48 / 72
45話 捕獲
しおりを挟む二人に腕を掴まれて、ミライはそのままズルズルと引きづられていく。
(腕が、もーげーるー)
今のミライの顔は、およそ女子がして良い顔では無い。先程のマロンとは違って、捕獲された珍獣のようである。そんなミライを見て、山田はポカンと口を開けて、そのままミライ達を見送っている。
「お前ウロチョロすんじゃねえよ。知らない奴に、ホイホイついてくなって、教育受けてねーのかよ」
安藤が呆れた様にミライに言う。
「いや、一応知り合い?ではありましたよ」
「疑問符の時点で他人も同然だろう。少し慎みを持て」
ブランも呆れ顔だ。
(むう、なんでお説教……解せぬ)
ミライが不貞腐れているとツバサがやって来た。因みにミライはまだ捕獲されたままである。
「園田さん。さっきのって、山田君と川谷君だよね?」
ツバサのその言葉に、ミライは安藤へドヤ顔を向ける。
頭をしばかれた。
◇◇◇◇◇◇
「あーあ。行っちゃたよ」
へらへらと山田がそう言うと、川谷は呆れた様に溜息をついた。
「……接触しろとは言われていないだろ」
「んー、まあいいじゃん。あの子上手くやってるみたいだね」
意味深な会話をして二人はそのまま歩いて行ったのだった。
◇◇◇◇◇◇
「あーこれ、マロンちゃんに似合いそう!!」
「うむ!!なかなかわかっているな。その調子だ!!」
「これはどうかな?」
ミライ達は今、子供用の服屋さんに来ていた。
「おい、そろそろ行くぞ、お前ら」
ミライ、ツバサ、ブランの三人は今マロンを着せ替え人形にしている。安藤は一人、店前のベンチで座って居た。かなり待たされているので、額には青筋が浮かんでいる。晩御飯には少し早かったので、色々と見て回る事にしたのである。
「あー、ちょっと、あとちょっと待っててください。……ん?」
ミライが安藤へと声をかける、ふと黒いものが視界の端を横切った。視界の端に黒ローブのミシェルが居た。
ミライは見なかったことにした。
その後は安藤の希望によりゲームセンターへと向かった。
「あー、コレ欲しい!!」
「どうしたの?」
ミライの背後から、ツバサが覗き込むと、ケースの中にピンクのクマのぬいぐるみがあった。よく見ると、それはクレーンゲームだ。
「へー、確かに可愛いね。園田さん、クマ好きなんだ?やってみる?」
「うーん、でも私下手くそだから、やめておくよ」
そう、苦笑いでミライが言うとマロンが近づいて来た。
「やる」
「え、マロンちゃん。やるの?」
マロンは、コクコクと首を縦に振っている。
ブランがマロンを抱き上げてプレイしているのをミライ達は眺める、微笑ましい光景だ。
「へー、上手いもんだね」
ツバサが感心したように言うとガコンと音がして、クマが落ちてきた。そしてそれをミライに差し出すマロン。
「プレゼント」
男前な幼女(18)に惚れそうになったミライだった。
◇◇◇◇◇◇
思い切り満喫したミライ達は、ファミリーレストランに行く事にした。
「ここなら、色々あるし、皆、好きな物が頼めるね」
ツバサはニコニコしている。
「うん。でもなやむ」
マロンはメニューのカレーのページを見ている。
(ん?お昼もカレーだったよね?マロンちゃん?)
ミライは困惑した。
「俺はパンケーキにする」
安藤はそう言ってメニューを閉じた。
晩御飯とは……?
「ふむ、私は、この満月の半熟ドリアにするか。それと野菜炒めも頼む」
ブランも決まったようだ。
「皆、ドリンクバーで良い?」
◇◇◇◇◇◇◇
それぞれ頼んだ物が来た。
「「「「「いただきます」」」」」
今の席順は。奥から順にブラン、ミライ、安藤。対面にマロン、ツバサである。何故ブランがマロンの横では無いのかと言うと、マロンの顔を見ながら食べたいから、らしい。
(キッショッッッ)
ふとミライがマロンに目をやると、カレーに入っているコーンの粒だけを器用に取り出して、コソコソとツバサのステーキのコーン部分へと追加していた。
バレてないつもりらしい。やりきった顔をしている。
(コーン嫌いなんだ?マロンちゃん)
気づいたツバサは、仕方ないなぁと言う優しい目をして、それを食べてあげていた。
ミライも微笑ましくなっているとミライのハンバーグの上にピーマンが乗っていた。
さっきはなかったので、二度見した。
隣でブランが汗をかきながら口笛を吹いている。
(わかりやすすぎるわっ!!!)
そのまま、安藤のパンケーキの上にピーマンをスライドさせると、安藤は不思議そうにしながらピーマンを食べていた。
(食べるんかいっ!!!)
ミライは突っ込み疲れた。
そんなこんなでワイワイと楽しい食事も終わりを迎える。
明日はマロン達が道場に来てくれるらしい。
「ちゃんと。まほうできるか。みる」
「おー、まあ。あの辺なら全力でぶっ放しても問題ねーから、いいんじゃね」
そう言って安藤は頷いた。
じゃあ明日と言って、裏門で解散となった。
別れ際に、ツバサが頬を染めて言った。
「僕、友達と初めてのお出かけしたよ。へへ、凄く楽しいね!!また行こうね」
それにミライまで嬉しくなった。
幸せそうなツバサを見ていると何故か胸のあたりがおかしい。でも嫌な感じじゃなくて、ミライは首を傾げた。
0
あなたにおすすめの小説
猫なので、もう働きません。
具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。
やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!?
しかもここは女性が極端に少ない世界。
イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。
「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。
これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。
※表紙はAI画像です
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる