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26話 男子会。※挿絵有り
しおりを挟む今ツバサはライアンの部屋に居た。
「皆、どんどん食べて、大きくなりやぁ。」
さあ、どうぞと言うと、ライアンは次々と机に料理を運んで来た。ツバサの目の前には唐揚の山。でかい器に盛られた煮物。豚カツの山。またまた、でかい器に盛り付けられたサラダ。そしてそれぞれの前にラーメン丼ぶり並みの器に入った豚汁が白米とセットで置かれた。
「おかわりしたければ、自分らでしてぇやぁ」
近くにおひつが3つ置かれる。
「「「「「「いただきまーす」」」」」
数人の声がハモる。
今、ライアンの部屋にはライアン含めて5人の男子が集まっていた。
◇◇◇◇◇◇
ミライと別れたツバサは、ライアンの待つ教室へと向かっていた。教室の扉を開けると、ライアンが二人の生徒と談笑中だった。ツバサに気づいたライアンは手招きしながらこちらへ近づいてくる。
「あー、ツバサちゃん。待ってたでぇ」
「……。そっちの二人は?」
ライアンの後ろの二人も、こっちを見ていた。なのでツバサはライアンに尋ねる。
「ん?ああ、クラスメイトやで?ちゃあんと紹介するから、安心してぇな」
ライアンはニッコリ笑って、ウィンクをした。するとすぐに、後ろの男が一人、口を開く。
「挨拶が遅れてすまない!!ワタシは【伊吹虎京介】である。隣のコレは【西園寺椿】だ。これからよろしく頼む‼︎」
ユアンとは、また違った金髪の短髪で赤い眼鏡をかけた真面目そうな男が、そう言う。その隣の男は、濃い紫のウルフカットで頭頂部はぴょんぴょん髪がハネている。前髪が長く、片目は隠れていた。あらわになっている右の光の宿らない赤い瞳で虚ろにツバサを見つめて
「……チワワ」
と言った。
ツバサは、ミライから読まされたノートの内容を思い出しながら、目の前の男達を眺めた。
【伊吹虎 京介】
魔法適性は火、銃火器を媒介に魔法を使って戦う。真面目だが、ときに天然で暴走する。任務に行く事が多いので、教室にはあまり居ない。【西園寺 椿】とは従兄弟。
【西園寺 椿】
魔法適性は闇。銃火器を媒介に戦う。あだ名魔、レイプ目。
その下に赤文字で《要注意人物、彼は二期終盤で、伊吹虎と相打ちで死亡、敵?》
と書いてあった。
二期の最後の方のストーリーに関わってくる重要キャラだと書いてあったのを思い出して、ツバサは手のひらを握りしめた。そして思った。チワワって僕のあだ名?と。
物語初期なら二人と絡んでも問題なさそうだと少し気を抜く。それから、明日園田さんに報告して詳しく聞かないとな。と考えながら二人に挨拶を返す。
「あ、僕はツバサ・ブラウンです。よろしくお願いします。」
「うむ!!よろしく頼むのだ‼︎」
伊吹虎はニンマリと人の良い笑顔を浮かべると、西園寺の背中をバンバン叩いた。
「すまんな!!コレはシャイな男で口数がすくないのだ!!」
叩かれる度に西園寺が前後に揺れていてツバサはちょっと引いた。
「……眼鏡」
「ははは、ワタシは京介だと何度も言っているだろう?」
バンバンユラユラしている二人を眺めているとライアンが、パンパンと手を叩いた。
「はいはい、自己紹介も、そこそこにしといてんか。そろそろ帰ろかぁ、今日はツバサちゃんの歓迎会しよーって話しててん」
「え?歓迎会……」
「あ、勝手に決めてしもて悪いけど、もし用事とかあるんなら言ってなぁ、そしたら別の日にするさかいなぁ」
「え、ううん。何も無いよ。えと、ありがとう、凄く嬉しい……」
(歓迎会……うわ、嬉しいな)
ツバサは頬をほんのりと赤く染めた。
「ふふふ、なんやツバサちゃん。ちゃあんとした子やん。ちょっと安心したわぁ」
ホッとしたようなライアンにツバサは頭に疑問符を浮かべた。
「?」
「ほな、スーパー寄って帰ろかぁ。あ、ユアンちゃんなら、ちゃんと後から来るから大丈夫やよ?」
ライアンはパチリとウィンクして、ほら行くでーと、まだ西園寺の背中をバンバンしている伊吹虎の背中を押していた。
「……ごはん」
その後ろでフラフラ西園寺が揺れている。
