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武司の恋
第5話
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「おはよう!武司、もう、大丈夫なのか?」
「あれ?みんなは?」
「もうみんな出掛けたよ。おまえは?」
「今日は、午後からだから。」
「そっか。でも、無理すんなよ?」
「博巳兄さんは?」
「仕込み頼んどいた。お前が起きるまで心配だったからな」
「そっか。ありがと。大丈夫。そんな、弱くねぇよ」
「そうだな。じゃ、行ってくるわ。なかなか揃わないな。」
「そういうもんでしょ?行ってらっしゃい」
昌也が出ていくと、この家は、シンとしていた。
外では、ルキアさんが、呼び出し音を、鳴らすかどうか戸惑っていた。
「よし、俺も早めに出掛けるか・・・」
と、ドアを開けると・・・・
「あっ!」
「ルキア・・・・」
「わ、忘れ物・・・・」
「ふーん」
「じゃなくて・・・おはよう」
「おはようの時間じゃねぇじゃん。」
「・・・・・」
「今から仕事?カギかけとくね。」
「・・・・・」
「な、なに?」
ち、ちかいんだけど。
「あんたさぁー」
「だから!なに?」
「顔近づけたら、すぐ赤くなるんだな」
「そ、そんなの当たり前だろ!」
「ふーん。じゃ、行ってきます」
「・・・行ってらっしゃい・・・」
そう言いながらも、距離をいつの間にか縮めていた二人。
「なぁ、ルキア・・・」
「えっ?」
「いや、なんでもない」
そう言って武司は、出ていった。
ルキアは、内心ドキドキしていた。
「・・・どこに落としたのかな・・」
使えるかわからないけど・・・
手をかざそうとした瞬間・・・
「あれ?ルキアさん?」
「えっ?健斗さん?」
「静かだからさー、誰もいないかと思った。どうしたの?何か忘れ物?」
「忘れ物・・というか、落とし物というか」
「へぇ~。大事なもの?」
「そんなんじゃないよ。東城さんに、もらったんだけど」
「えっ?あの人?」
「出会った記念にって」
「えっ?出会った記念にって、いきなりもの渡すとかありえないし・・・」
「もらったわたしもわたしなんだけど・・・
かわいいピアスだったし。」
「ふーん・・・」
「でも、やっぱりわたしなんかには似合わないから、返そうと思っていて・・・・」
「・・・・なんかって。」
「あなたもそう思うでしょ?」
「そんなことないよ。そのピアスが似合うと思ったから東城さんってひとは、くれたんだろうし」
「ありがとう。優しいんだね」
「・・・なんかって言わないでよ」
「・・・」
「僕たちを殺そうとしたこと、今でも気にしてるでしょ?でも、ここは地球だし。あれから1年以上経つし、もう忘れてよ。ルキアさんは、ルキアさんらしくいてくれればいいから。」
この前、博巳さんにも同じことを言われた。
「僕もね、最初はイナンのこと好きになるとは思わなかったよ。ひとは、そんなすぐに好きになるはずないのに・・
きっかけがあると違うよね・」
「そうなんだね。」
「僕も手伝うよ。確かにこの部屋に置いていったの?」
「うん。たぶん・・・・」
「よし!探そう」
「・・・でも、結構散らかってるね」
「・・・ごめん。片付けるね」
「こっちこそ、ごめん。忙しくて引っ越し手伝えずにいたから。」
「・・・・やってみる・・・」
「えっ?」
ルキアさんは、目を瞑って手をかざした。
すると、不思議なことに物が動いている。
「すごい」
「・・・・使えた・・・」
そして、その゛忘れ物゛は見つかった。
「あった。」
「よかったね。」
そして、散らかっていた部屋はいつのまにか片付いた。
「ありがとう、健斗さん、手伝ってくれて」
「どういたしまして。帰っちゃうんだ。」
「東城さんに、返さなきゃ。」
「・・・1人で大丈夫?」
「大丈夫よ。ありがとう」
なんだか、すごくくすぐったい。
ルキアさんが出ていってすぐに、
「ただいまー」
武司が、帰ってきた。
「武司兄さん、早かったね」
「今日は、撮影だけだったし。ルキアは?もう、帰った?」
「落とし物、見つけたからついさっき帰ったよ?」
「忘れ物じゃねぇの?」
「あの、東城って人にもらったプレゼントだったらしいよ。」
「プレゼント?物好きなやつだな。」
出会ってすぐにプレゼント攻撃?
