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28話 知らない設定と恋バナ。
しおりを挟む「はぁ?あり得ないわよ。それ安藤よ?」
美少年の写真に対してそう言ったエリカにミライは詰め寄った。
「ちょっと!!それ詳しく」
「どう言う事なん?!」
にゃん子も驚愕に目を開いている。
(ええ?しかも美少年があれにどう言う成長したらああなるの?)
安藤とエリカが幼馴染だなんてミライの原作知識にそんな情報は無かった。
まず安藤は最初の噛ませ役なので、ツバサとの決闘イベントの後はいつの間にかストーリーからは退場するのである。死ぬわけでは無い。アニメ本編では詳しくは説明されていないがファンブック特典でショートストーリーが読める、そこでさらっと説明されるのだが安藤の実家はそこそこ大きな家で跡継ぎ問題で少し揉めている。安藤には病気の兄がいて、そのスペアとして育てられているからだ。安藤は家を継ぎたくなくて反発しているのだが、ほぼ間違いなく死ぬであろう兄のせいで実家に縛り付けられているのである。だからグレていると言うような設定らしい。
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「あー?安藤?あいつ仲間を半殺しにして退学したらしいぞ、まあいつかそうなると思ってたよ俺は」
と言う通常クラスのモブ男子の台詞だけでさらっと流されるのである。
安藤ェ
なのでミライは安藤の新しい設定に驚きエリカに詰め寄っている。まさかメインキャラと昔、接点が有ったとは。
(あー、でも。だから食堂で絡んでたの?)
にゃん子はと言うと今の安藤と美少年安藤との差で驚いてエリカに詰め寄っている。
無理も無い。安藤の今の容姿は 頭にヒョウ柄のバンダナを巻いて目元は影になってわからないが口元にはいつも軽薄そうな笑みが浮かんでいる。無精髭も生えている。襟足からはキシキシの汚い金髪が覗いていて、身長は185cmくらい有るがだらしなく着崩した制服で台無しだ、清潔感が全くないのである。腰に指した刀を突きつけて相手を脅す、ただのチンピラだ。後は取り巻きに汚い金髪二人を連れている。
「いやいやいや、別人やーん!!」
にゃん子がそう叫んだ。それにはミライも同意だ。うんうんと頷く。
「そ、そんなにかしら?」
二人の反応にたじろぐエリカだったが、咳払いを一つして話し始める。
「確かに昔は仲良かったわよ?」
そしてエリカは語り出す。
エリカが幼い頃、親が仕事の関係で安藤の家に行くことが多くて同じ年の子供が居るほうが良いと言うことでエリカも連れて行かれていた。
「あの頃の豹二郎は優しかったわね」
とエリカは言う。
初めて会った【安藤豹二郎】は兄の背中に隠れて恥ずかしそうにしていた、だが年も近く聡明な子供だった二人はすぐに仲良くなった。エリカはそう思っていた。
「ある日いきなり、豹二郎のお母様に息子は遠くに引っ越したって告げられてそれきりよ。そしてここで久しぶりに再会したと思ったらアレよ?ただそれだけ」
エリカは少し遠い目でそう言う。懐かしんで居るようなそんな目だ。
「あー、あのね、今日の事なんだけど、私ほんとに安藤君に何もされてないんだよね、だから今日の安藤君は被害者なわけで……」
幼馴染と聞いたら、あんまりにも安藤が哀れになって誤解を解こうとミライは説明する。流石に可哀想だ。本当に誤解なのだから。
「ん?ふふ、あのね。実はミライが何もされて無いの私わかってたのよ。」
エリカはウインクしてそう言う、
「へっ!!じゃあなんで?」
(ならなんでユアンを止めてくれなかったの?)
