それぞれの空~another story~

藤原葉月

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第26話

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かららん

正也さんの店に入るある人・・・・
「いらっしゃい」
「よぉ!」

一樹さんだった。
仕事の帰りみたいだ。
「一樹、やっと来てくれたか・・・待ってたぞ?」
「ごめん、ごめん。忙しくてなかなか来れなくて。」
「ふーん?まぁ、座れよ。聞きたいことあるから」
「えっ?き、聞きたいこと?」
無理やり座らせると・・・・

「はい」
と、コーヒーを出してくれて、自分も座った。
「で?聞きたいことって?」
「・・・・・聞いたんだ、西田さんから
「えっ?き、聞いたって?」」
「莉佐さんのこと・・・・」
そう言うと、一樹さんの顔が曇り・・・
「そ、それは、みんなに迷惑をかけちゃダメだって思ったから」

「・・・迷惑だって思うわけないじゃん。何年の付き合いだよ、俺たち」
「いや、衛もいてくれたし・・・。なんとかやってるんだ」

莉佐のことを、忘れるために・・。

「そうだったなー。君にはちゃんと相談相手いるもんねー」
と、遠い目をする正也さん。
「・・・正也?」
「みんなが心配していたからさ。特に、榊さんと東さん・・・。お前が莉佐さんに再会してるのに様子が変だったって。付き合ってるはずなのに一緒にいなかったしって。ほら、あの凛子さんの服の、お披露目パーティで」
「・・・・そ、そうだったなー・・・」

「俺たちは、お前のなんだよ。」
「・・・・・・」
「いざと言う時に頼れる仲間が沢山いるんだからさ、1人で抱え込むなよ。仕事にも響くぞ?」
「・・・・・」
「まぁ?衛さんにはかなわないかもしれないけどさ。
お前はひとりじゃないってこと、よーく覚えていてくれよな」
と、正也さんに激励され・・・・

「ありがとう、正也・・・・」

涙を流した一樹さんだった。



そして、優子さんと榊さんが話しているところに

「《裕!》」
そう言って近づいた女子。
「えっ?裕?」
《凛子さん・・・》
そう、凛子さんだった。

「《こんにちは》」
と、頭を下げる凛子さん。
「こんにちは・・・、あの?こちらは・・・・・・」

《あっ、彼女は凛子さん。実は僕、彼女とお付き合いをしようと思っているんです》

と、言われ優子さんは驚いている。
「《付き合う?本当に?》」

《はい、もう決めたんです》

「・・・・{榊さん}」

(彼が決めたなら何も言えない・・・・でも・・・・)
優子さんは、彼の一途な思いを知っているからこそ、また、なにもいえずにいた。

「それじゃあ」

ニコリと笑う彼女。
どこかで見た気はする。
2人と別れ・・・・・

「・・・・・」

いつまでも見つめていた。


そして、部屋の片付けをしている東さんの元に、
「大地君、ただいまー!」
「あっ!凛子ちゃん、まだ入っちゃダメ!」
と、止めたのだが・・・
「うわぁー、すごい・・・」
「ごめん、散らかしてるから・・・。お、おかえり」
「うん、ただいま。大地君、綺麗好きなんだね!」
「いや、ごちゃごちゃ置くの好きじゃなくてさ・・・」
「夕飯できたよ?一緒に食べよう」

「あれ?榊さんは?一緒に帰ってきたんじゃ?」
「なんか、忘れ物を取りに行ったわ」
「・・・・そう。じゃあすぐいくよ」

そして・・・

《優子さん・・・・》

【忘れ物】・・・ではなかったようで?

