絆物語

藤原葉月

文字の大きさ
1 / 59
冒険の始まり

第1話

しおりを挟む
ある日、突然光によって封印がとかれてしまった。
その封印から蘇った魔物たちは、"ある物"を手に入れるために散らばった。

そして、魔物を倒すために、6人の戦士が戦うことに・・・・。
しかし彼らはまだ自分の置かれた立場や運命が分かっておらず、最初はバラバラだった。

その力を、1つにしたのは・・

ー1人の戦士の【死】であったー


ある水の綺麗な国として知られる国の若き王子がいた。

彼の名前は、【ケン】。
心優しく、無邪気な笑顔の彼は、自分は王子としての自覚がなく、一般市民と触れ合っていた。
そんなある日、ケンは、父に呼ばれた。


「父上、お呼びでしょうか」
「ケン、お前に指名を与える時が来た」
「使命?」
ピンと来ない、ケン。
「この間、この国に封印していた魔物がある力によって解かれてしまったのだ」
「えっ?」
ケンは、少し戸惑っていた。
「戦いを好まないのは、十分承知しておる。だがな、ケン・・・よく聞いてくれ。その魔物は、我が国だけではなく、この周りの5つの国へと散らばったのだ。つまり、6つの国で封印していた魔物が蘇ってしまったのだ」
「でも、僕は・・・」

「わかっておる。そのせいで母親が亡くなったんだったな」
「私は男なので、いつかは言われる時が来ると分かってはいましたが・・・でも・・・」
「そうだ、ケン。人は、母親だけではない。友人や、愛する者だってこの国にいる・・・」
「どうすればよろしいですか?」
「旅に出なさい。そして仲間を集め、情報を得るのだ。ケン、これは人と人とを結ぶ旅でもある」
王様は真っ直ぐに、ケンを見た。
「はい」

そう返事はしたが・・・


その夜、ケンは眠れずにいた。
なぜだか泣きそうな【キョウカ】の顔があった。
「なんて言うかな・・・彼女・・・」
奥手なケンは、彼女にまだ気持ちを伝えられずにいた。

一方、風の国の王子、【ヨシ】は、友人たちが開く合コンパーティというものに呆れていた。
「ヨシ、たまには参加しろよな」
「そうだよー!おまえは、案外モテるのに」

「言っとくが、俺は女には興味はない」

と、クールに交わす。
「嘘つけ。まぁ、そのうちきっといい女出来るって」
「と、とにかく、私は行かない」
と、ひとり行ってしまった。
「ったく、変わってるよな、あいつ。」
「人を信じなくなったんだからな。男でも・・・女でも・・・」
「・・・目の前で弟が殺されたんだから仕方ないか・・・・」
友人たちは、諦めて逆方向へと歩いていった。

「ダメだな。俺・・・どうやって接していいのかわからない・・・・」
そう呟くと・・・・

「ミュウ!」

ヨシの肩に小動物がでてきた。
どうやら、リスのようだが?
「よし、ミュウ、行くか」

誰にも見せない顔で、その動物に話しかけた。

「・・・あんな笑顔できるのにな」

友人のひとりが、そんなヨシのことを見ていた。
彼の心の変化に、みんなは戸惑っていた。

これから与えられる使命を、彼はまだ、わかっていないのだから・・・・。


ある街の片隅で、拳法をやっている少年がいた。
彼の名は、【マサ】
「お疲れ様。そろそろ休んだら?」
彼に話しかける少女。
「今、集中してるなら話しかけるなよ」
「相変わらず、冷たい」
「なんだよ、なんの用だよ」
「・・・・おじ様が呼んでいたわよ?」

「それなら、そう言えばいいじゃん」
「何よ!その言い方!」
「行くから、待っててって言っといて」
「なんで私が?」
「暇なんだろ?」

「暇じゃないわよ」

「可愛くねぇな」
「どうせ、可愛くないですよーだ」

相変わらず喧嘩をするふたりは、この国では将来を約束しているのではないか?と、噂をされている。

「事情はわかったからもう行けよ」
「もうひとつ報告があるの」
「なんの報告だよ」

マサは、興味無さそうに言う。

「あなたの想い人の【ケイ】さん、結婚するんだって」

「えっ?」
初めて動揺したマサ。

「奪うなら今なんじゃない?」
「なんで、知ってるんだよ」
「だって、ケイさんのこと、ヤラシイ目で見てるもん」
「お前に言われなくても・・・・」
マサは、反抗しようとしたが・・・
「私、お見合いするから」
「お見合い?お前が?」
ちょっと、バカにするように言うマサ。
「そうよ。とーってもいい人なんだから!」
「なぁんだ。もう、会ってるんじゃん。それなら、お見合いしたの間違いじゃね?」

「会ったわよ。優しくて、男前だった!少なくともマサよりは!」
「へぇー(꒪⌓꒪)、それはそれはおめでとうございます」

そんなことを言われ・・・
「そんな簡単じゃないわよ!」
「えっ?何が?」

「バカ!」

「バカとはなんだよ!バカとは!」
ナミは、行ってしまっていた。
「・・ほんとに可愛くねーやつ」

でも彼は、とっくにケイのことは諦めていた。
「・・・・分かってないのは、あいつの方じゃん」

彼が、父に与えられる使命のことをまだ知らないでいた、マサ。
そして、それを少し前に知ってしまったナミ。

2人の心は、すれ違っていた。

もう、こんな喧嘩は出来ないと思っていたから・・・・・。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

処理中です...