【改稿版】この世界の主人公が役にたたないのでモブの私がなんとかしないといけないようです。

鳳城伊織

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36話 任務。

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なんだかんだ楽しく過ごしていたら、実習室の扉が急に開いた。

「あー、おい。ユアン、ちょっと来い」

担任のジョーンズが入口から、ユアンを手招きで呼ぶ。その手にはプリントを持っているようだ、ジョーンズは部屋を見渡してから、また口を開く。

「園田、ツバサ、ルージュ兄妹、あと。あー、ミシェルには渡さなくていいから。…………残りの奴らは目を通しておけ」

ジョーンズは、ユアンに数枚のプリントを押し付けると、そのままさっさと出ていった。


「ユアン。なにそれ?」 

ミライがユアンに近づくと、ユアンはニッコリと笑う。

「これは?えっと。強制任務のお知らせかな……」

ユアンはプリントをチラリと見て、そう答えた。

「あらぁ?それ全部同じ所なん?随分大人数やねぇ。初めてちゃう?」

ライアンも近づいて来て、ユアンの手元を覗き込んでいる。

「とりあえず皆に配るよ、各自で読もう?」

苦笑してユアンが皆へと、プリントを配る。

「強制任務なのに、なんで私達は除外されたの?」

(………行かなくて良いなら助かるけど)

ミライは疑問に思って、そうユアンに尋ねる。

「ああ、流石に学校側も、行かせても問題無い生徒を選んでるんだよ。ほら、いくら皆、能力が有ると言っても、現場によっては向き不向きがあるからね。後は怪我や病気の時も行かなくて良いんだよ。」 


「ミライちゃん達は編入したばかりで、まだ学校側も、よぉわからへんから保留してるんとちゃうかなぁ?その内ちゃあんとテストが有るし、強制任務はその後になるんと違う?」

「あー。なるほどね」

(…………テストも何も……、私は絶対無理そうだけどなぁ)

そういえばにゃん子も暫く行ける任務が無かったって話してた気がする。チラリと見るとツバサもこちらの話を聞きながら、ウンウンと頷いていた。。

「今回は、にゃん子ちゃんも一緒に行けるねぇ良かったわぁ」

ライアンがにゃん子に声を掛ける。

「やー、昨日からなんか運が向いて来たしー!!」

にゃん子は嬉しそうだ。

「あらまあ、国沿いの壁が崩れたみたいですわよ!!」

桜がそう言って無駄に胸を寄せている。ミライはイラッとした。

「あー、なるほどねぇ。長距離間に渡って壁が崩れてしもたんやね、私らは、その修復の間の護衛って所やなぁ」

壁の外には魔物や魔獣がうじゃうじゃ居る。

魔法適正が土の人間で、壁を修復するのだが、修復中は無防備になるので、それの護衛任務らしい。

「ああ、他の学校からも結構来るみたいだね。………へぇ、凄いな」

ユアンはプリントを見て、驚いた様にポツリと零していた。かなりの距離で崩れたみたいで人手が欲しいのだろう。

「いつから行くの?」

「昼食を食べたら中庭に集合って書いてあるから、今日、すぐみたいだね」

「あらぁ。ほんま!!じゃあ早く用意しぃひんとやね」

ライアンがそう言って頬に手を当てている。


「長くても3日程みたいだから、荷物は少なくて済むわね。着替えくらいで良いんじゃないかしら?」

エリカもふむふむと頷いていた。




◇◇◇◇◇◇ 






今ミライとツバサは中庭に来ている。特別クラス側の中庭は庭園並みだ。ユアン達とは解散となった。



「暫く会えないのは寂しいけど。任務だから仕方ないね」

困ったように笑うユアン。

「あー頑張って」

ミライはユアンの肩をポンポンしておいた。ユアンは嬉しそうだ。

エリカがツバサをお兄ちゃんと呼んでいて皆二度見したが、

(あ?なんか文句あんのか?あん?)

エリカからの無言の圧に、そっと目をそらした。

その後は、皆それぞれ準備やら何やらがあるので、解散となったのだ。

ルージュ兄妹は任務へは呼ばれていなかったが、他に行く所があるらしく中庭に行く途中に別れた。

ミシェルは知らん。


皆を見送ってから、ミライとツバサはこれからの事や、また新たに接触したキャラ達の情報交換をすることにした。
なので、折角だからと中庭に移動したのだ。

「あー、ちょっと……、風が強いね」

「そう?私はこれくらいなら気持ち良くて好きだけどな」

ベンチに腰掛けて、二人は早速情報交換に取り掛かる。

「あー、えっとね。実は昨日二人接触したよ。伊吹虎京介と西園寺椿」

「え!!早速あの二人とかー。何もされて無い?大丈夫だった?」

「なんか西園寺君にチワワとかあだ名?つけられちゃったよ。」

「へー。いいじゃん、チワワ可愛い」

「えー、やだよ」

「なんで?可愛いのに…、それにアニメだと、スケベ丸だったよ?」

「チワワで良いです。」

ツバサはスンッとなった。

「えっと、一応西園寺椿には注意しといてね。まだ問題無いけど、ちょっと西園寺椿に関しては色々アニメでもわからないことが多いんだよね。………ミステリアスキャラだから」

「へー?そうなんだ。園田さんでも知らないんだね。……わかったよ。でも二人も任務に行っちゃったから、園田さんは、暫くは会わないかもね」

「そうなんだ。なら、暫くは安心かな…………ん。さっきよりも風強くなってきたね」

風が前髪を揺らしてうっとおしい、流石にこれにはミライも困る。

「座る場所変わろうか?僕がそっち行けば少しは風避けになるでしょ?」

「ううん。……そんなの悪いし。でも、ありがとう。ツバサ君」

礼を言ってからミライは思い出す。

「あ、そういえばミシェルイベントは結局無しになったみたい。流石に、皆任務に行っちゃったら起こらないと思う。……桜志穂と先に仲良くなったからかな?少しアニメとは変わっちゃったけど、無事に仲良くなれたし。これからは色々志穂も助けてくれる筈だよ」

「はー。良かったよ。む、胸を揉んだりしなくて良くなって」

赤くなるツバサを見ながらミライは思い出す。桜志穂から去り際に

「また、あの素晴らしい、光景を見せてくださいましね、なんなら次はユアン様にツバサ様が揉まれてる所が見たいですわ」

そう言われたことは今は伏せておこう。

(ごめんねツバサ君、志穂のおっぱいは揉まなくて良くなったけど、これから君が揉んだりユアンに揉まれたりする事になるんだよ。御愁傷様………)

そっとツバサを拝んでたら怪訝そうな顔をされた。

それからミライはミライで昨日発覚した安藤の新情報を、一応ツバサに伝える事にする。

(もう。あんまり関係ないだろうけど、一応ね………)










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