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Case.6:悠と朱莉 第3話:境界線の崩壊
しおりを挟む「……ん、……ふわぁぁ。よく寝たー」
夕闇が完全に部屋を支配した頃、ベッドの上で朱莉がようやく身じろぎをした。
呑気な欠伸の音に、俺の神経が逆立つ。
数時間前、俺がすぐ横で、お前の寝顔を見ながらどんなに惨めで最低な行為に耽っていたかも知らずに。
「あ、悠、起きてた? めっちゃスッキリしたぁ~。やっぱ悠の部屋って落ち着くわ……」
「……何がスッキリした、だよ」
俺の低い声に、ようやく朱莉が異変を感じたのか、ベッドに座り直して俺の顔を覗き込んできた。
「え、ごめん。怒らせた? わたし、めっちゃ寝てたよね……なんか予定あったとか?」
「……お前、いい加減にしろよ」
立ち上がり、逃げ場を塞ぐように彼女をベッドへ押し戻す。
朱莉の肩を掴む手に、思わず力がこもった。
「痛っ、悠? 何、急に……」
「お前さ、昨日、もし修也が勝って、『一発ヤラせろ』なんて頼まれてたらどうするつもりだったんだよ。あいつだって男だぞ? 押し倒されて、酒のせいで抵抗もできなくて、そうなってから後悔しても遅いんだよ!」
「え、いやいや……修也がそんなこと頼むわけないじゃん。それに、そんなこと心配しなくても……」
「心配してんじゃねぇんだよ……っ!」
楽観的なその一言が、俺の中で溜まっていた焦燥感に火をつけた。
俺は彼女を完全に組み伏せ、両手首を頭上に押さえつける。
「ほら、抵抗してみろよ。……今のお前なら、酒も抜けてるだろ。本気で嫌なら、俺の手を振り解いて逃げろ」
「……っ、悠……? 冗談でしょ……?」
「冗談に見えるか?」
俺の目は、きっと昨日までの『優しい親友』のそれじゃない。
俺は迷うことなく、その唇を乱暴に塞いだ。
***
ブラウスを強引にまくし上げ、露わになった白い肌に、呪いをかけるように深く、執拗にキスマークを刻んでいく。
「んっ、……ぁ……っ、……やだ、悠……っ!」
掌で包み込んだ柔らかな膨らみ。
その敏感な頂を、嫌がらせのように指先で何度も乱暴に弾く。
「……あ、……んっ、……ぁ……っ!」
「抵抗する気あんのか? 可愛く啼いてんじゃねーよ」
スカートの奥に手を滑り込ませ、震える熱い場所に指を沈める。
執拗に、ねっとりと掻き回すと、くちゅり…と卑猥な水音が響いた。
俺は濡れた指先を引き抜き、彼女の顔の横に突きつける。
「……お前、口では嫌だって言いながら、俺の指、こんなにトロトロにしてんぞ」
「……っ、……いじわる、…っ!」
「いじわるしてんのはどっちだよ。…、……。お前のせいで、俺の、もうこんなんなんだけど」
強引に彼女の手を引き寄せ、盛り立った自身を握らせる。
「ちょ、...やめてよ」
「責任取れ」
俺はサイドテーブルの引き出しを荒く開け、中から薄い小袋を取り出した。
パチン、と乾いた音を立ててゴムを装着すると、朱莉が息を呑む気配が伝わった。
逃がさない。ここから先は、もう戻れない領域だ。
数時間前、彼女の傍で一人吐き出した空虚な熱を上書きするように、俺は彼女の最奥へと自分を沈めていった。
「……っあ、……ぁぁっ! ……悠、……悠、……っ!」
激しく腰を叩きつけるたびに、二人の皮膚がぶつかる生々しい音が響き渡る。
朱莉の瞳が快楽で潤み、俺の名前を叫ぶその姿に、俺の中の独占欲がようやく満たされていくのを感じた。
***
行為が終わった後、静まり返った室内。
俺は、まだ少し潤んだ瞳をしている朱莉を抱き寄せた。
「……悠、……あんな顔するなんて、思わなかった」
朱莉は俺の胸に顔を埋め、消え入りそうな声で続けた。
「……怒らせてごめんね」
「いいよ」
「……なんで、こんなことしたの?」
そんなの、お前が好きだからに決まってんだろ、と言いかけて口をつぐむ。
「なんでだと思う?」 不安そうに俺を見上げる朱莉の唇に、優しいキスを落とす。
「好きだよ。朱莉。ずっと、お前だけみてた」
「ゆう、ほんとに?……わたしも、……好き。ずっと、……悠の優しさに甘えてたの」
「……もう、どこにも行くな。……次、あんな無防備なことしたら、昨日よりずっと、酷いことしちまうかも」
「……うん。悠以外には、もうしない」
かわいい俺の彼女を、もう誰にも触れさせない。
その誓いと共に、俺は朱莉の唇に、もう一度優しく触れるキスを落とした。
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