「返すって言ってた。」
「えっ?なんでまた。」
「じぶんには似合わないものだからって」
「だったら、その場で返すだろ?」
「ねぇ、なんか嫌な予感する・・・・博巳兄さんの言う通りあの人・・・・ルキアさんを、狙ってるんじゃ?」
「まさか」
「それとね、話変えるけど」
「切り替え早いな」
「ついさっきね、ルキアさんが力使うの、初めて見ちゃった。」
「・・・・えっ?なんだ。使えるんじゃん」
なんで、今まで・・・
「ねぇ!武司、心配だから、見に行こう」
「呼び捨てにするなよ」
「ごめんごめん。武司兄さん。武司兄さんが、ルキアさん守らなくてどうするの!!」
「えっ?俺が?」
「とにかく、行ってみようよ!僕は心配なんだ!」
「・・・・・」
「後悔してほしくない」
「・・・わかったよ。いけばいいんだろ?」
「意外と素直じゃん!」
その頃だった。
ルキアさんは、東城さんのもとにいた。
「君から会いに来てくれるなんてね。嬉しいよ」
「そういうわけじゃないんだけど。これを、返しに来ました。わたしには、似合わないものだから」
ピアスの入った袋を手渡そうとしていた。
「探し当てたんだ」
「えっ?」
彼の声色が少し変わった気がする。
「さすがだね」
彼は、ルキアさんに顔を近づけている。
「ち、近いんですけど。」
やっぱり、彼はただ者ではない。
「・・・・っつ」
ズキリと、痛む。
「武司?大丈夫?」
「ば、バカ、声がでかい」
「゛・・・武司?健斗・・・さん?」
気付かれてしまった。
「し、心配になっちゃって。ねっ、武司・・・」
「別に・・・せっかくもらったんだからつければいいじゃん。ピアス」
「げっ」
「なによ。」
「フフフ」
「それに、一度もらった物を返すなんてその方が失礼だ。」
「武司・・・なに、言ってるの?」
「君は、認めてくれるんだね。僕たちの交際を。」
「えっ?交際?」
「・・・・・」
「・・・交際するんだ」
「・・・」
こんなときまでケンカしてる。
「す、するわけないだろ!」
「いや、もう成立したから」
「えっ?成立?」
なんだかわからないけれど、すごく悪そうな顔をしている東城って人。
「武司、なんかあの人、おかしいよ?」
「逃げろ!二人とも」
「えっ?ルキアさん?」
「こいつは、カイトが送った刺客ってやつだよ」
「刺客?」
「あんたの兄さんの言う通りだ。こいつには・・・」
「そうさ。俺はおまえなんかどうでもいいんだ。俺はただ・・・」
バチーン
「あっ・・・・」
しかし、そいつは、ルキアさんに張り倒されると、気絶してしまった。
弱っ
け、結構強い人なんだ、ルキアさんって。
「二人とも、ありがとう。今のうちに行くよ」
「・・・・」
「見ての通りだよ。私なんか誰も・・・」
そう言うルキアさんの言葉を遮り、
「バカ!」
「ば、バカとは何よ!」
「・・・言ってみただけだ」
「えっ?」
「帰ろうぜ。」
「・・・・・」
「ごめんね、ルキアさん。あれでも、照れ隠しなの」
「照れ隠し?」
「゛なんか゛っていおうとしたルキアさんを、あいつなりに、慰めようとしているんだよ?」
「彼の気持ちがわからない」
ふたりは、いい感じなんだけどな~
なにかが足りないんだろうな~
二人のあとを追いながら、僕は思った。
そして、
「お、俺はあきらめない。あきらめないぞ」
気絶したはずの東城さんが、生きていた。
数日後・・・
「えっ?ドラマ?武司が、ドラマに出るの?」
「そう。なんか、勝手に抜擢されたというか、オーディション?受けろって。」
「樹が、武司しかいないって、推薦したらしいよ」
「ったく、俺は俳優なんてやらねぇっつーの」
「でもさー、この6人で出たら結構イケると思うんだけどな~ぁー」
「健斗!サボってないで付き合えよ」
「武司、お前も文句言わずやれよ。」
「そうそう。撮影は、任せて!」と、カメラマン和彦。
「俺のそばにいろよ」(セリフ)
「なんかさぁー、気持ちがこもってないんだよねー。こう言う時に限って、指導者の樹はいないし。」
「お、男相手に言えるかよ!」
「確かにねー。」
博巳は、監督っぽいことを、していた。
「じゃあ、ルキアさん呼ぶか」
昌也も今日は、付き合っているみたいで。
久しぶりに樹以外は揃っていた。
「えっ?」
「その方が、本気で演技できるんだろ?本物の女性だし。」
「うんうん!そうしようよ!」
「ルキアさんのためでもある。」
と、携帯を取り出し、電話をかけ始めた昌也。
「もしもし?ルキアさん?」
「えっ?番号知ってるの?」
驚く和彦兄さん。
「な、なんでだよ」
すでに、ジェラシーというのを、感じる。
ピンポーン
「ルキアさん!いらっしゃい!」
「・・・頼みたいことって?わたし、忙しいんだけど・・早くしてくれる?・」
「悪いけど、こいつのオーディションの相手役してやってくれる?」
「オーディション?」
「俺らじゃさー、女性役なんて勤まらなくて。
知り合いに、女性がいなくてさ。」
「な、なんで私なんだ。」
「ルキアさんしか、頼める女の人がいなくてさ。」
「で、武司、俺と博巳はこれから、店、開けなきゃいけないから。あとは、二人でよろしくやれよ」
「えっ?二人でって」
「ごめんな、今日は、予約入ってたの忘れていてさ」
「ちょっと、みんないてくれなきゃ困るよ」
「そ、そうです。いてください」
二人きりにしないでよ!
