voyager~不思議な船旅~

藤原葉月

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組織との戦い

出発

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「昌也兄さん、レンさんの、居場所がわかったみたいだよ。みんなを、集めようよ!」
「・・博巳!ほんとか?ってか、なんで、お前が仕切るかな。」
「だって、昌也兄さん、キキさんに会えなくて寂しそうだし(笑)」
「・・・べ、べつに」
「・・・ミミさんは、大丈夫みたいだよ。キキさんがついてるからね。」
「・・・おまえの発言の方が、なんかこわいよ」
(やっぱり、まだ、気づいてないんだ)
と、思う博巳だった。
同じ頃、
「健斗、レンの居場所がわかったわ。」
「ほんとに?」
「この城から、南へ5㎞・・・・ちょうど、この湖の・・・・えっ?」
「どうしたの?イナン・・・・」
「・・・まさか・・・」

「・・よし、出発は、明日の明朝だ。」
昌也たちも、同じ地図をみている。
「あのさ、みんな・・・」
「・・どうしたの?樹。」
「なんだよ、樹、泣きそうな顔しちゃって。いまは、練習している暇はないだろ?」
「・・違うんや・・・みんな、行かないで!行っちゃダメだよ」
「・・・えっ?」
「・・はぁ?」
「・・・・・」
「・・・そんなこと、できねぇだろ?」
「・・・そうだよ!せっかく、レンさんの居場所つきとめたのに」
「だって、俺たち、もともと、関係ないやん?」
「ふざけるなよ!」
バシッ
僕、健斗が、部屋に入ったときにみたのは、武司が、樹を叩いたあとだった。
「・・・どうしたの?外に丸聞こえだったよ?」
「・・・健斗・・・・」
「なんで、武司が、樹を?」
「・・お前一人の問題じゃないんだよ!ここの、世界の人の命がかかってんだよ!」
「・・・・」
「樹、行きたくない訳を教えてよ」
「言ってもわからないよ、きっと。」
たしかに、命は掛かっているかもしれないけど・・・・でも・・・・
「俺は、謝らないから」
「エエよ、別に」
あんなに仲の良い、樹と武司の初めての最大の、ケンカだ。
「・・・・・・・」
他の3人は、だまってみていることしかできていない。
「とにかく、明日は、出発する」
「昌也兄さん、いいの?樹を、おいてくの?」
「俺は、みんなに、危険な目にあってほしくないだけや」
「・・・危険を、覚悟で行くんだろ?」
「関係なくないんだよ!俺たちの使命なんだからよ」
「みんな、落ち着こうよ。こんなんじゃ、作戦もうまくいかないよ?武司も、樹も、もう一度よく考えて?」
「樹、なにがあったか知らねぇけど、頭冷やせよ」
「武司兄さんには、わからないんや!一生、俺の気持ちなんて・・・わからないんや!」
「・あぁ、わかんねぇよ!わかりたくもねぇよ!」
「わかったよ!頭冷やしてくる!それで、いいんだろ?」
バタン
ドアを、勢いよく閉める。
樹にしては、めずらしく怒っているみたいだ。
「樹・・・・・」
「帰ってきてから、樹の様子がおかしいんだよなー。なんかあったのかな?あの女の子と。」
「あいつ、すぐ隠すしな」

「どうしたら、ええか、わからん」
~樹は、幸せだね!あんな、素敵なお兄さんがいて~」
「そうかな?血は繋がってないけど」
「~繋がってなくても、一緒にいるって、すてきなことだよ?幸せな毎日があるから~」
「アミ、ごめんな。俺は、なんにもできやんかった」

その夜、樹は、一人で泣いていたなんてだれも思わなかった。
むしろ、その気持ちが、みんなにどう届いているのか想像ついてないから。
ただただ、切ない気持ちが、流れ込んできた。
その夜、樹は、まだ部屋に戻らなかった。
「あいつ、泣いてんのかな」
僕は、この気持ちが樹なんだろうと、薄々気づいていた。
なんにも言わないんだもんな~
みんなに、心配かけたくなくて
でも、やっぱり、みんなと一緒にいたくて・・・・
そっと、自分の部屋に戻る樹だった。

そして次の日、早朝、そっと部屋を抜け出した樹だった。
外を眺めていたら、なんだか、視線を感じた
じーっと、見つめていたのは・・・・
「お、おはよう、健斗兄さん」
「・・・・おはよう、樹。おまえ、あれから寝れたの?」
「あ、当たり前やん」
「・・・嘘つけ。涙のあとがある。」
「ほ、ほんと、なんでもないんや。」
「おまえさ、役者の癖に、嘘つくの下手すぎ、急に、関西弁使うところが怪しい。」
「め、目の前で、ショックなことがあってな。パニクっていただけなんや」
顔は笑ってるけど、なんか、声はそうでもない。
「・・・・・」
「武司も、おはよう!」
二人の間を、スルーしようとした武司に、
「・・・武司兄さん、ごめんね。俺、」
「おまえさ、わかってんの?6人で帰ろうって約束したよな?お前一人おいていったら、意味がねぇんだよ」
「そ、そんなの当たり前やん」
「末っ子の癖に」
「はいはい、二人とも、朝から喧嘩をしない。イオンさんがビックリしてるじゃん」
博巳が、いつのまにか、仲裁にはいる。
「武司兄さん、許してくれるんだよね?」
「・・・・・」
「武司兄さんなら、許してくれるって信じてたよ」
「許すって、言ってねぇけど」
「やった!それでこそ、武司兄さんだ」
樹は、武司に抱きついた。
「何すんだよ!気持ち悪いよ!っていうか、調子いいよな、ほんと。」
武司は、もう怒っていないようだ。声でわかる。
「こんなことで、僕たち兄弟が、ダメになりたくないもんね」
「・・・武司兄さん、ありがとう。って、ことで、もう、大丈夫や。だから、武司兄さん、博巳兄さん、張り切って行ってらっしゃい!」
「な、なんだよ、それ」
「そっか。そうだよな。樹は、イオンさんのこと、たのんだよ」
「ラジャー!」
「・・・樹、まだ、話は終わってない」

