絆物語

藤原葉月

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第22話

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6人は、あるにぎやかな街についた。

「ここは平和な街のようですね」

「今夜はここに泊まりましょう。皆さんもゆっくり休みたいでしょう?宜しかったら買い物でもしてきてください。少しのあいだ自由行動です」
と、ニコリと笑ったヒロさん。

「やった!ラッキィ」
と、早速走り出したのはゴウだった。色んな食べ物を、買い始めている。

「ったく兄さんってば、手当り次第買いまくって食べまくるなんて・・・。あれでよく太らないな」
と、ジュンは呆れている。いつもの行動らしい。

「元気な証拠ですね」

と、ヒロさん。

すると?
「お花いかがですか?」

女の子の声が聞こえてきた。
花売りみたいだ。

そして、その女の子を見て・・・・

「リリカ」
と、ゴウはつぶやいた。


「やっぱり?僕もりりかさんじゃないかっておもっていたんだよねー!」
と、嬉しそうにその女の子の元へ走りよっていった。

「ちょっと!ジュン!やめろよ」
ゴウは、とっくに気づいていたが、なぜか声をかけれないでいて・・・・。

「ねぇ?りりかさんリリカさんでしょう?久しぶりですね!僕のこと覚えてますか?」
と、嬉しそうに話しかけている。

「・・・もしかしてジュンくん?」
「そうです!よかったぁ!」
「こら、ジュン!行くぞ?」

「・・・・・(ゴウ?)」
ゴウのことを黙って見つめるリリカさん。
リリカさんも少し気づいていて・・・


「あっ、兄さんが花を買いたいって」
「こら!ジュン!勝手なこと言うな!」
「毎度ありがとうございます」
そう言ってゴウに近づき花束を差し出した。

「・・・・・」

差し出された花束を受け取り、
「誰かにプレゼントでもするんですか?」
と、口を開くリリカさん。
「そう、その通り!美女へのプレゼントだよ!お前には関係ないよ」

お前と言ってる。ただの仲ではないな?と思いやり取りを見ている4人。

「もう、兄さんってば」
「そんな言い方。久しぶりに会ったのに冷たいのね」
と、睨むリリカさん。
「そうだよ、兄さん。会えて嬉しいくせに」
「別に嬉しかねぇし」
ゴウは、お金を払うとさっさと行こうとした。

「あの・・・」

ゴウは、ピタリと足を止めると・・・・
「なんでここに来た」
「なんでって言われても・・・・」
「用もないのにくるなよ」
りりかさんの目を見ずに言う。
「ちょっと、兄さん?」
ゴウはそのまま行ってしまった。
リリカさんを置いて・・・・。

ジュンは慌ててゴウのあとを追った。

その後、戻ったゴウは


「ゴウ、お前は子供だな」
様子を見ていたマサは、ゴウとリリカさんを見て笑っていた。
まるで昔の自分を見ているかのようだったからだ。
「俺と幼なじみも、お前たちみたいに喧嘩してたしな」
「・・・・うるさい!関係ないよ。それより早く出ようぜ?」
と、なぜか行ってしまった。
「ちょっと、兄さん!この街で休んでいくって決めたじゃん!兄さんってば!!」
ゴウは、ジュンが止めるのも聞かずにズンズンあるきはじめた。

「ゴウくん?」
1人何も言わずに歩き去るゴウと、すれ違い、ヒロさんはびっくりした顔で見いた。

「あの・・・」

すると、背後から声をかけてきたのは・・・
「リリカさん?」


そう、声をかけてきたのは先程の花売りのリリカさんだった。
「あの、私の名前どうして・・・」
「さっき、ゴウとジュンが言ってたのを聞いたから」
と、マサさん。



「君は確か僕の国にも花を売りに来ていましたよね。ジュンくんとゴウくんとはお知り合いで?」
というのは、ヒロさん。
「2人とは幼なじみなんです」
「まさかこんな可愛い子が2人の幼なじみなんてさ!」
「あの、ゴウは・・・・、みなさんも・・・無事でかえってきているんですよね?わたし、心配なんです」
「なるほどね」
と、マサさん。

「・・・もしかして、君はゴウくんのことが心配でたまらないんですね?」
「・・・はい」

コクんと頷く彼女。
「あいつ、すぐ無理するし、倒れるまで頑張るって言うか・・・・」

「まぁ、それはきっとこれからも変わらないだろうな」

と言ったのはマサさん。

「たしかに負けず嫌いだよね」

と、ケン。

「今はなんとも言えませんが、彼も僕らにとっては大切な存在です。大丈夫です。僕らがついていますから」
と、リリカさんの肩に優しく手を置くヒロさん。

「よろしくお願いします。それじゃあわたしは残りの業務があるので」
と、ぺこりと頭を下げると行ってしまった。

「リリカさんも、気をつけて」
「はい、では失礼します」

4人と別れたリリカさんだった。

その頃・・・・

「ちょっと!兄さんってば!」
ジュンは、相変わらず1人何も言わずにズンズン進んでいく義兄ゴウについていっている。

「ついてくんなよ」
と言われたが

「でも、みんなとはぐれるよ?」
引かないジュン。

「今はひとりになりたいんだ。頼むよ。後で合流するから」
「・・・・わかった。絶対だからね?」

渋々ジュンは元来た道を戻って行った。


その頃、ヒロはヨシに話していた。
「ヨシさんは何かを買わないんですか?例えば弓を買い揃える・・・・とか、矢を買い足す・・・とか?」
「たしかに新しい矢を探してはいるが・・・これといっていい矢がないな」

と返してくれた。
「・・・ところで、その矢は・・・」
1本だけ違う矢が入っている。

「この矢は使えないんだ」
「もしかして女王様とを繋ぐものですか?」
なぜか勘づかれ、
「いやだからレイナは・・・」

と、自爆しているかとに気づき、
「・・・・・」
「あはは、わかってますよ」
「・・・・・」

「ヨシさんも、見ましたよね・・・。カナのあの変わり果てた姿を」
「・・・・やはりあなたの」
「・・・やはり、間違いないようです・・・・」
と、切なげに言うヒロさん。
「大切な人があんな姿になってしまうなんて。僕の責任でもあります」
「・・・・・ 」

「・・・ですが・・・・生きていてよかった」

「・・・レ、レイナのことだが・・・。確かに命を救ってくれたし、2度も助けられた。ただそれだけだ。それ以上はない」

と、照れくさそうには言っていたが、しっかりとレイナさんへのお礼の品を買っているのをヒロは見逃してはいなかった。
「・・・ヨシさん、きっとまたどこかで会いますよ」
「そ、そうかな」
照れくさそうに見つめるヨシさんは今までとは違う顔をしている。

「運命ですから」
「あんたは、大切な人があんな姿になっても好きなのか?好きでいる自信あるのか?」
「・・・・好きですよ」
「相手は自分を殺すかもしれないのに?」

「変わらない思いってあるでしょう?」
「変わらない思い?」

「例えばさっきのゴウくんと、あの少女のように」

「・・・・・・・」


互いを想いあってる、2人のように・・・。





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