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25話 幼馴染。

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「あー、そのお肉うちが狙ってたのにー!!」

「ちょっと、にゃん子さん。意地汚いですよさっきからお肉しか食べてませんよね?ほら、野菜もとってあげます!!」

「もう!!まだまだあるんだから、喧嘩しないの!!」

肉ばかりを食べるにゃん子のお椀に良く煮えた白菜をぶち込んでいくミライ。

にゃん子は肉ー肉ーと騒いでエリカが呆れたように、肉のパックを持ってくる。見た目一番子供のエリカだが精神的には一番大人である。なんだかんだ楽しい鍋パーティーになっている。

「あー食った食った!!あ、エリカちゃんは座っとき!!片付けはうちらの仕事っ」

「うん、エリカちゃんは座ってて」

さっと、立ち上がるエリカを制してにゃん子とミライはシンクへと向かう。

二人で洗い物をしていると、エリカがなにやらクローゼットをゴソゴソしているのが見えた。

「エリカちゃん?何してるん?」

にゃん子が声をかけるとすぐにエリカから返事が返ってきた。

「アルバム探してるのよ。ユアンとライアンの子供時代の。二人とも見たくない?おかしいわねーここに入れたと思ったんだけど」

尚もエリカはゴソゴソとしている。その言葉にミライも食いつく。
 
「子供時代?!」

(オワセカファンとしては、聞き逃せないっ!!アニメに子供時代の映像は出てきてないし!!)

にゃん子も食いついた。

「えー!!そんなん絶対見たい!!絶対面白いもん!!」

「あ、あったわ。見たいなら早く片付け終わらせなさいよね」

アルバムを無事に見つけたようで机に置いてエリカはニコリと笑って二人に声をかけた。

「よっしゃ、スピードアップやぁ」

機嫌良さそうに、にゃん子が手の動きを早める。

(にゃん子さんも気になるんだ。そう言えば……。)

にゃん子から受け取った食器を拭きつつミライはにゃん子に声をかける。

「そういえばにゃん子さんって時々、ライアンさんと話し方似てますよね?出身地同じとかですか?仲も良いですよね?」

何気なくそう尋ねるとピタリとにゃん子の動きが止まった。

「えー?そうなんかなぁ?まぁ結構話す方やからぁ、伝染ってしもてんのかなぁ?……出身は全然違うよー?」

「あー、なるほど。」

そういえば、関西弁とか訛りってうつりやすいよーな気がするなとミライは納得した…

にゃん子の耳が若干赤いのにミライは気づかなかった。

「さー!!はりきってラストスパートや!!」

「うぉ!!いきなり元気になってどうしたんですか?」

「べ、別にぃ?はよアルバム見たいしー。」

なにやら鼻歌でも歌いそうなにゃん子にミライはちょっと引いた目を向ける。





◇◇◇◇◇◇



「早速見ちゃうぞー」

「にゃん子にミライ。片付けありがとう」

「んーどういたしまして」

3人で机の前に集まってアルバムを開く。

キラキラした銀髪の褐色の美幼女が二人の赤ん坊の前ではにかんでる。

「うわーこれライアン?女の子にしか見え無いしー」

「はー、かわいい」

その後写っている3人が少しづつ大きくなっていく。どれもすごい笑顔で幸せそうだ。

暫くページを捲り一枚の写真に目を止める。エリカとユアンが5、6歳くらい。ライアンが8、9、歳くらいだ。フリフリ多めの服を着た美少女3人にしか見えない。

ユアンなど金髪碧眼で今より髪の毛が長い、フランス人形みたいだ。やっぱりイケメンは昔から変わらない。

「あれ?子供の頃はまだ魔眼じゃないんだ。」

ミライは思わず呟く。

アニメにはそれほど詳しくユアンの生い立ちは出てこない。設定資料集のおまけで軽く語られるけどそれだけだ。ミライはユアンは生まれつき魔眼持ちの設定だと思っていた。

「あーユアンに印がついたのは確か8歳くらいよ。」

エリカが更にパラパラとアルバムを捲ると、ある時期を境にユアンの右眼が赤く染まっていた。

「ね?ここからはもう今のユアンと同じ瞳でしょ?」

そこに写るユアンは確かに魔眼持ちになっていた。

(ふーん?印って後天的に授かるものなんだ?知らなかった……。)

その後も皆でアルバムを眺める。最後まで見終わって、ミライとにゃん子はお互いにアイコンタクトをとると静かに頷き、エリカに尋ねた。

「なーエリカちゃんって呪いでもかけられてるん?」

「ある時期から一切エリカちゃんだけ成長してないんだけど?」

エリカが10歳くらいからユアンとライアンはどんどん変化していくのに、合成写真みたいにエリカはそのままの姿だった。

「うるさいわよ!!成長してなくて悪かったわね!!」

エリカはプンプンしている。それを笑って眺めながらアルバムをもう一度パラパラと最初から見ているとミライは一枚の写真に目が止まった。

賢そうな黒髪の着物を着た美少年と浴衣姿のエリカがお揃いのミサンガを着けて手を繋いでいる。

「これは?」

「ん、あ、ひょーじろ……そいつも幼馴染よ」

「ほうほう!!こんな美少年って事は今はめっちゃイケメンやーん、今も仲良ししてるんかなぁ?」

にゃん子がニヤニヤとエリカを見る。その視線に対してめっちゃ嫌そうな顔をしているエリカが爆弾発言をした。

「はぁ?あり得ないわよ。それ安藤よ?」


「「はああああ?!」」

ミライはこちらの世界に来てから一番驚愕した。

にゃん子も横で凄い顔をしている。顎が外れそうだ。
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