絆物語

藤原葉月

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大切な人との時間

第29話

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「ナミさん!!待って!!」

その頃、ナミが薬を買いに走り出たのを追いかけたのは・・・
「えっ?あなたは・・・」
「名乗ってませんでしたね。僕はケン。薬買いに行くんですよね?ハァハァ。足、早いですね」
「ごめんなさい。あの方のことが心配で・・・・」

無我夢中だった。

「ナミさんはきっと心のどこかでマサさんの事を覚えているんですね」
「えっ?覚えてる?」

「だって、本当に忘れてしまっていたらここまでしないから。」

「・・・・そうかもしれませんね。でもケンさんはどうして追いかけてきてくれたんですか?」

「あなたの事を守ってやれって、マサさんに言われていたから」

「・・・・・」
「この近くに魔物がいるから・・・・」
ケンはナミの手を取った。

「本当はこの役はマサさんの役目だけど・・・・。代わりだと思ってね?」
「はい」

と、聞いてくれた。ナミはケンの手を握り返すと、一緒に走った。


その頃熱が下がり始めたマサは、ヒロと話していた。

「良かったです。肺炎にでもなったら大変でしたから」

と、頭のタオルを変えてくれていた。

「心配かけて、ごめん」
「いえ、お互い様ですから。しかし、何か悲しみに触れたのですか?塞ぎ込んでいるようですが?」

「実は昨夜、俺の親友が操られた形で現れて・・・・」

「なるほど」
「シュウって言うんだ」
「はなしをつづけてください。」
「しかも、ナミの記憶を消したと・・・・でも」
「でも?」
「もしかしたら彼は、既に死んでいたのかもしれない」
「・・・・もしかしてその親友の彼・・・シュウさんはあなたに何かを伝えようとして?」
「はい、恐らくその途中で襲われたのかと。俺はあいつの気持ちを知っていた。だけど、俺がいなくなってから俺の代わりにナミのことを守ってくれていたんだと思う。俺はそう信じたい。彼はもういないけど・・・・。そう信じたい」

「・・・・ナミさんの記憶戻ると良いのですが・・・・」
「いや、戻らない方がいいかも」
マサは切なそうに窓の外を見た。

「あなたを心配して薬を買いに行っても?」
「えっ?」
「さっき、飛び出していきましたよ?危ないからケンくんが追いかけていきましたけど・・・・。本当にあなたのことを忘れてしまっていたらそんなことをするでしょうか」
「・・・・・・」

「彼女もあなたを愛しているなら、あなたも彼女を愛しているのならきっと戻れますよ」

ヒロはニコリと笑った。
「ありがとう。あなたに話せてよかった。あなたの愛する人も、戻れるように祈ってる」
「はい」
そして、数十分後・・・・

「ただいまー!」

ナミとケンが帰ってきた。
そして、
「あの?マサさんの容態は・・・・。わたし、心配で・・・ごめんなさい、勝手に飛び出したりして・・・」
「大丈夫ですよ。今あなたが買ってきてくださった薬がよく効いたのか眠ったところなんです」

「そうでしたか・・・・よかったε-(´∀`*)ホッ」


スースーと寝息を立ててよく眠るマサの顔を見てさらにホッとしたナミだった。


「あのまま別れちゃうのかな」
「大丈夫ですよ」

「見守っていようぜ?」
「でも忘れていた方が巻き込まなくて済むよな・・・・」

いつのまにか戻ってきたヨシは、2人の様子に口を挟んだ。
「でも僕は納得いかない!だって2人は本当の恋人同士なのに・・・」
「・・・・・・」
5人はしばらく2人の様子を見て黙ってしまっていた。



マサが目を覚ますと、ナミが心配そうな眼差しでいた。
「ナミ、帰っていたんだ」
よかった、無事で。
「マサさん、私のことをずっと名前で呼んでくれてる。私はあなたを忘れてしまっているのに。普通なら、私の事なんて気にもかけないのに・・・・」
「それは、幼なじみだし。あと、俺が覚えているから。あなたと別れてもずっと覚えてますから」

「・・・・・・」
俺はナミの手を握りながら、起き上がった。
「もう具合は良いのですか?」
「あぁ、君か買いに行ってくれた薬も効いたよ。ありがとう」
そう言って、出かける準備をしようとするマサさん。
「もう行ってしまうのですか?」
「明日の朝には発つよ。みんなを待たせてしまったからね」
「そうですか」
「それと、君から貰ったお守りも効いたよ」

と、お守りを見せる。
「わたしが?あなたに?」
「これのおかげで早く風邪が治ったのもあるよ。ありがとな」

マサはナミの頭を、ポンっと撫でた。

そして次の日、マサの風邪は完治してみんなで旅立とうとしていた。


「ねぇ、マサさん。もう少しナミさんと話してきたらどうですか?」
「いや、でも・・・・」

「いいからいいから!」
ゴウはマサの背中を押した。

「・・・・・」
ナミを見ると
「じゃあ、少しだけ散歩をしますか?」
「・・・・はい」

ふたりはならんであるきだした。
そんなふたりの後ろ姿を見て
「やっぱりこのまま別れちゃうのかな・・・」
また、同じことを言うケン。
「俺は違うと思うな」
と言ったのはゴウ。
「えっ?」
「あの二人は記憶がなくても繋がってる思いがある。そう思わないか?」

「・・・・・・・」

2人をしばらく見守ることにした。


「あの、マサさん」
「ん?

歩幅を合わせるマサ。

「もう一度、最後に言ってくれませんか?」
「えっ?何をですか?」

ナミは足を止めてマサを見つめた。
改めて向き直るふたり。
「私の名前を、呼んでください」

「・・・・・」
「あなたに・・・マサさんに名前で呼ばれる度にドキドキするんです。わたし、もしかしたら・・・」
「ナミ・・・」
「あなたは私の好きな人ですか?」
「・・・・」
まさか聞かれるとは思わなかったけれど・・・・


「ナミ、俺はお前を愛してる」
「マサさん・・・・」

なぜか答えと違うので戸惑うナミ。
でも、全然嫌じゃない。

「ナミ、昨日言っただろ?お前が俺を忘れていても俺が君をずっと覚えているからって」
「・・・・はい、言いましたね」
「ナミ、俺は何度でもプロポーズするよ」
「えっ?」
「あなたに言ったことがあるんです。俺が出発する前に・・・・」


ヨシは1人散歩から戻る途中でなにやら見つめ合う親密な2人にドキリとしていた。


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