仮面の宴

白馬小路三世 (はくばこうじ さんせい)

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君のためのマリオネット 解答編

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「……




三月三日
九時
ですか!?」

「そうさ、
それに九時を指している
ひな壇の上には、
御膳があっただろう。
だからあれはご馳走を用意して待っていると解釈できる。

そして今、時刻は、午後八時五十五分。

実は朝も、店を臨時休暇にして、ここへ来てみたんだが、朝には誰も現れなかった」

「先生、じゃあこの人形店の店主は、
今日午後九時にここへ来る誰かを待っているというわけなんですね。
先生、凄い。

あっ、ですけれど、ここの女店主、

一体誰を待っているんです」

「昨日、君を寮まで送った後、ネットや知人の記者に頼んで、この人形店で昔、何かなかったか調べてみたんだ。

すると、今からちょうど七年前、
ここの店主がギャンブルに溺れたことで、借金で首が回らなくなった。

そして、その借金の返済の目処も立たぬまま、妻にも見放され、そのまま離婚……。
婿養子であった店主は、人形店を追い出されたらしい。

そして、強盗まで働いてしまったみたいなんだよ……。その強盗先が質が悪く、
運悪く、実刑で、刑務所送りへと……。
その事実がわかったんだよ。
だけどね、その刑期も終え、彼は晴れて出所することになったんだ」

「そ、そうだったんですか」

「ほら見てごらん」
先生は、吉備人形店の向かいにある電柱の方を指差した。
「あっ、あの人は、昨日の帰り際にすれ違った野球帽の男の人!」

電柱の背後に隠れる男性が見えた。

「あの店の女店主はね、
彼の帰りを待っているんだよ。
そう、七年前に別れた昔の旦那をね」

「そうだったんですか」

しばらく私は考え込んで、ふっと顔を上げた。

「先生、それが、本当なら、
なんだか私、応援しちゃいたくなりました」
「そう思ったんだね」
「はい」
「でもね先生、一つだけ疑問が……。
どうして、そんなにややこしい暗号なんかを使ったんでしょう」

「これはネットで調べたんだけどね、
あの旦那って昔、

パスル本の作家だったらしいよ。

だから彼女は、こんな洒落たね、おもてなしを考えたんじゃないかな?」
「あぁ、なるほど」
「それよりもほら、時刻は午後八時五十九分」
「あっ、元旦那が動きだした」
野球帽を脱いだ元旦那らしき男は、
店の方へと歩きだした。

すると、玄関のドアが内側から開いて、
奥から見覚えのある女店主の顔が。

気のせいか、二人の頬に、光る粒子のようなものが見えた気がした。

「ほら、二人むつまじく奥へ入っていくよ」
「本当ですね」
「それとね、これは、ちょっとしたサプライズなんだが」
「なんです」
「あの女店主の名前はね」
「はい?」
「君と同じ名前なんだ」
「かおり。ですか。ええっ」
「まさに、君にも縁がある不思議な出来事だった。
ということかもしれないね」
「ああっ、ホントですね!」

「それじゃあ、
よそ者はこれぐらいにして、
そろそろ退散、退散」

「そうですね、
でも先生、本当に驚きました!」
「うん、右に同じだよ」

その時、私たちの頭上に、

星が流れた。


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