ふたりは、この時同じことを思っていた。
「悪いけど、時間だから」
「武司、頑張れよ!じゃあな」
「じゃあ、僕も、買い物行こうかな。ねっ!和彦兄さん。」
「俺は、いてもいいぜ!」
「ダメダメ!二人のほうがこう言うのは雰囲気出るからいいの!」
「こう言うときこそ、俺の出番」
妙にノリノリの和彦だったが、
「二人のためなんだから、お願い!」
と、耳打ちされ、
「フィルム足りないんだった。買いに行こうっと。
健斗、付き合ってくれるか?」
「もちろん!」
と、分かりやすい?嘘をつき、ふたりは、出ていってしまった。
「・・・・なんだそれ」
「・・・・わたしは、どうすればいいんだ。」
「・・・・わかるのかよ」
「だいたいは、教えてもらった。演技ってやつなんだろ」
「・・・・このセリフ、言ってくれればいい。」
ふたりは、見つめあった。
「俺のそばにいろよ」(セリフ)
「ダメよ!あなたは彼女と・・・・」(セリフ)
「好きだ!夏希!」(セリフ)
「・・・・」
「好きだ!」(セリフ)
「え~っと」
慣れないルキアさんは、途中で、戸惑っていた。
「はい、カット」
「えっ?」
「只の練習なんだから。」
「しょ、しょうがないだろ。初心者なんだし。」
「赤くなってるなぁーって」
「な、何よ!わかってるわよ。」
「でも、サンキュー」
「いい、練習台になっただろ?」
「えっ?」
「そう言うことだろ?」
本気で言ってるんじゃない。いつも、そうなんだ。
「レンも、そうだったんだ。きっと・・・」
近づく男はきっと・・・
「ルキア?」
「やだ、思い出したら、涙が・・・・」
「なんで、泣いてるんだよ。なんか俺悪いこと言ったか?」
「な、泣いてなんかいないよ」
だけど、ルキアさんは、泣いている。
涙が止まらずにいた。
「・・・・」
「き、気にせず続きを・・・・」
「泣くなよ」
「えっ?」
武司は、思わずルキアさんを抱き締めていた。
「あれ?なに?そういうこと?」
急に、ほんとに仕事が入った和彦兄さんは、仕事に行ってしまい、僕だけ帰ってきたら、なぜか抱き合う二人。
「なに?なに?イー感じじゃん!作戦成功!」
「は、離せよ!」
「俺のそばにいろ!そうすれば、お前を泣かせたりしないよ?」
セリフのような言葉を言う武司。
あれも演技?
シーン
(なんか、言えよな)
黙るルキアさん。
「・・・ごめん」
ルキアさんから離れ、
「いや、なんというか、俺らを憎んでいたルキアと違って・・その女らしいと言うか・・・・」
「フフフ、なんだよ、それ。」
ルキアさんは、笑った。
「笑った」
「あんたって、変なやつだね」
「なんだ。笑えるじゃん。ってか、よかった。笑ってくれて」
「えっ?」
しばらく、優しく武司に見つめられるルキアさん。
ますますいい雰囲気のふたり!
最高じゃん!
邪魔するの悪いなぁー
ずーっとふたりの様子を影で見ていたかったのに、その沈黙を破るかのように僕の携帯が鳴る。
プルルル、プルルル
ビクっと振り向くふたり。
「け、健斗。お前、いつからそこに」
「ごめーん。ずーっといたんだけどね~」
プルルル、プルルル
「電話出ろよ」
「もしもし?」
ぼくは、その場から離れることにした。
シーン
再び、シンとするふたり。
「す、好きでもないのに抱き締めるなよ!」
「おれはただ、心配だっただけだ」
「へぇ、じゃあ今まで好きになった女の子誰にでもやってたんだ」
「ちげーよ。おれはほんとに、心配で・・・・」
プルルル、プルルル
今度は、武司の携帯が、鳴った。
「・・・出ないの?」
「・・・・・・」
相手を見て、驚いている。
「どうしたのよ?出なさいよ」
「・・・・・もしもし?・・・・サキ?」
「・・・・!?」
その名を聞いたルキアさんは、固まっていて・・・
「ごめんねー、で?さっきの続きを・・・」
「邪魔みたいだから出ましょう、健斗さん」
「えっ?」
ぐいっと僕の手を掴み、その場を去ろうとするルキアさん。
「ね、武司。いま、大丈夫?」
「なに?なんか、用」