呼び出したのは、優子さんだった。

「《榊さん、ごめんなさい。呼び出したりして・・・。美月ちゃんがいなくなっちゃったの》」

《美月ちゃんが?あの、心当たりはありますか?》
「《全然ないの・・・・・》」
優子さんは、走ったせいか辛そうにしている。

《優子さん、あなたはもう帰って。無理しちゃダメですよ。せっかく授かった命なんですから。あとは僕が何とかします。暁美さんには?》
「《暁美は今、出張でいなくて・・・。いなくなったこと知らないの・・・》」
《そうだったんですか・・・》

「《美月ちゃん、本当はママにたくさん言いたいことあるはずなのに》」
《きっと、近くにいるはずです。探してきます》


そして

「遅いな、裕・・・」
「あっ、メールきたよ?生徒さんのひとりが迷子になっちゃったから探しに行ってきます・・・だって・・・・」
「そっか。仕方ないよね・・・・
久しぶりに腕、奮ったのに・・・」
と、落ち込む凛子ちゃん。

「どれも美味しかったよ!凛子ちゃん、料理上手だね」

「こんな足になってからは、作れるものは限定されちゃうけどね・・・・。」
「そうかなぁ。料理上手な女の子で榊さんは幸せ者だなー」
「えっ?でも、それは大地君も同じだよ」
「えっ?僕がー?」
「部屋に飾ってあったの見たよ?ねぇ?もしかして、彼女?」
「えっ?みたの?」
あの写真を・・・・・
「えーっとそれは・・・」
「やっぱり、彼女なんだ」
「・・・正確には、《だった》かな・・・・」
「だった?過去形・・・・?」

「今はもういないけど・・・」

この世にもういない女の子だけど・・・・


「いない・・・?」
「あはは!でも今でも写真を飾ってるなんて未練がましくてかっこ悪いよね?」
「えっ、そんなことない」
「・・・・・」
「大地君、その子のことを一途に思っているんだよね?なんか、羨ましいな・・・・
大地君、優しいから大事にしてくれそうだもん」
凛子さんは、素直にそう言った。

「ね?」
「ありがとう」


一方の榊さん達は・・・・

《・・・・・》

美月ちゃんのすがたを見つけて・・・

「美月ちゃん・・・・」

《・・・・・》
無事だったのだ。

彼女は、ビルの間にいた。
「・・・・・よかった」


《どうして・・・・こんな所に》

「《わかんない。目隠しされて連れてこられた》」
《連れてこられた?》
「⇳誘拐?」
《・・・・・・》

どうしてそんなことを・・・・
一体誰が・・・・

《誰なのか、わかる?》
美月ちゃんに聞いたが
《わかんない》

そうか。
《とにかく、帰ろうね?》

と、美月ちゃんとてをつなごうとしたら

「美月!」
《・・・・・》
「暁美・・・」
そう、暁美さんが来たのだ。
《ママ》
「どうしてここにいるの?優子・・・」
「えっと、それは」
そして、榊さんを睨むと
「まさかまたあなたが連れ出したの?」
《・・・・・!?》
「違うわ!暁美・・・彼は・・・・」
「どうしてあなたはいつも私の前に現れるの?」
《・・・・・・》
上手く読み取れない。だが、彼女が僕を否定している言葉であることには違いない。


「《いくわよ?美月》」
そう言って、背を向けた。

「私と、榊さんとで、みを探しに来ていた音に!」
「えっ?」
優子さんは、そう言って
「榊さんが黙って美月ちゃんを連れ出すわけないでしょう?」
「・・・・・」
「美月ちゃん、いなくなっちゃって・・・。私が榊さんにお願いしちゃって。美月ちゃんは、目隠しされてここに連れてこられたらしいの」
「・・・・・」
「連れてこられる前に見た人はいるかきいたら、その人は・・・・《いい所に行こう、2人で》って。その人の声、聞こえないけど・・・匂いが嗅いだことあるって・・・。ねぇ?暁美は心当たりない?」
「・・・・あるわけないでしょう?」
《あの・・・。僕はもう、帰りますね。美月ちゃん見つかりましたから》
榊さんは、そう言って・・・・


