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サマー・ベジタブル
ねむり(その2)
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ある日、ニンゲンが巨大な棒のようなものを持ってやってきた。
だが、以前、台風が訪れたときに持ってきたものとは形状が異なる。
まず、太い。
大地に突き刺すには、ニンゲンといえども労力を要するのではないだろうか。
他にも違うはある。
棒の先に幅広の板のようなものが取り付けられている。
光を反射するそれは、小さい頃に見た刃を思い起こさせる。
先が尖っていることからも、突き刺す、あるいは、切り裂くことを目的としているように見える。
ギラリ!
それが大地に向けられる。
吾輩と小娘の身体に向けられないことに安心するが、安心できないこともある。
「なあ、なんだか吾輩の足元に狙いを定めているように見えるのだが……」
不安になって、小娘に尋ねる。
「わたしからも、そう見えるわ」
間違いないようだ。
「では……ニンゲンが何をしようとしているか知っているか?」
博識な小娘のことだ。
これから何が行われるのか知っていてもおかしくない。
その小娘が落ち着いている。
だから、なんでもないことだと言って欲しかった。
「知っているわよ」
その答えは期待通りだった。
問題は次だ。
「あなたの足を切ろうとしているのよ」
「!」
足元ではなく足と言い切った。
つまり、予感が現実になるということだ。
そして、小娘の言葉を肯定するように、ニンゲンが刃のついた棒を振り下ろす。
ザクッ!
足が切断される感覚。
ザクッ! ザクッ! ザクッ!
追い打ちとばかりに何度も刃を振り下ろすニンゲン。
この仕打ちはなんだ。
吾輩はなにか気に障ることでもしてしまったのだろうか。
「ぐぅ……いったい……」
死の恐怖に血の気が引くが、小娘の落ち着きは変わらない。
「慌てなくていいわよ。根切りをしているだけだと思うから」
「ね、根切り?」
足は吾輩たちの生命線だ。
水や養分を吸い上げる役割を持つ。
それを切ることに、死をもたらす以外の意味が思いつかない。
「古い根を切ることで、新しい根が伸びることを促すの」
「それが根切りか……」
理屈は分かった。
要するに新陳代謝を活性化させるということか。
まったく心臓に悪い。
すっ!
ニンゲンが吾輩の足元から刃を引き抜く。
次は小娘の番か。
「む?」
だが、ニンゲンは小娘の足元には刃を突き刺すことなく去って行く。
「なぜだ? なぜ、小娘には根切りを行わないのだ?」
これまでニンゲンは吾輩と小娘には、同じように手入れを行ってきた。
それが、今回に限って吾輩だけだ。
今までと何が違うのだろう。
「わたしは……必要ないの」
小娘は理由を知っているようだ。
「それはなぜだ?」
「……それは……」
先を促すのだが、小娘は答えを口にするのを躊躇っているように見える。
なにか言いづらいことでもあるのだろうか。
数舜の後、小娘が口を開く。
「わたしは根切りの必要がないくらい元気だからよ!」
その言葉を表すように、小娘が元気にそう言ってきた。
なんだ、そういうことか。
「吾輩と小娘は種族が違うのだ。そういったこともあるだろう。気を使わせて悪かったな」
「……そうね……」
小娘が優秀な種族なのは知っている。
今さらそのことを言われても、小娘に嫉妬するはずもない。
このときは、そう思った。
☆★☆★☆★☆★☆★
「夏というのは気持ちのいい季節だな」
陽の光を全身で浴びながら、そう感じる。
「太陽が出ている時間が長いから、手で創る養分も多いしね」
身体は活力に満ちている。
暑さは最高潮だが、吾輩たちにとっては、過ごしやすい季節だ。
雨が降る日は少ないが、ニンゲンが足元に水を撒いてくれるため、乾きに苦しむこともない。
「わたしも、いっぱい子供を産むことができて……すごく満足したわ」
小娘も同様のようだ。
それは間違いないと思うのだが、少し言葉が気になった。
「夏が終わったみたいな言い方だな。まだまだ、暑い日は続きそうだぞ」
そう指摘してやる。
「……もちろんよ! まだまだ、頑張るわ!」
あいかわらず、小娘は元気だ。
だが、他にも気になっていることがある。
どうも、小娘の手が少し黄色がかっているように見えるのだ。
まあ、まだ先端だけなので神経質になることはないと思うのだが、病気だったら心配だ。
意識はしておこう。
だが、以前、台風が訪れたときに持ってきたものとは形状が異なる。
まず、太い。
大地に突き刺すには、ニンゲンといえども労力を要するのではないだろうか。
他にも違うはある。
棒の先に幅広の板のようなものが取り付けられている。
光を反射するそれは、小さい頃に見た刃を思い起こさせる。
先が尖っていることからも、突き刺す、あるいは、切り裂くことを目的としているように見える。
ギラリ!