「用があるからかけたの。なんか冷たくない?ねぇ、いまから、会えない?」
「・・・・」
二人で出ていくところを見ながら電話する武司。
「ルキアさん?どうしたの?武司と、ケンカでもしたの?」
「今の電話、元カノから。」
「へっ?元カノ?まさか!うそだ!彼女とは、終わってるはずだよ?」
「どうせ、より戻そうとか言われたんじゃないの?あいつも、まだ、忘れてないみたいだし」
「えっ?元カノのこと、知ってるの?」
「知らないわよ」
「あのさ、さっきの・・・」
「さっきのは、演技だ。セリフは、違うかもだけど、演技ってやつだから。」
ルキアさんは、どんどん歩いていく。
本当に、演技なのだろうか。
「今さらなんだよ。」
「武司に、会いたくなっちゃって」
「・・・・」
「もう、近くにいるから」
「はぁ?いるって」
「帰っちゃうの?」
「もう、役目終えたしね」
そのときだった。
ピンポーン
「誰だろ?はーい!いま、開けまーす」
ガチャ
「こんにちわ」
「サキさん?」
「えっ?」
玄関にいたのは、武司の元カノサキさんで・・・・
「サキ!なんでここに・・・・」
武司が、玄関にきたやいなや
「武司!会いたかった!」
武司に抱きつくサキさん。
「・・・・・・」
「武司兄さん、これはどう言うことなの?」
こ、これはもしや。
「あたし、武司のこと忘れてないよ?」
「あの、俺にもさっぱりわからないよ」
「わたし、邪魔みたいだから、帰るね。じゃ。」
「ルキア」
「待って!ルキアさん、送るよ」
「ルキア待てよ!」
「誰?今の女の人」
「ッツ・・・・」
指輪が、激痛を与えたみたいだ。
「武司、大丈夫?」
「緒方武司。さっきのセリフ、その子に言ってやりなよ。その子が、一番聞きたいセリフだろうし。あんたが、言いたかったセリフだろう?きっと。」
いつねまにか、武司を、゛あんた゛呼ばわりしてるルキアさん。
「はぁ?なんだよ、それ」
「送らなくていいから。おやすみ」
バタン
「ルキアさん!」
「・・・・」
「武司、今の子、武司の今カノ?」
「ちげーよ。」
「じゃあ、只の友達?」
「・・・・・」
武司は、ルキアさんが出ていった方をただ、見つめている。
「武司!なんか言ってよ!」
問いただすサキさん。
「武司、ぼくは、ルキアさん心配だから送ってくる」
「あぁ」
ぼくは、ルキアさんを、追いかけることにした。
「武司、とにかく私は・・・」
「こっちで、話そう」
ルキアさんは、ただただ黙って歩いていた。
「ルキアさん」
そこに来たのは、なんと、東城明。
「あっ。」
「俺、ますます君のこと、気に入っちゃった。その顔は、例の彼にフラれたんだね。」
「えっ?彼女のせいなの?」
「別に、そういうわけじゃ・・・・」
事の発端とかサキに話した。そうしなきゃダメだと思ったからだ。
「だって、そうしなきゃ、その指輪、はずれないんでしょ?」
「この話、信じてくれるのか?」
「代わりにわたしが、そばにいてあげるよ。そうすれば、きっと。」
「なんでだよ」
「東城さん、私のことは、どうでも良かったんじゃないの?」
「いーや。気が変わった。俺、あんたのこと、本気だわ。あんたが好きだ。」
「なんでだよ。なんであのときそう言わなかった!もう、今さら・・・」
そう言うとサキは、武司に口づけをした。
「もう一度・・・付き合わない?私たち」
サキさんに、告白されている同じ頃・・・・
「いいよ・・・」
「本当に?よし!行こう!どこ、いこうか」
「・・・どこでもいいよ」
武司が、いないところなら・・・
ルキアさんは、どうやら、東城さんと出かけるのをOKしてしまい・・・・
「俺は・・・・」
武司は、その頃サキさんからの告白の返事をしようとしていて・・・・
「っ・・・・」
激痛に、耐えれなくなっていて・・・・
「武司?大丈夫?」
「・・・・・・」
そのまま、また、倒れてしまった。
「武司、わたしが・・・」
「・・・・・!?」
ルキアさんは、予感を感じた。
「どうしたの?ルキアさん」
「・・・・ごめん、忘れ物」
武司になにかあったのか?
