなって再度認識した。

「そうだ私は身勝手な存在だ」

僕の心の中の言葉を勝手に口で返事しないでほしい物だ。
プライバシーがあった物じゃない。

「ネヴィレントと魔王の意識が混在している状態では簡単に対処できないね」

お父様が僕に近づこうとした瞬間、魔王が急にお父様に魔法を放った。
すぐにお父様が魔法を切り伏せて、魔法を無力化してくれた。

急なことで対処ができなかったけど、また魔王が魔法を放とうとした時魔力を意識的に霧散させて、魔法自体を無力化させた。
魔法で勝手なことは絶対にさせない。

僕だってかなり魔法に対しては訓練していて、自分でほぼ完全に操れるようにしているから魔王に勝手に魔法を使わせない。

「ふーん。意外とハーフエルフなのにかなり能力が高いみたいだね。でもこれはどうにもできないだろうね?」

魔力とは全く違う感じが僕の中で急に蠢き始めてきた。
あまりにもの気持ち悪い感覚に吐き気を覚えた。

おかしい感覚にこれは危ないと感じてお父様に離れるように伝えたかったけど声が全く出なかった。
手が勝手にお父様の方に向けられる。

「降魔」

魔王がその一言を発するとお父様の前に真っ黒な肌を持った人が現れた。
降魔という言葉に魔のものを降臨させる言葉だった。

魔法という概念とは別の物を利用してこの人を召喚したんだ。
魔族とはまた別の存在を降臨させるなんて普通はできない。

だからこそ魔王は世界を恐怖に陥れる事ができたんだ。
そんな存在が僕の中にいるなんてゾッとした。

この存在をどうにかしないといけない。
お父様の目の前に召喚された人は意識がまるでないのかぼーっとした表情をしている。

ぼーっとしている表情も意識がぼーっとしている感じではなくて、意識そのものが全くない状態に見える。

「その人族の男を殺せ」

魔王のその一言で急にぼーっとしていた人の目に光が宿り、急にお父様に襲いかかった。
その魔族?みたいな人は自分の爪を魔法で伸ばしてお父様を攻撃している。

お父様は剣で対処しているのに爪は全く折れる事なく剣戟を繰り広げている。
その状況を止めたいのに体も声もいうことが効かない。

共存という言葉は生ぬるくてほぼ体の権限は魔王に握られている。
魔力だけは僕の権限にあるみたいで安易に魔法を打たせることは防げるけど、それ以外のことを僕は止めることができない。

お父様と魔族の戦闘をただただ眺めるだけしかないのだろうか。
もしかすると僕の体の中でも何かできるのではないのだろうか。

意識が魔王と共有している状態だからまずはその意識の共有を切ることから始めよう。
ばれたら困ることなんだから。

「助けれるものならやってみろ」

魔王の言葉を無視して僕は意識を別のところに集中させた。
まずは魔力を目に纏わせて何か見えないかと探った。

色々と探ってみると僕の体から線がキラキラした線が一本出ていた。
その線を辿ってみるとお父様を襲っている魔族に繋がっていた。

その線が切れるか試そうとした時、魔王の慌てる声が脳内で響いたけどそれを無視して僕はその線を魔法で断ち切った。
すると目の前で魔族が宙で体制を崩してそのまま床に落ちていった。
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