【改稿版】この世界の主人公が役にたたないのでモブの私がなんとかしないといけないようです。

鳳城伊織

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45話 捕獲

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二人に腕を掴まれて、ミライはそのままズルズルと引きづられていく。

(腕が、もーげーるー)

今のミライの顔は、およそ女子がして良い顔では無い。先程のマロンとは違って、捕獲された珍獣のようである。そんなミライを見て、山田はポカンと口を開けて、そのままミライ達を見送っている。


「お前ウロチョロすんじゃねえよ。知らない奴に、ホイホイついてくなって、教育受けてねーのかよ」

安藤が呆れた様にミライに言う。

「いや、一応知り合い?ではありましたよ」

「疑問符の時点で他人も同然だろう。少し慎みを持て」

ブランも呆れ顔だ。

(むう、なんでお説教……解せぬ)

ミライが不貞腐れているとツバサがやって来た。因みにミライはまだ捕獲されたままである。

「園田さん。さっきのって、山田君と川谷君だよね?」

ツバサのその言葉に、ミライは安藤へドヤ顔を向ける。

頭をしばかれた。







◇◇◇◇◇◇






「あーあ。行っちゃたよ」

へらへらと山田がそう言うと、川谷は呆れた様に溜息をついた。

「……接触しろとは言われていないだろ」

「んー、まあいいじゃん。あの子上手くやってるみたいだね」

意味深な会話をして二人はそのまま歩いて行ったのだった。













◇◇◇◇◇◇











「あーこれ、マロンちゃんに似合いそう!!」

「うむ!!なかなかわかっているな。その調子だ!!」

「これはどうかな?」

ミライ達は今、子供用の服屋さんに来ていた。

「おい、そろそろ行くぞ、お前ら」

ミライ、ツバサ、ブランの三人は今マロンを着せ替え人形にしている。安藤は一人、店前のベンチで座って居た。かなり待たされているので、額には青筋が浮かんでいる。晩御飯には少し早かったので、色々と見て回る事にしたのである。

「あー、ちょっと、あとちょっと待っててください。……ん?」

ミライが安藤へと声をかける、ふと黒いものが視界の端を横切った。視界の端に黒ローブのミシェルが居た。

ミライは見なかったことにした。



その後は安藤の希望によりゲームセンターへと向かった。

「あー、コレ欲しい!!」

「どうしたの?」

ミライの背後から、ツバサが覗き込むと、ケースの中にピンクのクマのぬいぐるみがあった。よく見ると、それはクレーンゲームだ。

「へー、確かに可愛いね。園田さん、クマ好きなんだ?やってみる?」

「うーん、でも私下手くそだから、やめておくよ」

そう、苦笑いでミライが言うとマロンが近づいて来た。

「やる」

「え、マロンちゃん。やるの?」

マロンは、コクコクと首を縦に振っている。



ブランがマロンを抱き上げてプレイしているのをミライ達は眺める、微笑ましい光景だ。

「へー、上手いもんだね」

ツバサが感心したように言うとガコンと音がして、クマが落ちてきた。そしてそれをミライに差し出すマロン。

「プレゼント」

男前な幼女(18)に惚れそうになったミライだった。







◇◇◇◇◇◇







思い切り満喫したミライ達は、ファミリーレストランに行く事にした。


「ここなら、色々あるし、皆、好きな物が頼めるね」

ツバサはニコニコしている。

「うん。でもなやむ」

マロンはメニューのカレーのページを見ている。

(ん?お昼もカレーだったよね?マロンちゃん?)

ミライは困惑した。

「俺はパンケーキにする」

安藤はそう言ってメニューを閉じた。

晩御飯とは……?


「ふむ、私は、この満月の半熟ドリアにするか。それと野菜炒めも頼む」

ブランも決まったようだ。

「皆、ドリンクバーで良い?」





◇◇◇◇◇◇◇










それぞれ頼んだ物が来た。


「「「「「いただきます」」」」」



今の席順は。奥から順にブラン、ミライ、安藤。対面にマロン、ツバサである。何故ブランがマロンの横では無いのかと言うと、マロンの顔を見ながら食べたいから、らしい。

(キッショッッッ)

ふとミライがマロンに目をやると、カレーに入っているコーンの粒だけを器用に取り出して、コソコソとツバサのステーキのコーン部分へと追加していた。

バレてないつもりらしい。やりきった顔をしている。

(コーン嫌いなんだ?マロンちゃん)

気づいたツバサは、仕方ないなぁと言う優しい目をして、それを食べてあげていた。

ミライも微笑ましくなっているとミライのハンバーグの上にピーマンが乗っていた。
さっきはなかったので、二度見した。

隣でブランが汗をかきながら口笛を吹いている。

(わかりやすすぎるわっ!!!)

そのまま、安藤のパンケーキの上にピーマンをスライドさせると、安藤は不思議そうにしながらピーマンを食べていた。

(食べるんかいっ!!!)

ミライは突っ込み疲れた。

そんなこんなでワイワイと楽しい食事も終わりを迎える。

明日はマロン達が道場に来てくれるらしい。

「ちゃんと。まほうできるか。みる」

「おー、まあ。あの辺なら全力でぶっ放しても問題ねーから、いいんじゃね」

そう言って安藤は頷いた。

じゃあ明日と言って、裏門で解散となった。

別れ際に、ツバサが頬を染めて言った。

「僕、友達と初めてのお出かけしたよ。へへ、凄く楽しいね!!また行こうね」

それにミライまで嬉しくなった。


幸せそうなツバサを見ていると何故か胸のあたりがおかしい。でも嫌な感じじゃなくて、ミライは首を傾げた。


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