ルキアさんは、走り出した。
「あっ!ルキアさん?」
走って戻ってきたルキアさん。
「ルキアさん?」
僕に気づかず通りすぎた。
「ルキアさん?」
なんか、すごく真剣な顔をしていた。
「武司!」
「あっ!あなた!」
「サキさん・・・?」
まだ、いたんだ。
やっぱり、ふたりは・・・・
「あなたのせいで、武司は苦しんでる!」
「倒れたのか?」
「呪いの指輪ってなに?あなたは一体、武司に何をしたの?」
「私は、べつに・・・」
それを、仕組んだのは私じゃないけど・・・・
「あなたがいるせいで、武司はきっとこれからも・・・」
「聞いたんだ。わたしの正体。」
「ほんと、くだらないわ。さっさと自分の国に帰りなさいよ」
そうできればとっくにしてるさ。
「・・・・・・そうだな」
「えっ?」
「武司は、きっとまだ、あんたを好きなんだ。」
「どう言うこと?」
「ルキアさん」
「あんたとなら、両思いってやつに、なるんだろうな。」
「ルキアさん、まさか」
「あたしは、もう2度とここには来ないよ。あんたが、これをはめて、武司にキスすれば、呪いは解けるよきっと。」
「ルキアさん、もしかして武司のこと・・・・」
ふたりは、ぼくの存在に気づいていない。
「本当に?」
ルキアさんは、自分の指輪を外すと、サキさんに渡した。
「さようなら」
ルキアさんは、その場からいなくなった。
「あれ?みんなは?」
「もうみんな出掛けたよ。おまえは?」
「今日は、午後からだから。」
「そっか。でも、無理すんなよ?」
「博巳兄さんは?」
「仕込み頼んどいた。お前が起きるまで心配だったからな」
「そっか。ありがと。大丈夫。そんな、弱くねぇよ」
「そうだな。じゃ、行ってくるわ。なかなか揃わないな。」
「そういうもんでしょ?行ってらっしゃい」
昌也が出ていくと、この家は、シンとしていた。
外では、ルキアさんが、呼び出し音を、鳴らすかどうか戸惑っていた。
「よし、俺も早めに出掛けるか・・・」
と、ドアを開けると・・・・
「あっ!」
「ルキア・・・・」
「わ、忘れ物・・・・」
「ふーん」
「じゃなくて・・・おはよう」
「おはようの時間じゃねぇじゃん。」
「・・・・・」
「今から仕事?カギかけとくね。」
「・・・・・」
「な、なに?」
ち、ちかいんだけど。
「あんたさぁー」
「だから!なに?」
「顔近づけたら、すぐ赤くなるんだな」
「そ、そんなの当たり前だろ!」
「ふーん。じゃ、行ってきます」
「・・・行ってらっしゃい・・・」
そう言いながらも、距離をいつの間にか縮めていた二人。
「なぁ、ルキア・・・」
「えっ?」
「いや、なんでもない」
そう言って武司は、出ていった。
ルキアは、内心ドキドキしていた。
「・・・どこに落としたのかな・・」
使えるかわからないけど・・・
手をかざそうとした瞬間・・・
「あれ?ルキアさん?」
「えっ?健斗さん?」
「静かだからさー、誰もいないかと思った。どうしたの?何か忘れ物?」
「忘れ物・・というか、落とし物というか」
「へぇ~。大事なもの?」
「そんなんじゃないよ。東城さんに、もらったんだけど」
「えっ?あの人?」
「出会った記念にって」
「えっ?出会った記念にって、いきなりもの渡すとかありえないし・・・」
「もらったわたしもわたしなんだけど・・・
かわいいピアスだったし。」
「ふーん・・・」
「でも、やっぱりわたしなんかには似合わないから、返そうと思っていて・・・・」
「・・・・なんかって。」
「あなたもそう思うでしょ?」
「そんなことないよ。そのピアスが似合うと思ったから東城さんってひとは、くれたんだろうし」
「ありがとう。優しいんだね」
「・・・なんかって言わないでよ」
「・・・」
「僕たちを殺そうとしたこと、今でも気にしてるでしょ?でも、ここは地球だし。あれから1年以上経つし、もう忘れてよ。ルキアさんは、ルキアさんらしくいてくれればいいから。」
この前、博巳さんにも同じことを言われた。
「僕もね、最初はイナンのこと好きになるとは思わなかったよ。ひとは、そんなすぐに好きになるはずないのに・・
きっかけがあると違うよね・」
「そうなんだね。」
「僕も手伝うよ。確かにこの部屋に置いていったの?」
「うん。たぶん・・・・」
「よし!探そう」
「・・・でも、結構散らかってるね」
「・・・ごめん。片付けるね」
「こっちこそ、ごめん。忙しくて引っ越し手伝えずにいたから。」
「・・・・やってみる・・・」
「えっ?」
ルキアさんは、目を瞑って手をかざした。
すると、不思議なことに物が動いている。
「すごい」
「・・・・使えた・・・」
そして、その゛忘れ物゛は見つかった。
「あった。」
「よかったね。」
そして、散らかっていた部屋はいつのまにか片付いた。
「ありがとう、健斗さん、手伝ってくれて」
「どういたしまして。帰っちゃうんだ。」
「東城さんに、返さなきゃ。」
「・・・1人で大丈夫?」
「大丈夫よ。ありがとう」
なんだか、すごくくすぐったい。
ルキアさんが出ていってすぐに、
「ただいまー」
武司が、帰ってきた。
「武司兄さん、早かったね」
「今日は、撮影だけだったし。ルキアは?もう、帰った?」
「落とし物、見つけたからついさっき帰ったよ?」
「忘れ物じゃねぇの?」
「あの、東城って人にもらったプレゼントだったらしいよ。」
「プレゼント?物好きなやつだな。」
出会ってすぐにプレゼント攻撃?
