【改稿版】この世界の主人公が役にたたないのでモブの私がなんとかしないといけないようです。

鳳城伊織

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34話 エフェクト。

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暫く警戒していたが、ミシェルはピクリとも動かない。

(死んでるの?それともミシェルだと思ったけどアレ、ローブ掛けか何かか?)

ミライはじっと目を凝らした。だが、やっぱりミシェルは動かない。

(なんなの?……。)

ふと他の人が気になって、周りを見てみると、にゃん子とライアンは料理本を仲良く読んでいる。

チラリと見えた題名は『4本足なら何でも食べられる!!実践野営料理』と書いてあった。

(仲良いな、あの二人………。なんでにゃん子アニメに出てなかったんだろ?)

また周囲を見回す。ユアンと桜が話し込んでいた。どうやら昨日まで、桜が行っていた任務の話を聞いているみたいだ。

(真面目だなー、ツバサ君は?)


キョロキョロと見回すとラグの引かれた場所。休憩スペースの様な場所で、ツバサはエリカとマロンに絵本を読み聞かせている。保育園のようだ。

(この部屋、絵本まであるの?)

と言うかあの中だとツバサが一番年下では?あ?でも精神年齢的には前世合わせたらおっさんだからおかしくない?ミライが脳内でぐるぐると、そう考えて居たら、険しい顔のブランがジリジリ近づいて来た。


(ひえ!!なんか来た!!右肩はやめてっ!!せめて左でお願いしますっ!!)

思わず右肩を守りながら、慄いているとブランは目の前で止まって、ミライを見下ろす。

「さっきは、本当に済まなかった。………醜女などとは本気で思っていない。」

顔を顰めて、ボソリとブランが言った。

(ついに幻聴が?)

そう思っていると顔に出てたみたいで、ブランは更に顔を顰めている。

「おい、何を考えてるのか丸分かりだぞ?失礼な女だな。貴様」

「あ、いえ。なんかすみません」

「勘違いするなよ。麗しいとも思っていない。」

フンと鼻で笑ってブランはそう言う。ミライはイラッとした。


その時、空気がひやりとして背後からユアンの視線を感じたので振り向いて、大丈夫だよーと手を振っておいた。ブランも冷や汗をかいて居る。

「……虎の威をかる女狐め」

限りなく小声でブランが言った。

(おい、聞こえてんぞ?こら)


「ふん、一応、貴様にも私の名前を教えておいてやる、私はブラン・ルージュ。そしてあそこで可憐に絵本を読んでいるのが、我が妹であり我が姫のマロンだ。貴様も、あの可愛さを少しは見習うと良い。」

またイラッとしたが、まあミライは大人なので笑顔で流す事にした。本当は反応するとユアンが怖いから、である。惨劇は避けたい。

「あー、そうですね。見習います。………、えーと私は園田ミライです。」

「……」

何故か話は終わった筈なのに、ブランは隣で立っている。

ミライはもう一度、周りをキョロキョロ見回して理解した。ぼっちは嫌ですもんねわかります。

(にしても、………アニメだと死んじゃうなんて信じられ無いな、実際こうして話してみると、余計に………、でも、死ぬ所見たし………)


ブラン・ルージュは、二期終盤で敵に狙われて殺されかけている主人公の身代わりになり死ぬのだ。

得意の幻惑魔法で、主人公の姿を真似て

「ふん、妹を泣かせるなよ……ツバサ」

と言って敵をひきつけて、そのまま殺される。

そして死ぬ間際にツバサと一緒に笑っているマロンの事を思い出すのだ。それで出番は終了、後日墓石の前にツバサとマロンが訪れていた。

(シスコンだけど、良い人だし、死なせたくない。出来れば助けたい………)

助ける為には、親しくなっておいて損は無いなとミライは話しかける事にした。

「あー、ブランさん?」

なんか凄い嫌そうな顔をされた。解せぬ。

「……ブランで良い。なんだ?」

「あー?」

(あ。話しかけたけど、話題が無いっ!!しまった!!)

ふとマロンが目に入ったので、ミライは慌てて口を開く。

「あー、あの、いやー。本当妹さん可愛いですねー。あんなに可愛いと兄としては心配ですよねー?」

とりあえず妹上げ作戦をすることにした。ブランの趣味とか分からん。ミライはブランの事は、マロンの事大好きマンと言う事しか知らない。

(くっ、流石に無理か?ワザとらし過ぎかな?)

冷や汗をかいて、ミライがそう思っていると、ブランの背後に薔薇が咲くエフェクトが出た。

(ん?………何これ、え?)








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