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7【完】
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「グレース、君は俺の事を愛していなかったのか?」
この期に及んでこの質問が出てくるなんて脳内がお花畑になっているのかしら。
「ええ、愛していないわよ。
今までもこれから先も貴方の事を愛すなんて絶対にありえない。
貴方との婚約が決まった時には出来る限り貴方の事を愛そうと思ったけど二ヶ月ほどでその気持ちも冷めたわ。
婚約してからも貴方の態度は変わることが無かったから私が歩み寄るのも馬鹿らしくなったの。
それからは貴方の事をただの種馬だと考えるようにしたわ。
元々この結婚は政略的なものでしたし貴方が外で愛人をつくろうが子をつくろうが私にとってはただの面倒事に過ぎない。
私が貴方を愛しているから許したという訳では無いわ。」
縋るように私を見つめていた目は、私が言葉を紡ぐ度に絶望を宿した。
先程まで大きな声で騒いでいたロージーもいつの間にか大人しくなって顔が青ざめていた。
「ロージーさん、貴方は早急に実家に戻ることをお勧めするわ。
その実家があればの話だけれど…
貴方のお父様にもこの事は報告しているの。
認知されていないとしても貴方の父親は貴族ですからね。
弁償金について渋っていたから、もしかしたら貴方達の家を売って弁償金に充てるつもりかもね…
こんなところで茶番を繰り広げていないで、大事なものがあるなら今のうちに家から持ち出した方が身のためよ。」
その言葉を聞いたロージーは血相を変えて本邸から立ち去っていった。
残るはアラン親子のみになったけれど、お義父様はアランに対して殴る蹴るの暴行を加えている。
「私の邸を血で汚すつもりですか?
親子喧嘩は家に帰ってからやってください。
今回の離婚はお義父様にご提示した通りの金額を今週中に払いますのでそれ以降はただの他人ということでお願いしますね。
アランは身一つでご実家に帰りなさい。
婿入りの時も何も持たずにやってきて、この家のお金で身の回りの物を用意したのですからそれを残していくのは当たり前のことでしょう?
では、お二人ともお元気で。」
私は二人の方を振り返ることなく本邸を後にした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
それから数ヶ月が経ったある日。
私は舞踏会にやって来ていた。
夫人たちは私に集まってきて、口々に嫌味を言ってくる。
「種馬を処分なされたとか…」
「次の種馬は見つけたのかしら…」
私は夫人たちに対して何を答えようかと考えあぐねていると私たちの間にある男性が立ちはだかった。
「その男が種馬としての価値しか無かっただけの話でしょう。
政略結婚とはそういうものですよ。
貴方達も夫から子を産むだけの存在だと思われているかもしれませんね。」
男性は私の考えている事をそのまま口にすると、夫人たちはお互いに顔を見合せ私たちの元から去っていった。
その後、私と男性は意気投合して次に会う日を約束して舞踏会をあとにした。
将来、この男性とお互いの存在を尊敬し合い本当の夫婦になったのはまた別のお話。
おしまい
この期に及んでこの質問が出てくるなんて脳内がお花畑になっているのかしら。
「ええ、愛していないわよ。
今までもこれから先も貴方の事を愛すなんて絶対にありえない。
貴方との婚約が決まった時には出来る限り貴方の事を愛そうと思ったけど二ヶ月ほどでその気持ちも冷めたわ。
婚約してからも貴方の態度は変わることが無かったから私が歩み寄るのも馬鹿らしくなったの。
それからは貴方の事をただの種馬だと考えるようにしたわ。
元々この結婚は政略的なものでしたし貴方が外で愛人をつくろうが子をつくろうが私にとってはただの面倒事に過ぎない。
私が貴方を愛しているから許したという訳では無いわ。」
縋るように私を見つめていた目は、私が言葉を紡ぐ度に絶望を宿した。
先程まで大きな声で騒いでいたロージーもいつの間にか大人しくなって顔が青ざめていた。
「ロージーさん、貴方は早急に実家に戻ることをお勧めするわ。
その実家があればの話だけれど…
貴方のお父様にもこの事は報告しているの。
認知されていないとしても貴方の父親は貴族ですからね。
弁償金について渋っていたから、もしかしたら貴方達の家を売って弁償金に充てるつもりかもね…
こんなところで茶番を繰り広げていないで、大事なものがあるなら今のうちに家から持ち出した方が身のためよ。」
その言葉を聞いたロージーは血相を変えて本邸から立ち去っていった。
残るはアラン親子のみになったけれど、お義父様はアランに対して殴る蹴るの暴行を加えている。
「私の邸を血で汚すつもりですか?
親子喧嘩は家に帰ってからやってください。
今回の離婚はお義父様にご提示した通りの金額を今週中に払いますのでそれ以降はただの他人ということでお願いしますね。
アランは身一つでご実家に帰りなさい。
婿入りの時も何も持たずにやってきて、この家のお金で身の回りの物を用意したのですからそれを残していくのは当たり前のことでしょう?
では、お二人ともお元気で。」
私は二人の方を振り返ることなく本邸を後にした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
それから数ヶ月が経ったある日。
私は舞踏会にやって来ていた。
夫人たちは私に集まってきて、口々に嫌味を言ってくる。
「種馬を処分なされたとか…」
「次の種馬は見つけたのかしら…」
私は夫人たちに対して何を答えようかと考えあぐねていると私たちの間にある男性が立ちはだかった。
「その男が種馬としての価値しか無かっただけの話でしょう。
政略結婚とはそういうものですよ。
貴方達も夫から子を産むだけの存在だと思われているかもしれませんね。」
男性は私の考えている事をそのまま口にすると、夫人たちはお互いに顔を見合せ私たちの元から去っていった。
その後、私と男性は意気投合して次に会う日を約束して舞踏会をあとにした。
将来、この男性とお互いの存在を尊敬し合い本当の夫婦になったのはまた別のお話。
おしまい
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