「《榊さん、でも・・・・》」
《美月ちゃんが無事でよかったですね》
そう言ってニコリと笑って去っていこうとした。
「・・・・・・」

暁美と目が合って・・・・
「な、なに?」
《おやすみなさい》
彼は静かにそう手話をすると、行ってしまった。


「ねぇ?メールきてるよ?」
「あっ!それはダメ!」
あるメールをクリックしてしまった凛子ちゃん。
【ウルトラマン様】
「えっ?ウルトラマン?(どこかで聞いた気が・・・)」
「いや、あの・・・・それは!榊さんのメル友で・・・・」
「【ウルトラマン様、わたしはあなたに会いたいです・・~~】あれ?このメールアドレス・・・」
「・・・・?」

読みかけて、メルアドに気づく凛子ちゃん。
「えっ?まさか凛子ちゃんの知り合い?」
「ううん、似てるの見たことあるから」
(このメルアドって、まさか・・・)
と、思う凛子ちゃんと、
(言えない・・・。言えないよ・・・メル友の相手が、榊さんの片思いの人だって・・・)


と、思っている東さん。

カララン

「あっ!帰ってきた。行こう、凛子ちゃん」
「・・・・・」

と、玄関まで2人で迎えに行った。

《ただいま》
「《おかえりなさい!生徒さんは見つかりましたか?》」
《はい、おかげさまで無事でした。待たせてごめんなさい》
そして、凛子さんはそんな榊さんを後ろから見ながら・・・・


「(裕は、まだあの人と繋がっている)」

どうやら、先ほどのメルアドが誰のものか知っているようで?


「《裕・・《ごめんなさい》》」
《えっ?凛子さん、なぜ謝るんですか?》
「《このメール、間違えてみちゃって・・・》」
《・・・・・・》
驚く榊さん。
「《あっ!そうなの!・・・僕が間違えて消しちゃって・・・・》」
《・・・・・そう、でしたか・・・》

動揺してないふり?
「(大地君・・・・・?)」

《2人とも、明日早いんですよね?もう、休んでください》

「《うん、そうする。じゃあ、おやすみなさい》」

「《私も、まだ、仕事あるから。おやすみなさい》」

と、ふたりはそれぞれの部屋に入った。

《・・・・・・》


榊さんは、先程のメールを、開いてみた。
ゴミ箱に入っていたから。

【ウルトラマン様】
《・・・・・・・》

消されてなどいなかった。

《あなたに会いたいです。どうしたら会えますか?》


パソコンの前には暁美さんがいて、返事を待っているみたいだった。
「暁美さん、例の人から返事は?」
「・・・・私、振られたのね」
「でも、そのメールの相手が本当に男の人なんですか?」
スタッフは、疑っていた。
「口調からして何となくそんな気がするだけ。さぁ、仕事仕事!」
と、仕事の続きをしていた。


《・・・・・》

《ぼくは、遠くからあなたを見ているだけの立場です。会う資格なんてないんです》
そう、返事をしようとしたら・・・・
「《裕・・・》」
凛子さんが起きてきて・・・
《凛子さん・・・まだ、起きていたんですか?》
「《このメルアドの相手・・・・暁美さんでしょう?》」
《ど、どうしてそれを・・・》

「《裕がずっと片思いしてる人・・・・》」
そこへ、東さんも起きてきてきいてしまった。

「・・・・・」


《でも、それは・・・・》

「《ねぇ?裕・・・。約束して。もう、彼女のこと・・・・》」
《・・・・はい、約束します。もう、メールはしないことにしました。いま、送ったメールが最後です》
「《えっ?いいの?裕・・・・》」
《いいんですよ。決めたことですから》

「・・・・・・」

2人のやり取りを静かに聞いている東さん。

「《キスして?裕・・・・》」《・・・・・・》
2人は静かにキスをしていた。
見ていられず部屋に入った、東さん。

「・・・・・・」
(どうしてだろう。2人をまともに見れない。

なぜだか涙が止まらない)

パタン

戸が閉まる音がして・・・
構わずキスをしている2人。
ぼくは・・・・

「彼女のこと、好きなんじゃないの?」
正也さんの言葉に・・・、

「そ、そんなわけないよ」

ずっとずっとそう言い聞かせてきた。
ドアにもたれ掛かり・・・・、涙が止まらない。

東條さん・・・・。
僕は・・・・
僕は、彼女の事が好きなんでしょうか?
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