voyager~不思議な船旅~

藤原葉月

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組織との戦い

危険な再会

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「いい天気だね」
出発するには、ふさわしい天気だ。
これからは、ちょっと覚悟をしなきゃならない仕事だ。
「ねっ、イナン、そう思わない?」
「・・・・・」
「ねぇ?イナン?聞いてる?さっきから、黙っちゃって、どうしたの?」
「健斗、いくわよ」
「えっ?いきなり?」
心の準備とかさせてくれないの?
「せっかく、レンが見つかったんだもの。ようは、急げってことでしょ?」
「わ、わかったよ」
そのころ、再び門番に戻った?和彦兄さんと、門番を、やっとしてくれてる?昌也兄さんは、
「暇なんだな。門番ってやつは」
「そうでもないよ?だってね、昨日・・・・」
「昨日?」
「あのとき、女の人を、入れてしまったの俺なんだよね。ごめん。」
「そうなんだよ。ってか、それよりも、博巳のやつキキさんのこと、わかったようなこといって」
なんだか、はなしが、噛み合ってないようですが・・・・
「でね、昨日入っていった女の人から、香水の臭いがしてー」
「お前バカじゃないの?女なんだから、香水ぐらいはつけるだろ?」
「違うんだよ。最後まで人のはなし聞いてよ。その、香水の臭いって言うのがね・・・・」
と、そこへ、やってきたのが、
「健斗、こっちよ」
「健斗と、イナンさん。」
「こんにちは。いってきます」という、イナンさん
「どうしたの、ふたりとも、その格好」
「みればわかるだろ?門番だよ、門番。」
「昨日は、サボったくせによく言うよ」
「で、二人はこれから、お出かけ?」
「お出かけというか、なんというか。」
「健斗、おまえさ、イナンちゃんの、婚約者兼ボディーガードに、任命されたんだって?」
「あっ、和彦兄さん、誤解しないでね?これには、深いわけがあって・・・そもそも、イナンが・・・」
「イナンさんなら、もうとっくにいっちゃってるぞ?」
と、昌也兄さん。
「だからね、ふたりとも、誤解しないでよ?」
「お前の気持ちは、バレバレなの。だから、もういいよ」
と、和彦兄さん。
「えっ?バレバレ?」
「右に同じ。しっかり、彼女を、守れよ?絶対生きてもどれ!」
「頑張れよ!」
「うん!」
「お前の使命なんだから、気を抜くなよ?」
「うん!いってきまーす!待ってよーイナン!おいてかないでー」
走り出した健斗だった。
しかし、
「ねぇ、昌也兄さん、1つ聞いていい?」
「なんだよ」
「健斗って、あのこと、知っていたっけ?俺たちの心にクリスタルが入っていること・・・・」
「あー!!忘れてた」
「ちょっとぉー、昌也兄さん、しっかりしてよー」
「しょうがないだろ?」
「でさー、さっきの続きなんだけどー」
「さっきの続きって?」
「昨日、怪しげな女を、城のなかに入れちゃったんだけど、」
「だから、女なんだから、香水くらい」
「ちがうんだよ。あのときの、するどい昌也兄さんどこ行っちゃったの?」
「で?その香水と女がどう関係するんだよ」
「あの、健斗が、入院してた日、
街で・・・・・」
「すいません。通りたいんですけど・・・・」
「あー、すみませんねー、うちの弟が、邪魔をしまして」
(昌也兄さん、ダメだよ!入れちゃ。この人が・・・・)と、耳打ちしようとしたけど、
「なんだよ。きれいな女の人じゃん。お前のタイプ?」
「きゃー」
その女は、わざとらしく?こけて
「だ、大丈夫ですか?」
だめだ、昌也兄さん、完璧にこの女の思い通りの行動してる。昌也兄さんが、行くのを止めなきゃ!
「昌也兄さん!ストップ!」
「なんだよ。お前、好きじゃん、きれいな女の人。」
「あ、あの女から、あのとき俺を投げ飛ばした女と同じ香りがしたの!」
「えっ?ってことは」
「頭が、そう簡単には出てこないけど、少なくとも仲間だよね。」
「じゃあ、昨日、博巳や、キキさん襲って、そのあとミミさんを」
「ご名答!やっと、目が覚めたね」
「ちょっとぉー、そこの門番!レディが、怪我したのよ?助けなさいよ!」
「悪いけどー、2回目引っ掛かるほど、バカじゃないんだよね~」
「はぁ?2回目?」
「悪いけど、悪い女には、興味ねぇよ」
    「な、なにを、言ってるの?ちっ、気付かれたのね。かなり、にぶいやつって、おもっていたのに」
「おとなしく、捕まってもらおうじゃないか!」
「この前の仕返しだからな!覚悟しとけよ?」
「フン、女にそんなことできるのか?とくに、コードネーム20番」
「こんなときのために用意してくれたんだよね~!さっすが、王様」
「よし、いまだ!投げろ!」
「ラジャー」
バーン
それは、ただの爆竹だった。
ってか、なんでもあるのか?この国は。
「な、なんだこれ!」
「はは!ざまーみろ!人間なめるなよ」
「言ったじゃん。悪い女に、興味はないって」
「ほな、いい夢見ろよー」
二人は、その女を残して走り去った。
「こらー!わたしは、女だゾー!」
「そんなの知るかよ」
ふたりは、ハイタッチしていた。

