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獣人を創ってみよう
049.豚と子作り?
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遠隔操作でド○ーンの待機を解除させ、世界樹の付近を撮影させる。
この方法で映像を見るのは、ひさしぶりだ。
テレビと違ってコメンテーターのコメントが無いので、少し寂しい。
だが、テレビは常に世界樹の映像を放送しているわけではない。
仕方ないので、そのまま映像を見続ける。
ぼたんを見つけるのに時間がかかることは無く、ほどなく見つかった。
予想通りに世界樹のところに帰ってきていた。
「世界樹がかなり大きくなっているな」
エルがぼたんに挑んで負けるたびに、大声で泣き叫んでいるせいだ。
一番上を見ようとしても、地上からでは霞んで見えてしまう。
もう雲より上まで伸びているのではないだろうか。
「そんなの後でいいですから、連れ去られた子を映してくださいよ」
吾輩が世界樹を観察していると、我が助手が文句を言ってくる。
そうだった。
今回はそれが目的だった。
興味深いことがあると、どうもそちらに気が行ってしまう。
そのことを反省しつつ、カメラの方向を変更する。
すると、ぼたんの近くに連れ去られたアルバイト要員の姿があった。
それ以外に、他のアルバイト要員もいた。
道子が追いかけたと言っていたが、追いついたようだ。
そこまではよいのだが――
「…………」
「…………」
――問題は現在の状況だ。
まず、無事は確認できた。
ぼたんは豚と子作りをさせると言っていたが、今はまだ始まっていない。
我が助手も一安心だろう。
そう思ったのだが、どうも我が助手の表情がすぐれない。
というか、不機嫌に見える。
「吾輩はよく知らないのだが、あれは子作りの前段階なのだろうか」
「……まあ、そう言っても、間違いではないですね」
我が助手に話しかけると、肯定の返事が返ってきた。
しかし、その声は機嫌が悪そうなままだ。
「ということは、豚と子作りをさせるというぼたんの言葉は、今まさに実行されている最中ということになるな」
「そうなりますね」
我が助手の返事は淡々としている。
我が助手が懸念していた状況だと思うのだが、焦っている様子はない。
「……ふむ」
現在の状況を整理してみる。
連れ去られたアルバイト要員と、それを追いかけたアルバイト要員達には、豚達が向かい合っていた。
互いに笑顔で朗らかな雰囲気だ。
もともと子作りは快楽を伴うものなので、おかしなことではない。
ただし、それには同意の上という条件がつく。
つまり、アルバイト要員達と豚達は、その条件を満たしていることになる。
まだ肉体的な接触は無いようだが、我が助手の言葉によると、これはその前段階らしい。
子作りをするには雰囲気作りも大切だと聞いたことがある。
よい雰囲気になっているということは、アルバイト要員達と豚達の相性がよいということなのだろう。
「これは、邪魔をしてもよいのだろうか?」
「個人的には邪魔をしたいですが、それは大人げないですね」
アルバイト要員達と向かい合っている豚達は、正確にはぼたんが連れていた男達だった。
顔の造形は悪くないのだが、ぼたんの好みには合わなかった男達だ。
そんな男達ではあるが、特殊な性癖のために、今もぼたんに従っていた。
ぼたんの認識では、彼らは豚なのだろう。
だから、ぼたんの言葉と状況に不一致はない。
その彼らがアルバイト要員達を接待している。
「あれ、どうみても、合コンですよね」
「やはり、そうか」
吾輩は参加したことはないのだが、合コンというものの存在は知っている。
たしか、発情した複数の男女が、子作りする相手を探すための催し物のことだ。
我が助手も、この状況が子作りの前段階だと肯定していたので、認識は間違っていないはずだ。
「つまり、こういうことか」
吾輩は状況を整理した結果から導いた推測を口にする。
「きっかけはぼたんではあるが、アルバイト集団は職場放棄をして合コンをしている、ということか」
男達は特殊な性癖ではあるが、一般常識は持っているから乱暴なことはしない。
そして、顔の造形も悪くない。
そんな男達に接待されたら、悪い気はしないのだろう。
アルバイト集団が嫌がっているようには見えない。
「客観的に見ると、そういうことになりますね」
吾輩の推論を、我が助手も肯定する。
なるほど。
だとすると、現在の状況にどう対処するかも、おのずと決まってくるな。
「もし仮に、彼らと彼女らが子作りを始めたとして――」
映像の中の集団は和気あいあいとしている。
場を盛り上げるためか、ゲームなどもおこなっているようだ。
棒切れを引いているが、あれは噂に聞く、王様ゲームというやつだろうか。
「――止める必要はあるか?」
「無いんじゃないですか? ついでにアルバイト代も払わなくていいと思います」
我が助手が、ぶっきらぼうに、そう判断を下す。
先ほどまでアルバイト要員を心配していたのが嘘のような反応だ。
だがまあ、吾輩も我が助手の判断に異論はない。
吾輩は静かに映像を映しているディスプレイの電源を切った。
この方法で映像を見るのは、ひさしぶりだ。
テレビと違ってコメンテーターのコメントが無いので、少し寂しい。
だが、テレビは常に世界樹の映像を放送しているわけではない。
仕方ないので、そのまま映像を見続ける。
ぼたんを見つけるのに時間がかかることは無く、ほどなく見つかった。
予想通りに世界樹のところに帰ってきていた。
「世界樹がかなり大きくなっているな」
エルがぼたんに挑んで負けるたびに、大声で泣き叫んでいるせいだ。
一番上を見ようとしても、地上からでは霞んで見えてしまう。
もう雲より上まで伸びているのではないだろうか。
「そんなの後でいいですから、連れ去られた子を映してくださいよ」
吾輩が世界樹を観察していると、我が助手が文句を言ってくる。
そうだった。
今回はそれが目的だった。
興味深いことがあると、どうもそちらに気が行ってしまう。
そのことを反省しつつ、カメラの方向を変更する。
すると、ぼたんの近くに連れ去られたアルバイト要員の姿があった。
それ以外に、他のアルバイト要員もいた。
道子が追いかけたと言っていたが、追いついたようだ。
そこまではよいのだが――
「…………」
「…………」
――問題は現在の状況だ。
まず、無事は確認できた。
ぼたんは豚と子作りをさせると言っていたが、今はまだ始まっていない。
我が助手も一安心だろう。
そう思ったのだが、どうも我が助手の表情がすぐれない。
というか、不機嫌に見える。
「吾輩はよく知らないのだが、あれは子作りの前段階なのだろうか」
「……まあ、そう言っても、間違いではないですね」
我が助手に話しかけると、肯定の返事が返ってきた。
しかし、その声は機嫌が悪そうなままだ。
「ということは、豚と子作りをさせるというぼたんの言葉は、今まさに実行されている最中ということになるな」
「そうなりますね」
我が助手の返事は淡々としている。
我が助手が懸念していた状況だと思うのだが、焦っている様子はない。
「……ふむ」
現在の状況を整理してみる。
連れ去られたアルバイト要員と、それを追いかけたアルバイト要員達には、豚達が向かい合っていた。
互いに笑顔で朗らかな雰囲気だ。
もともと子作りは快楽を伴うものなので、おかしなことではない。
ただし、それには同意の上という条件がつく。
つまり、アルバイト要員達と豚達は、その条件を満たしていることになる。
まだ肉体的な接触は無いようだが、我が助手の言葉によると、これはその前段階らしい。
子作りをするには雰囲気作りも大切だと聞いたことがある。
よい雰囲気になっているということは、アルバイト要員達と豚達の相性がよいということなのだろう。
「これは、邪魔をしてもよいのだろうか?」
「個人的には邪魔をしたいですが、それは大人げないですね」
アルバイト要員達と向かい合っている豚達は、正確にはぼたんが連れていた男達だった。
顔の造形は悪くないのだが、ぼたんの好みには合わなかった男達だ。
そんな男達ではあるが、特殊な性癖のために、今もぼたんに従っていた。
ぼたんの認識では、彼らは豚なのだろう。
だから、ぼたんの言葉と状況に不一致はない。
その彼らがアルバイト要員達を接待している。
「あれ、どうみても、合コンですよね」
「やはり、そうか」
吾輩は参加したことはないのだが、合コンというものの存在は知っている。
たしか、発情した複数の男女が、子作りする相手を探すための催し物のことだ。
我が助手も、この状況が子作りの前段階だと肯定していたので、認識は間違っていないはずだ。
「つまり、こういうことか」
吾輩は状況を整理した結果から導いた推測を口にする。
「きっかけはぼたんではあるが、アルバイト集団は職場放棄をして合コンをしている、ということか」
男達は特殊な性癖ではあるが、一般常識は持っているから乱暴なことはしない。
そして、顔の造形も悪くない。
そんな男達に接待されたら、悪い気はしないのだろう。
アルバイト集団が嫌がっているようには見えない。
「客観的に見ると、そういうことになりますね」
吾輩の推論を、我が助手も肯定する。
なるほど。
だとすると、現在の状況にどう対処するかも、おのずと決まってくるな。
「もし仮に、彼らと彼女らが子作りを始めたとして――」
映像の中の集団は和気あいあいとしている。
場を盛り上げるためか、ゲームなどもおこなっているようだ。
棒切れを引いているが、あれは噂に聞く、王様ゲームというやつだろうか。
「――止める必要はあるか?」
「無いんじゃないですか? ついでにアルバイト代も払わなくていいと思います」
我が助手が、ぶっきらぼうに、そう判断を下す。
先ほどまでアルバイト要員を心配していたのが嘘のような反応だ。
だがまあ、吾輩も我が助手の判断に異論はない。
吾輩は静かに映像を映しているディスプレイの電源を切った。
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