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35話 ちぃあにさま。
しおりを挟むん?と思ってミライは目を擦ってみるが、やはりブランの後ろで小さな薔薇が咲いてはキラキラと消えていく。周りを見たら皆こっちを見てたので皆にも見えている。ミライの目がおかしいわけではなさそうだ。
「ふ、そうだろう!!そうだろう!!我が姫は世界一可愛いのだ!!害虫共を払うのも一苦労よ。」
めっちゃ嬉しそうなブランにミライは若干引いた。
(ち、チョロすぎぃ!!)
「あー、ブランさんもかっこいいですもんねー」
一応ブランも褒めておく。すると薔薇のエフェクトが消えた。ブランの笑顔もスンッと真顔になった。
「ふん、そうか?」
「まあ妹さんに似ているんですから、当然ですよね!!妹さんの髪の毛サラサラで羨ましいです!!」
薔薇のエフェクトが出る。
「ふん!!姫の髪は私が毎日丁寧に世話しているのだから、当然だ、まあ姫の髪は元々美しいがな」
ミライは確信した。これは好感度エフェクト!!乙女ゲームで正解の選択肢をしたら現れるあれだ!!
まあ実際は幻惑の魔法を得意とするブランのテンションが上がったが故の、軽い魔力暴走なのだが。
エリカの煙と同じだ。
ちなみにエリカは、今までずっとツバサと居る時は煙が頭から軽く出ている。皆慣れて突っ込まないだけである。むしろ無いと、少し物足りない。
ミライはブランのエフェクトが面白くなって、出たり消えたりするように会話を誘導して遊ぶ事にした。
(わかり易いなぁ……。ふふ)
◇◇◇◇◇◇
ツバサがミライに目をやると何やらブランと楽しそうにしていたので、少しムッとする。
(何やってるの?園田さん……)
立ち上がって側に行こうかと思ったらマロンに引き止められる。
「だめ。………絵本よんで。あにさま楽しそう。邪魔は、だめ」
「え?…う……うん、わかったよ。何が良い?」
「ちぃあにさまが、きめて?」
マロンから、【ちぃあにさま】と呼ばれてツバサは頭に疑問符を浮かべた。
エリカがその横でマロンを凝視していた
「えっと?ちぃあにさまって、僕の事?」
ツバサが自身を指差して尋ねると、マロンはうんうんと頷いている。前世で弟は居たけど、妹の居なかったツバサは嬉しくなった。
「そっか、ふふ、ありがと……。僕がお兄ちゃんかぁ……。ふふ」
ツバサがマロンの頭を撫でるとマロンも嬉しそうに、はにかんでいた。
「私もお兄ちゃんって呼ぶわ!!」
エリカがなんか言い出した。
「え、一乗寺さんも?……ふふ、ありがとう。なんだか照れるね?でも嬉しいよ」
今、此処にミライが居たらきっと突っ込むだろう。
ツバサ!!気づけ!!
そいつらは年上だ。と……。
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