「返すって言ってた。」
「えっ?なんでまた。」
「じぶんには似合わないものだからって」
「だったら、その場で返すだろ?」
「ねぇ、なんか嫌な予感する・・・・博巳兄さんの言う通りあの人・・・・ルキアさんを、狙ってるんじゃ?」
「まさか」
「それとね、話変えるけど」
「切り替え早いな」
「ついさっきね、ルキアさんが力使うの、初めて見ちゃった。」
「・・・・えっ?なんだ。使えるんじゃん」
なんで、今まで・・・
「ねぇ!武司、心配だから、見に行こう」
「呼び捨てにするなよ」
「ごめんごめん。武司兄さん。武司兄さんが、ルキアさん守らなくてどうするの!!」
「えっ?俺が?」
「とにかく、行ってみようよ!僕は心配なんだ!」
「・・・・・」
「後悔してほしくない」
「・・・わかったよ。いけばいいんだろ?」
「意外と素直じゃん!」
その頃だった。
ルキアさんは、東城さんのもとにいた。
「君から会いに来てくれるなんてね。嬉しいよ」
「そういうわけじゃないんだけど。これを、返しに来ました。わたしには、似合わないものだから」
ピアスの入った袋を手渡そうとしていた。
「探し当てたんだ」
「えっ?」
彼の声色が少し変わった気がする。
「さすがだね」
彼は、ルキアさんに顔を近づけている。
「ち、近いんですけど。」
やっぱり、彼はただ者ではない。
「・・・・っつ」
ズキリと、痛む。
「武司?大丈夫?」
「ば、バカ、声がでかい」
「゛・・・武司?健斗・・・さん?」
気付かれてしまった。
「し、心配になっちゃって。ねっ、武司・・・」
「別に・・・せっかくもらったんだからつければいいじゃん。ピアス」
「げっ」
「なによ。」
「フフフ」
「それに、一度もらった物を返すなんてその方が失礼だ。」
「武司・・・なに、言ってるの?」
「君は、認めてくれるんだね。僕たちの交際を。」
「えっ?交際?」
「・・・・・」
「・・・交際するんだ」
「・・・」
こんなときまでケンカしてる。
「す、するわけないだろ!」
「いや、もう成立したから」
「えっ?成立?」
なんだかわからないけれど、すごく悪そうな顔をしている東城って人。
「武司、なんかあの人、おかしいよ?」
「逃げろ!二人とも」
「えっ?ルキアさん?」
「こいつは、カイトが送った刺客ってやつだよ」
「刺客?」
「あんたの兄さんの言う通りだ。こいつには・・・」
「そうさ。俺はおまえなんかどうでもいいんだ。俺はただ・・・」
バチーン
「あっ・・・・」
しかし、そいつは、ルキアさんに張り倒されると、気絶してしまった。
弱っ
け、結構強い人なんだ、ルキアさんって。
「二人とも、ありがとう。今のうちに行くよ」
「・・・・」
「見ての通りだよ。私なんか誰も・・・」
そう言うルキアさんの言葉を遮り、
「バカ!」
「ば、バカとは何よ!」
「・・・言ってみただけだ」
「えっ?」
「帰ろうぜ。」
「・・・・・」
「ごめんね、ルキアさん。あれでも、照れ隠しなの」
「照れ隠し?」
「゛なんか゛っていおうとしたルキアさんを、あいつなりに、慰めようとしているんだよ?」
「彼の気持ちがわからない」
ふたりは、いい感じなんだけどな~
なにかが足りないんだろうな~
二人のあとを追いながら、僕は思った。
そして、
「お、俺はあきらめない。あきらめないぞ」
気絶したはずの東城さんが、生きていた。
数日後・・・
「えっ?ドラマ?武司が、ドラマに出るの?」
「そう。なんか、勝手に抜擢されたというか、オーディション?受けろって。」
「樹が、武司しかいないって、推薦したらしいよ」
「ったく、俺は俳優なんてやらねぇっつーの」
「でもさー、この6人で出たら結構イケると思うんだけどな~ぁー」
「健斗!サボってないで付き合えよ」
「武司、お前も文句言わずやれよ。」
「そうそう。撮影は、任せて!」と、カメラマン和彦。
「俺のそばにいろよ」(セリフ)
「なんかさぁー、気持ちがこもってないんだよねー。こう言う時に限って、指導者の樹はいないし。」
「お、男相手に言えるかよ!」
「確かにねー。」
博巳は、監督っぽいことを、していた。
「じゃあ、ルキアさん呼ぶか」
昌也も今日は、付き合っているみたいで。
久しぶりに樹以外は揃っていた。
「えっ?」
「その方が、本気で演技できるんだろ?本物の女性だし。」
「うんうん!そうしようよ!」
「ルキアさんのためでもある。」
と、携帯を取り出し、電話をかけ始めた昌也。
「もしもし?ルキアさん?」
「えっ?番号知ってるの?」
驚く和彦兄さん。
「な、なんでだよ」
すでに、ジェラシーというのを、感じる。
ピンポーン
「ルキアさん!いらっしゃい!」
「・・・頼みたいことって?わたし、忙しいんだけど・・早くしてくれる?・」
「悪いけど、こいつのオーディションの相手役してやってくれる?」
「オーディション?」
「俺らじゃさー、女性役なんて勤まらなくて。
知り合いに、女性がいなくてさ。」
「な、なんで私なんだ。」
「ルキアさんしか、頼める女の人がいなくてさ。」
「で、武司、俺と博巳はこれから、店、開けなきゃいけないから。あとは、二人でよろしくやれよ」
「えっ?二人でって」
「ごめんな、今日は、予約入ってたの忘れていてさ」
「ちょっと、みんないてくれなきゃ困るよ」
「そ、そうです。いてください」
二人きりにしないでよ!