「武司、終わってからでもいいじゃん。まずは、使命をこなさないと。」
「やばくなったら、呼んでね!スマホ、なぜかつかえるし」
「だから~はなし!」
「いってきまーす」
無理やり博巳に連れていかれる武司だった。
健斗兄さんが、イナンさんを、守るんだもん。俺が、イオンさん、守らなきゃ。
「ったく、あいつ、昨日は行かないって言ってたのに・・・」
「でも、行くって決めてくれた。」
「そうだけど・・・・」
「大丈夫。あいつを信じようよ。理由はどうであれ、やるって決めてくれたんだからさ!」
「それも、そうだな」
「よし!いくぜ」
博巳と、武司は拳と拳を合わせた。

「樹さん・・・・」
「イオンさん・・・・」
樹の顔を見て、イオンさんはわかってしまったらしい。
「もしかして・・・・、アミが・・・」
「い、イオンさん、買い物いきませんか?イオンさんと、イナンさんに、まだ、誕生日プレゼント買ってなかったし・・・・」
こんなときに不謹慎だけど・・・・おれは、隠しておきたかったんや。
アミを守るって、約束したばかりなのに、守れなかったこと・・・・
そしてアミは・・・・
「樹さん・・・」
「なにが、ほしいですか?」
「アミ、亡くなったのね・・・」
「えっ・・・・」
俺が、空元気なのが、不自然だったんかな・・・・
「・・・・辛かったでしょ?隠すなんて、あなたらしくないわ」
「やっぱり、イオンさんにはバレバレかぁ~」
「・・・・・・」
「あの日、謝るつもりやった。イオンさんと、別れたすぐあと、アミと、偶然にも出会えて・・・・。嬉しかった。」
~にげて!~
「俺が誰かに・・・組織に狙われてると、知ったアミは、俺を庇って、組織が撃った銃弾に撃たれたんや。」
「.....」
彼女は、静かに俺のはなしを聞いてくれた。
「アミに、ひどいこと言うたのに・・・アミは、アミは、俺なんかとおって幸せやったんか?優しいといってくれたけど...おれは、迷惑と言って彼女を、突き放したのに・・・・あんな形で人生終わらせてしまって、アミに、どう謝ったらエエんや。どうしてエエかわからずに、武司兄さんと、喧嘩しちゃって・・」
「樹さん。アミはね、幸せだって言ってたわ。樹さん、あなたは、彼女の、最期の恋の相手だったのよ」
「最後?俺が?」
「アミには、口止めされていたことなんだけど、彼女ね、重い病で、あと数ヶ月の命だったの」
「えっ?」
「それを、知られる度に、好きな人には逃げられて・・・・あの日、船に乗り込んでいたあの日、彼女は、死ぬつもりだった。けど、あなたがアミを見つけた。一人泣いていたアミを見つけた」
「ただ、大丈夫?って、声かけただけやけどな」
「それが、嬉しかったのよ。だから、あなたに会うために、もう少しだけ生きてみようっておもったんじゃないかしら?」
「もう少しだけ・・・・・」
「少しでも、あなたと一緒にいたいって思ったんだと思う。」
「俺が、彼女が、好きになった人と同じやと思わんかったんかな?」
「覚えてる?あのとき、一緒にいた、かれのこと。アミのこと、抱き締めていたんでしょ?」
「・・・・そうや。おれは、そいつに、嫉妬してた・・・・いまだから、言えることや・・・


だから、アミにあんなに冷たくしてしもたんや
「い、イオンさんだから、話すんですからね?」
「彼はね、彼女の担当医よ」
「えっ?」
「彼女の、命を、救っていた一人と、言った方がいいかしら?アミはね、もう立つのもやっとなくらい、体が弱っていたの。重症だったの。彼はね、助けようとしていたのよ?彼も、彼女を、愛していたから、」
「・・・・・」
「でも、アミはね、」
~わたしは、大丈夫。~
かれは、気づいたの。アミの心の中には、すでに、樹さん、あなたが存在していたのよ?樹さんしか写っていなかったの。幸せだったはず。少なくとも、あなたと一緒にいれたことが、彼女の幸せだったんだとおもう」
「あほやな、俺は、俺は・・・・」
アミの、何気ない笑顔に、本当は、救われていたんだと、そのことに、やっと気づいたんや。
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