「ちょっとイナン!待ってよ!」
「なに、やってんのよ」
「しょうがないだろ~?こんな、わけわかんないこと、やったことないんだからさ」
「それでも、男なの?」
「・・・・悪かったなぁー」 
僕とイナンは相変わらずだった。
別れの日も迫ってるっていうのに。
「ねぇ、イナン」
「なに?」
「王様の言う通り、女の子らしくしたら、どうかな。」
「別にいいじゃない。わたしはわたしだもの。これが、わたしのやり方なの。文句あるならついてこなければいい」
「何をつっぱてんだよ!」
「つっぱってなんかいないわよ!」
「っていうか、怒ってんの?」
「別に、怒ってないわよ。健斗こそ、怒ってるんじゃないの?」

「なんかさ、あいつら、ケンカ始めてる?」
その、心に反応しているのは、武司。
「しょうがないやつだな~。」
「そういえば、健斗だけだっけ?あの場にいなかったの」
「あー、俺は昌也兄さんから聞いたからね。あと、樹は、イオンさんから、聞いているのかも。門番してるんだし、昌也兄さんたちから聞いてると助かるんだけど・・・・」
その予想は、すでに外れていた。
僕だけなにも聞かされていない。
「もっと、落ち着けよ!そうすれば・・・」
「健斗に、なにが、わかるのよ!」
「僕のこと、信じてないの?」
「そっちこそ、わたしのこと信じてないんでしょ?」
ケンカなんて、もうしたくないのに。
「レンは、わたしのことなんか、忘れてるのよ。イオンには、助けを求めているのに・・・・わたしには・・・・」
「・・・・・・」
これ以上なにもいえない。二人の間には、入れないから・・・・
「変に、優しくされたくないの。」
「僕が、同情して、イナンのボディーガード引き受けたと思ってる?」
「だったら、なに?」
「僕は・・・・・」
「ほら、もたもたしないで、いくわよ。」
「待てよ!」
僕は、イナンの手を握った。この手を離してはいけないと思ったからだ。
「こんなときに、リードするのは男なの。地球では、昔から、男が女を護るのが当たり前なんだよ?
「・・・・・」
「ぼくは、イナンのボディーガードなんだよ?最後まで守るって言わなかった?イナンは、黙って守られてればいいんだよ?」
「・・・・・・」
イナンの目から、涙が流れてる
「あっ!ほら、また泣く!
「へんなの。さっきまで、ケンカしていたのに。」
健斗の手が温かいから。離さないでいてくれるこの手が温かいから・・・・
「だから、それはね。」
「あなたの仲間にバレてるわね」

「えっ?なにが?なにがバレてるの?」
「なにが?って、知らないの?」
「えっ?なんのこと?」
「あなたの、心の中に、探しているクリスタルが、入ってるの」
「えっ?マジで?」
「レンが、解き放ったクリスタルは、6つ・・・・あのひ、あなたたちが、この国へ紛れ込んだ日に・・・・」
「僕の中に・・・探してるクリスタル・・・・」
そういってるときに、ある、視線を感じた
「!?」
「どうしたの?健斗。」
この視線・・・・・
「ねぇ、近くに誰かいない?」
「えっ?誰もいないみたいだけど・・・・」
この、視線はあのときと同じ青い瞳の視線・・・・・
「ねぇ、イナン・・・イオンさんと、イナン以外に、青い瞳の人っているの?」
「青い瞳・・・・」
「いなければ・・・」
「・・・・レンよ」
「えっ?」
「行きましょ」
レンさん?それじゃあ、さっきのは・・・・・

そのころ、イオンさんと、樹は、街に出ていた。
「ねぇ、樹さん。イナンは、レンの声が聞こえないって言ってたけど・・・・」
「レンさんの、声?」
「私にも、聞こえてないのよ?最近は、私とイオンもすれちがってるし・・・・レンとのことで、心が繋がっていないの。力なんかなくても、わたしは、イナンと繋がっていたいの。私と、イナンは、このままなのかしら」
イオンさんが、初めて見せた本音であり、涙だった。
「そんなことない!イナンさんと、イオンさんは、ちゃんと、血の繋がった姉妹やん?ふたりは、同じものをみてるんやろ?」
それは、二人が、レンさんを好きだと言うこと。
「アミを、救えやんかったおれは、偉そうなこといえやんけど、やっぱり、ふたりは、いや、この国の人も、同じ人間なんやなって、感じるんや。」
「樹さんの言う通りかもしれないわ。イナンはね、きっと、まだ気づいてないの」
「えっ?」
「自分の心に、別の人・・・・、心を許せる誰かがいることを・・・・」
「別の人って、それって、健斗兄さん?」
「本人も、まだ、気づいてないわね。じぶんにとって、本当に大切な人が、すぐ、そばにいるってこと」
「わかるわかる。お互い気づいてないんだよね。健斗兄さんは、たぶん、その気なんやけど」
「あの二人は、あった瞬間からかもしれないわ。それか、あのときの、きっかけからね、きっと。」
「あのときの、きっかけ?」
その、きっかけが、きになる、樹だった。

「きれいな湖ね。もうすぐよ、この、湖を、越えたら・・・・」
「ねぇ?イナン、聞きたかったんだけど、その、クリスタルを、狙う人って、イナンの知り合いなの?」
前を歩くイナンは、ピタリと止まる
「だって、レンさんのこと、閉じ込めちゃうなんて、普通なら」
「その話はあとよ。いくわよ」
「ちょっと待ってよ!ったく、人のはなし、最後まで聞けよなー」
だいたいさーと、独り言を呟いていたら・・・・
ガサッって、音がして、現れた人物
「なんだよ!武司!びっくりするじゃん。あれ?武司・・・、お前は、博己兄さんと、一緒に先にいってるはずじゃ?」
「君は、誰?」
「もう、何やってんのよ、健斗。」
「誰って、何いってるの?」
「レン?レンなの?」
「イナン・・・・。レンって・・・この人が?」
「やっと、会えたね」
これが、危険な再会になるなんて思っていなかった。





    
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