◇◇◇◇◇◇
スーパーで買い物をしてライアンの部屋に着いたツバサはキョロキョロと辺りを見回していた。
(あれ?僕の部屋とは、全然違うんだ?へえ………)
先に荷物を置きに行った自分の部屋は洋室だったのだが、ライアンの部屋は和室だったのだ。キョロキョロするツバサに食材を冷蔵庫に片付けながら、ライアンがおかしそうに言う。
「あー、部屋は自費でカスタム出来るんよ。私は親が入学祝いに和室にしてくれてん。元々実家はおっきいお屋敷なんよ。そやから慣れてる和室がええやろって。ほんま、過保護な親バカで困るわぁ」
嬉しそうにそう言うライアンは、家族に愛されているらしい。確かにミライから渡されたノートにも、ライアンには、これと言って問題は無いと書かれていたなと思い出す。
(一番常識人って書いてあったなぁ。確かに凄く感じが良くて、良い人だなぁ)
「あー、私は今から晩ごはん作るさかい、皆でゆっくりと、なかよぉしといてなぁ」
ツバサは手伝いを申し出たがライアンからは「台所に入られたくないんよ」と申し訳なさそうに断られた。
後でお皿並べたりは頼むわぁと言われたので、渋々引き下がる。伊吹虎と西園寺は我が物顔で机を囲んで座布団にどかりと腰を落としていた。掘りごたつになっているようだ。二人は良く来ているみたいで勝手知ったると言う様子だ。ツバサも腰を下ろすと伊吹虎が興味深そうに見てくる。
「あ、えーと、何?」
「むっ!!すまんすまん。少し気になってしまったのである。ツバサは、どの様に戦うのだ?」
伊吹虎はジロジロとツバサの体を見て不思議そうに首をかしげている。
「いやはや、筋肉の付き方からして、あまり武人には見えんのでなぁ!!だが、それなりに戦えるのだろう?でなければ編入などして来ないだろう?」
伊吹虎はツバサの腕を掴むと手のひらをしげしげと眺める。
「武器を使うタイプであるか?獲物は何を?あまり手は使わないのか?……柔らかな手なのだ‼︎」
次々と質問攻めにされて困っていると西園寺がボソリと言う。
「……眼鏡」
「むっ!!おっと、すまんなあ!!編入生と聞いて興奮してしまったのである」
一応西園寺は止めてくれたようである。
ホッとして、そちらを見ると西園寺は
「……ガチョウ。…ガチョウ」
そう虚な目で、ブツブツ言っている。
正直怖い。
「ああ!!彼女か!!」
西園寺の呟きに心得たと言うように頷いてから、伊吹虎は、またツバサに向き直り、ニンマリと笑顔を浮かべた。
「一緒に編入して来た、園田という女子はツバサの彼女なのか?」
(え?彼女、彼女?園田さんが……彼女?!)
「ち、違うよっ!!友達!!!!友達だよっ!!」
真っ赤な顔でツバサが慌ててそう答えると伊吹虎はふむ、と頷く。
「では、ユアンの彼女か?そうか。うむうむ」
うんうん頷いて、勝手に、そう納得していた。
「え!!それも違うよっ!!!」
ツバサが力いっぱい否定すると、伊吹虎は不思議そうな顔をする。
「ふむ、しかし昼に食堂で見かけた時は、かなり親密な関係に見えたのである!!ユアンのあんな顔を見るのは初めてなのだ」
「……ガチョウ」
西園寺に何故か、しっかりこちらを見て言われた。
(……ガチョウって園田さんのあだ名?なんで?)
彼のあだ名センスは凡人のツバサには良くわからない。
「とにかく違うから。絶対にないから」
「ふむ?」
尚も不思議そうな顔をして伊吹虎は呟く。
「何故、ツバサがそんなにムキになるのだ?まあ、ユアンにも聞いてみるか」
その言葉に何故かツバサはモヤモヤした。
◇◇◇◇◇◇
暫くしてユアンもやって来た。
「やあ、皆揃っているね」
「あら、ユアンちゃん。思ったより遅かったなぁ、どないしたのぉ?」
「いや、はは………。加減したつもりだったんだけど。結構、壁の中にもダメージが行っていたみたいで、修復に時間がかかってしまってね」
ああ。まあそうなるよね、とツバサは実習室での事を思い出して納得する。
室内は半壊していたからだ。寧ろ、もう修復が終わったのかとツバサは驚いた。
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