ふたりは、この時同じことを思っていた。
「悪いけど、時間だから」
「武司、頑張れよ!じゃあな」
「じゃあ、僕も、買い物行こうかな。ねっ!和彦兄さん。」
「俺は、いてもいいぜ!」
「ダメダメ!二人のほうがこう言うのは雰囲気出るからいいの!」
「こう言うときこそ、俺の出番」
妙にノリノリの和彦だったが、
「二人のためなんだから、お願い!」
と、耳打ちされ、
「フィルム足りないんだった。買いに行こうっと。
健斗、付き合ってくれるか?」
「もちろん!」
と、分かりやすい?嘘をつき、ふたりは、出ていってしまった。
「・・・・なんだそれ」
「・・・・わたしは、どうすればいいんだ。」
「・・・・わかるのかよ」
「だいたいは、教えてもらった。演技ってやつなんだろ」
「・・・・このセリフ、言ってくれればいい。」
ふたりは、見つめあった。
「俺のそばにいろよ」(セリフ)
「ダメよ!あなたは彼女と・・・・」(セリフ)
「好きだ!夏希!」(セリフ)
「・・・・」
「好きだ!」(セリフ)
「え~っと」
慣れないルキアさんは、途中で、戸惑っていた。
「はい、カット」
「えっ?」
「只の練習なんだから。」
「しょ、しょうがないだろ。初心者なんだし。」
「赤くなってるなぁーって」
「な、何よ!わかってるわよ。」
「でも、サンキュー」
「いい、練習台になっただろ?」
「えっ?」
「そう言うことだろ?」
本気で言ってるんじゃない。いつも、そうなんだ。
「レンも、そうだったんだ。きっと・・・」
近づく男はきっと・・・
「ルキア?」
「やだ、思い出したら、涙が・・・・」
「なんで、泣いてるんだよ。なんか俺悪いこと言ったか?」
「な、泣いてなんかいないよ」
だけど、ルキアさんは、泣いている。
涙が止まらずにいた。
「・・・・」
「き、気にせず続きを・・・・」
「泣くなよ」
「えっ?」
武司は、思わずルキアさんを抱き締めていた。
「あれ?なに?そういうこと?」
急に、ほんとに仕事が入った和彦兄さんは、仕事に行ってしまい、僕だけ帰ってきたら、なぜか抱き合う二人。
「なに?なに?イー感じじゃん!作戦成功!」
「は、離せよ!」
「俺のそばにいろ!そうすれば、お前を泣かせたりしないよ?」
セリフのような言葉を言う武司。
あれも演技?
シーン
(なんか、言えよな)
黙るルキアさん。
「・・・ごめん」
ルキアさんから離れ、
「いや、なんというか、俺らを憎んでいたルキアと違って・・その女らしいと言うか・・・・」
「フフフ、なんだよ、それ。」
ルキアさんは、笑った。
「笑った」
「あんたって、変なやつだね」
「なんだ。笑えるじゃん。ってか、よかった。笑ってくれて」
「えっ?」
しばらく、優しく武司に見つめられるルキアさん。
ますますいい雰囲気のふたり!
最高じゃん!
邪魔するの悪いなぁー
ずーっとふたりの様子を影で見ていたかったのに、その沈黙を破るかのように僕の携帯が鳴る。
プルルル、プルルル
ビクっと振り向くふたり。
「け、健斗。お前、いつからそこに」
「ごめーん。ずーっといたんだけどね~」
プルルル、プルルル
「電話出ろよ」
「もしもし?」
ぼくは、その場から離れることにした。
シーン
再び、シンとするふたり。
「す、好きでもないのに抱き締めるなよ!」
「おれはただ、心配だっただけだ」
「へぇ、じゃあ今まで好きになった女の子誰にでもやってたんだ」
「ちげーよ。おれはほんとに、心配で・・・・」
プルルル、プルルル
今度は、武司の携帯が、鳴った。
「・・・出ないの?」
「・・・・・・」
相手を見て、驚いている。
「どうしたのよ?出なさいよ」
「・・・・・もしもし?・・・・サキ?」
「・・・・!?」
その名を聞いたルキアさんは、固まっていて・・・
「ごめんねー、で?さっきの続きを・・・」
「邪魔みたいだから出ましょう、健斗さん」
「えっ?」
ぐいっと僕の手を掴み、その場を去ろうとするルキアさん。
「ね、武司。いま、大丈夫?」
「なに?なんか、用」
「用があるからかけたの。なんか冷たくない?ねぇ、いまから、会えない?」
「・・・・」
二人で出ていくところを見ながら電話する武司。
「ルキアさん?どうしたの?武司と、ケンカでもしたの?」
「今の電話、元カノから。」
「へっ?元カノ?まさか!うそだ!彼女とは、終わってるはずだよ?」
「どうせ、より戻そうとか言われたんじゃないの?あいつも、まだ、忘れてないみたいだし」
「えっ?元カノのこと、知ってるの?」
「知らないわよ」
「あのさ、さっきの・・・」
「さっきのは、演技だ。セリフは、違うかもだけど、演技ってやつだから。」
ルキアさんは、どんどん歩いていく。
本当に、演技なのだろうか。
「今さらなんだよ。」
「武司に、会いたくなっちゃって」
「・・・・」