「……元々いつかはやらないと駄目な事だったからよ。ミライの知らない所であいつ結構やらかしてるのよ。色々とね……」
寂しそうに笑うエリカ。
「だから今日じゃなくても、私がそのうちユアンに頼んでいたわ」
(不良だもんね……、そっか、だから)
ミライは何も言えなかった。なんだか気まずい空気になったのをにゃん子がぶち壊してくれた。
「なーなーお二人さーん?今日はミライちゃんの部屋のベットで皆で寝よーよ」
「えっ!!うちで寝るの?」
「そやそや、だぁってめちゃ広ーいベットやん!!しかもめちゃいい香りしてたし」
「私は別にいいわよ」
エリカがそう答える。
(まあ別に断る理由は無いか……)
「いいよ。なら二人がいいならそうしようか」
そうと決まったら、とりあえずお風呂に入ってからミライの部屋へ行くことにする。
お風呂はエリカの部屋で入ることになった。
なかなか広くて綺麗だった。さすが特別クラス専用の寮だ。
◇◇◇◇◇◇
「はー、さっぱりしたねー」
「そやなぁー」
「ふふ、そうね」
3人でホカホカしながらミライのベットへ寝転ぶ。3人でも全然余裕である。めちゃくちゃデカい。
「んーそれにしても、めちゃいい匂いやなぁ」
ゴロンと寝返りを打つとにゃん子はうっとりと呟く。
「ほんとね」
エリカもうっとりとしている。
「んーそうだね。」
ミライはクンクンと鼻を鳴らしてベッドサイドに置かれた編入祝いの花束に顔を近づける。そして気づく、真ん中の一輪の薔薇が造花で有ることに。引き抜いて匂いを嗅いでみるとその造花から甘い匂いがしていた。甘ったるい匂いだ。
「あー匂い染み込ませてある感じかな?う……」
クンクンしていると胸焼けしそうになってベットサイドに置き直す。
にゃん子とエリカは大絶賛だがミライは甘すぎる匂いに酔いそうだった。
(おえ。ちょっと苦手な匂いかも)
「んー?それ造花なん。かわいー」
にゃん子が造花を持ち上げてうっとりと呟いている。
「ん、良ければあげるよ。」
「えーホンマに!!やったーありがとー」
にゃん子はいそいそと鞄にしまっていてミライはクスリと笑う。にゃん子は意外と女の子らしいみたいだ。
鞄に仕舞った事で匂いが和らいで何故かミライはホッとした。眠くなって来てウトウトしていたらにゃん子がにやにやしながら近づいて来る。
「うふふん、ちょっぴ待ってや、まだ寝かせないしー。女が3人集まってんねんで!!やる事あるやろー?」
「プロレス?」
ミライがはぐらかすと指をワキワキさせてにゃん子が言う。
「んー?そうしてもええけどー?ただしギブは許さないけどー?」
「あーうそうそ。冗談ですって!!」
二人で、じゃれているとエリカがポツリと呟く。
「恋話、する?」
チラリとみるとエリカは耳が真っ赤になっていた。煙もほんの少しだけ出ている。分かり易い。
◇◇◇◇◇◇
3人円になるようにベットの上に座り込む。
「じゃあ誰から行く?」
「はーい、はーいうちはミライちゃんの話が聞きたいでーす」
にゃん子が挙手する。
「えー話す事別に、なんにも無いですよ私」
「またまたまたー……むふふ、ユアンといい感じやーん」
「いやいやいや、無いから、止めてよ」
肘でツンツンしてくるにゃん子にイラッとする。思わずタメ口になる。ふと静かなエリカに目をやれば赤い顔でおずおずと切り出される。
「あ、あのね、ツバサさんって彼女いるのかな?」
ミライは一瞬思考が止まった。だがすぐにハッとしてそれに答える。
「いやー居ないんじゃない?それに今日エリカちゃんといい感じだったじゃん!!」
ハーレムの為にもここで好感度を稼いでおかないと、とミライは思い反射的にそう言った。
「え?そ、そう見えた?本当に?からかって無いわよね?」
「うん、なんか二人ってお似合いだよねー」
嬉しそうにモジモジしているエリカにまたすかさずそう返す。
手応えを感じる傍ら、何故か胸が痛むミライだった。
(……なんで?)
そんなミライをチラリと見て小さくにゃん子が呟いた。
「あほやなぁ……、ほんま、あほ」
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