【改稿版】この世界の主人公が役にたたないのでモブの私がなんとかしないといけないようです。

鳳城伊織

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27話 人殺し。

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「あー、ほんならそろそろお皿並べたりしてくれる?ユアンちゃん。ツバサちゃんにも教えてあげてなぁ」

台所から顔を出したライアンはいつの間に着替えたのか髪をポニーテールにして白のハイネックセーターにピンクのエプロンを着けていた。

《ピンクのエプロンを着けていた。》

更には右手にはお玉、左手には鍋つかみを持っていた。

新妻?あれ?常識人?

ツバサはライアンを二度見した。そんなツバサにユアンが声をかける。

「ツバサ、こっちの棚からお皿を机に並べてくれるかい?」

ツバサが振り向けば意外な事に西園寺も机を拭いたりしていた。伊吹虎はコップを並べている。

「あ、うん」

言われた通りにツバサは棚から数枚のお皿を取り出して見様見真似で並べていくことにする。それにも一段落つくと伊吹虎がユアンに近づき尋ねていた。

「ユアン!!昼間、給餌していたのは彼女か?」

「へ?昼間……。」

ユアンはぽかんとしてそれから面白いくらいに真っ赤になった。

「いや?!まだ彼女じゃないよっ!!」

そうユアンは叫んだ。

伊吹虎はそんなユアンを興味深そうに見て

「そうか」

と言っていた。


(……。まだ?)

ツバサはそこに引っかかって何故だかイラッとした。


◇◇◇◇◇◇




食事が始まると凄い勢いで机の上に山盛り有ったおかずと、おひつの白米は消えていった。


「「「ご馳走様でした」」」

「はい、お粗末様です。」

食べてすぐに、西園寺がライアンを見て

「……ごはん」

と言った。

まだ食べたりないのかとぎょっとするツバサにライアンは苦笑する。

「違うんよ、私のあだ名なんよ」

「ええ?ご飯があだ名なの?」

ツバサは西園寺に視線を向ける。無表情だ。だがしっかりライアンを見ている。やはりツバサには理解出来ないセンスだ。

さっきの「……ごはん」はお礼だったみたいだ。一応は意志の疎通が出来るのかな?と思うツバサだった。

ジッと西園寺を見ていると

「……チワワ」

と言われた、変えて欲しい。


食後ライアンがお茶を出してくれてしばらくは皆で談笑していた。ふと、ライアンを見ると今はピンクのエプロンはしていないシンプルな格好だった。高く結い上げたポニーテールに白のハイネックセーター、黒いスキニーパンツ。これなら普通だ。

「なぁに?そんなに熱い目で見られたらお兄さん照れるわぁ」

「いや、和服じゃないんだなって」

完全な和室の部屋を見てからてっきり着物とか着ているのかと思ってしまったので疑問を口にする。

「着ない事もないけど私背ぇあるから丈がなぁ」

「でも良く上から羽織ったりはしているよね」

ユアンが話に入ってくる。

「あーそれ凄く似合いそうだね」

和やかに話していると伊吹虎がいきなり立ち上がった。

「うむ!!ワタシ達はそろそろお暇するのである!!」

「あ、ちょお待って待って」

慌てたように伊吹虎を引き止めて、ライアンは台所から風呂敷に包まれたお弁当らしきものを二人に渡す。

「いまから、出発やろ?朝ごはんにでも食べて」

「え?今から何処か行くの?」

ツバサが尋ねると伊吹虎は頷く。

「うむ!!任務である。なのでまたしばらくはお別れである!!」

「……ごはん。」

「すまんな!!ライアン。またなにか土産を持ってくる。」

見送り不要!!と元気よく去っていく二人(元気なのは伊吹虎だけ)の背を見送る。それからツバサはぼんやりと思う。


(そういえば、西園寺君、ユアンのあだ名は呼ばなかったな。なんて呼ぶんだろう?)






西園寺が扉を出る直前に振り返りユアンを見て

「……人殺し」

と呟いたのは誰にも聞こえなかった。



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