「もう、近くにいるから」
「はぁ?いるって」
「帰っちゃうの?」
「もう、役目終えたしね」
そのときだった。
ピンポーン
「誰だろ?はーい!いま、開けまーす」
ガチャ
「こんにちわ」
「サキさん?」
「えっ?」
玄関にいたのは、武司の元カノサキさんで・・・・
「サキ!なんでここに・・・・」
武司が、玄関にきたやいなや
「武司!会いたかった!」
武司に抱きつくサキさん。
「・・・・・・」
「武司兄さん、これはどう言うことなの?」
こ、これはもしや。
「あたし、武司のこと忘れてないよ?」
「あの、俺にもさっぱりわからないよ」
「わたし、邪魔みたいだから、帰るね。じゃ。」
「ルキア」
「待って!ルキアさん、送るよ」
「ルキア待てよ!」
「誰?今の女の人」
「ッツ・・・・」
指輪が、激痛を与えたみたいだ。
「武司、大丈夫?」
「緒方武司。さっきのセリフ、その子に言ってやりなよ。その子が、一番聞きたいセリフだろうし。あんたが、言いたかったセリフだろう?きっと。」
いつねまにか、武司を、゛あんた゛呼ばわりしてるルキアさん。
「はぁ?なんだよ、それ」
「送らなくていいから。おやすみ」
バタン
「ルキアさん!」
「・・・・」
「武司、今の子、武司の今カノ?」
「ちげーよ。」
「じゃあ、只の友達?」
「・・・・・」
武司は、ルキアさんが出ていった方をただ、見つめている。
「武司!なんか言ってよ!」
問いただすサキさん。
「武司、ぼくは、ルキアさん心配だから送ってくる」
「あぁ」
ぼくは、ルキアさんを、追いかけることにした。
「武司、とにかく私は・・・」
「こっちで、話そう」
ルキアさんは、ただただ黙って歩いていた。
「ルキアさん」
そこに来たのは、なんと、東城明。
「あっ。」
「俺、ますます君のこと、気に入っちゃった。その顔は、例の彼にフラれたんだね。」
「えっ?彼女のせいなの?」
「別に、そういうわけじゃ・・・・」
事の発端とかサキに話した。そうしなきゃダメだと思ったからだ。
「だって、そうしなきゃ、その指輪、はずれないんでしょ?」
「この話、信じてくれるのか?」
「代わりにわたしが、そばにいてあげるよ。そうすれば、きっと。」
「なんでだよ」
「東城さん、私のことは、どうでも良かったんじゃないの?」
「いーや。気が変わった。俺、あんたのこと、本気だわ。あんたが好きだ。」
「なんでだよ。なんであのときそう言わなかった!もう、今さら・・・」
そう言うとサキは、武司に口づけをした。
「もう一度・・・付き合わない?私たち」
サキさんに、告白されている同じ頃・・・・
「いいよ・・・」
「本当に?よし!行こう!どこ、いこうか」
「・・・どこでもいいよ」
武司が、いないところなら・・・
ルキアさんは、どうやら、東城さんと出かけるのをOKしてしまい・・・・
「俺は・・・・」
武司は、その頃サキさんからの告白の返事をしようとしていて・・・・
「っ・・・・」
激痛に、耐えれなくなっていて・・・・
「武司?大丈夫?」
「・・・・・・」
そのまま、また、倒れてしまった。
「武司、わたしが・・・」
「・・・・・!?」
ルキアさんは、予感を感じた。
「どうしたの?ルキアさん」
「・・・・ごめん、忘れ物」
武司になにかあったのか?
ルキアさんは、走り出した。
「あっ!ルキアさん?」
走って戻ってきたルキアさん。
「ルキアさん?」
僕に気づかず通りすぎた。
「ルキアさん?」
なんか、すごく真剣な顔をしていた。
「武司!」
「あっ!あなた!」
「サキさん・・・?」
まだ、いたんだ。
やっぱり、ふたりは・・・・
「あなたのせいで、武司は苦しんでる!」
「倒れたのか?」
「呪いの指輪ってなに?あなたは一体、武司に何をしたの?」
「私は、べつに・・・」
それを、仕組んだのは私じゃないけど・・・・
「あなたがいるせいで、武司はきっとこれからも・・・」
「聞いたんだ。わたしの正体。」
「ほんと、くだらないわ。さっさと自分の国に帰りなさいよ」
そうできればとっくにしてるさ。
「・・・・・・そうだな」
「えっ?」
「武司は、きっとまだ、あんたを好きなんだ。」
「どう言うこと?」
「ルキアさん」
「あんたとなら、両思いってやつに、なるんだろうな。」
「ルキアさん、まさか」
「あたしは、もう2度とここには来ないよ。あんたが、これをはめて、武司にキスすれば、呪いは解けるよきっと。」
「ルキアさん、もしかして武司のこと・・・・」
ふたりは、ぼくの存在に気づいていない。
「本当に?」
ルキアさんは、自分の指輪を外すと、サキさんに渡した。
「さようなら」
ルキアさんは、その場からいなくなった。
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