それが大地に向けられる。
吾輩と小娘の身体に向けられないことに安心するが、安心できないこともある。
「なあ、なんだか吾輩の足元に狙いを定めているように見えるのだが……」
不安になって、小娘に尋ねる。
「わたしからも、そう見えるわ」
間違いないようだ。
「では……ニンゲンが何をしようとしているか知っているか?」
博識な小娘のことだ。
これから何が行われるのか知っていてもおかしくない。
その小娘が落ち着いている。
だから、なんでもないことだと言って欲しかった。
「知っているわよ」
その答えは期待通りだった。
問題は次だ。
「あなたの足を切ろうとしているのよ」
「!」
足元ではなく足と言い切った。
つまり、予感が現実になるということだ。
そして、小娘の言葉を肯定するように、ニンゲンが刃のついた棒を振り下ろす。
ザクッ!
足が切断される感覚。
ザクッ! ザクッ! ザクッ!
追い打ちとばかりに何度も刃を振り下ろすニンゲン。
この仕打ちはなんだ。
吾輩はなにか気に障ることでもしてしまったのだろうか。
「ぐぅ……いったい……」
死の恐怖に血の気が引くが、小娘の落ち着きは変わらない。
「慌てなくていいわよ。根切りをしているだけだと思うから」
「ね、根切り?」
足は吾輩たちの生命線だ。
水や養分を吸い上げる役割を持つ。
それを切ることに、死をもたらす以外の意味が思いつかない。
「古い根を切ることで、新しい根が伸びることを促すの」
「それが根切りか……」
理屈は分かった。
要するに新陳代謝を活性化させるということか。
まったく心臓に悪い。
すっ!
ニンゲンが吾輩の足元から刃を引き抜く。
次は小娘の番か。
「む?」
だが、ニンゲンは小娘の足元には刃を突き刺すことなく去って行く。
「なぜだ? なぜ、小娘には根切りを行わないのだ?」
これまでニンゲンは吾輩と小娘には、同じように手入れを行ってきた。
それが、今回に限って吾輩だけだ。
今までと何が違うのだろう。
「わたしは……必要ないの」
小娘は理由を知っているようだ。
「それはなぜだ?」
「……それは……」
先を促すのだが、小娘は答えを口にするのを躊躇っているように見える。
なにか言いづらいことでもあるのだろうか。
数舜の後、小娘が口を開く。
「わたしは根切りの必要がないくらい元気だからよ!」
その言葉を表すように、小娘が元気にそう言ってきた。
なんだ、そういうことか。
「吾輩と小娘は種族が違うのだ。そういったこともあるだろう。気を使わせて悪かったな」
「……そうね……」
小娘が優秀な種族なのは知っている。
今さらそのことを言われても、小娘に嫉妬するはずもない。
このときは、そう思った。
☆★☆★☆★☆★☆★
「夏というのは気持ちのいい季節だな」
陽の光を全身で浴びながら、そう感じる。
「太陽が出ている時間が長いから、手で創る養分も多いしね」
身体は活力に満ちている。
暑さは最高潮だが、吾輩たちにとっては、過ごしやすい季節だ。
雨が降る日は少ないが、ニンゲンが足元に水を撒いてくれるため、乾きに苦しむこともない。
「わたしも、いっぱい子供を産むことができて……すごく満足したわ」
小娘も同様のようだ。
それは間違いないと思うのだが、少し言葉が気になった。
「夏が終わったみたいな言い方だな。まだまだ、暑い日は続きそうだぞ」
そう指摘してやる。
「……もちろんよ! まだまだ、頑張るわ!」
あいかわらず、小娘は元気だ。
だが、他にも気になっていることがある。
どうも、小娘の手が少し黄色がかっているように見えるのだ。
まあ、まだ先端だけなので神経質になることはないと思うのだが、病気だったら心配だ。
意識はしておこう。
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