83 / 240
第五章 マッチ売り
083.休憩
しおりを挟む
「あの、聖女様」
小屋を出てしばらくしたところで、アンズが話しかけてきた。
聖女様というのは止めて欲しいんだけど、私のことを呼んでいるのは分かるから返事をする。
「なに?」
アンズは、なぜかこちらの機嫌を窺うようにしている。
なんだろう。
私はそんなに不機嫌そうに見えるのだろうか。
全くそんなことはないんだけど。
「あの男から話を聞き出さなくてよかったのですか?」
「ああ、そのこと」
話を聞き出せなくて、私が不機嫌になっていると考えたのか。
けど、それは間違いだ。
「もともと、それほど期待はしていなかったから、かまわないわ」
そもそも、マッチに依存している人間なら、マッチを人目には晒さないはずだ。
アンズも無差別に追い剥ぎをしたわけじゃないだろうし、マッチが目に付いたから奪ったのだろう。
ということは、マッチを持っていた人間は、マッチに依存している人間じゃない。
たまたま手に入れた、という可能性が高いとは思っていた。
そして、男の反応を見て、それを確信した。
だから、この辺りでマッチが出回っているという情報が入手できただけで、満足することにしたのだ。
あとは、マッチ売りの女性の思惑を邪魔できたら儲けものだとは考えている。
「・・・聖女様は、マッチ売りの女性が、あの国の人間だと考えているのですよね?」
「そうよ」
リンゴを刺した相手が、彼女の妹という情報から考えても、その確率は高いと思う。
問題は目的だ。
「依存させるようなモノを売っているところからすると、この国を混乱させることを狙っているか、人を攫うことを狙っているかの、どちらかだと考えているんだけど・・・」
麻薬など依存性のあるモノを出回らせると、依存した人間がそれを購入するための金銭を得ようとして、犯罪を起こす件数が増える。
それは、国を混乱させることに繋がる。
また、それを提供することと引き換えに、依存した人間を連れ去るという可能性もあり得る。
今回の場合、あの王女が関係しているとすれば、
「私は後者だと思っているわ」
その可能性が高いだろう。
なぜなら、あの王女は『偏食家』だ。
この国に攻撃をしかけるより先に、自分の食欲を見たそうとするような気がする。
そして、もう一つ分かったことがある。
どうやら、私があの国でおこなった作戦は、効果を上げているようだ。
自分の国で口減らしにあった人間を集めることができなかったから、この国で集めようと考えたのだろう。
「だから、あの男達がマッチ売りの女性についていかないようにするだけで意味があるわ」
それが、あの王女の目的を妨害することになる。
「ですが、あの男は聖女様の忠告を素直に聞くでしょうか?反論するような返事ばかりしていましたが」
確かに、そんな反応だった。
けど、あの男もスラムで生き残ってきた人間だ。
危険に対する嗅覚はあるだろう。
それに、前金を払うと言ったのに、関わり合いになるのを避けて受け取らなかったところから考えると、
「あの男は見た目に反してチキンみたいだからね」
臆病と言えるくらいの慎重さだった。
「あ、でも、鶏なら自分から屠殺場へ行っちゃうかも知れないわね。あはは」
「は・・・はは・・・」
和ませようと思ったんだけど、あまり受けなかったようだ。
私には冗談のセンスが無いらしい。
もしかして、あの国の話題が出たことで、嫌なことを思い出させてしまったのだろうか。
「悪かったわね。嫌なことを思い出させちゃった?」
そう尋ねると、アンズは激しく首を横に振る。
「い、いえ、お気になさらないでください。あの国には、ほとんど良い思い出はありませんが、聖女様に助けられたことで、全て上書きされています」
「そう?なら、いいけど」
そう言うなら、それ以上は何も言わないでおこう。
私に気を遣っての言葉だったとしても、あの国での生活を体験していない私から言えることは無い。
下手な慰めなら、しない方がいいだろう。
「じゃあ、ここでの用事もすんだし、場所を移しましょうか」
*****
「私はこの『うどん』ってメニューを食べてみるわ。みんなは?」
気分転換というわけじゃないけど、王都にある食堂に来ていた。
ちょうど、昼食の時間だし、たまにはいいだろう。
王都はあまり出歩いたことがないし、食べ物にも興味がある。
というより、食べ物くらいしか興味がない。
服や装飾品には興味がないから、街を歩くといっても、何をしていいか分からない。
そんなわけで、ミカン、アンズ、スモモを誘って、昼食を食べに来たというわけだ。
「『うどん』ですか、懐かしいですね」
そう言って、全員が『うどん』を注文する。
できれば、色々な食べ物を見てみたかったから、別のメニューを注文してくれた方が嬉しかったんだけど、まあいいや。
なんだか、懐かしそうにしているし。
けど、この料理を知っているのか。
「私は食べたことがないんだけど、街や村では、よく食べる料理なの?」
知ったかぶりをするつもりは無いので、尋ねてくる。
「どうでしょう?私の暮らしていた村では一般的でしたけど・・・そう言えば、この国ではあまり見かけませんね。城の食堂でも見たことがありません」
じゃあ、あの国から入ってきたのかな。
この国では珍しい料理のようだから楽しみだ。
「私の村では、『そば』の方が一般的でした。『うどん』はお祝い事のときくらいでしたね」
「ふーん、『うどん』の方が高級ってこと?」
言い方からすると似たような料理のようだけど、値段でも違うのだろうか。
「高級というより、気候のせいか『そば』の方が育てやすかったので。『うどん』の材料も手に入るんですけど、外から買わないといけなかったから、高くついたんです。希少価値というやつですね」
そういう理由か。
でも、そうか。
彼女達は農村の出身だった。
自給自足が基本だろうから、材料で食べるものも決まってくるんだろう。
私はメニューを見てみる。
「ここでは『そば』の方が高いみたいね」
おそらく『そば』は寒い気候の方が育ちやすいんじゃないだろうか。
彼女達の出身国はこの国よりも北にある。
「私は『うどん』よりも、『そうめん』の方が好きでした。汁がよく絡むんです」
「それも、『そば』みたいに材料が違うの?」
「いえ、『そうめん』の材料は『うどん』と一緒です。料理方法も同じですね」
「???」
材料と料理方法が一緒なのに、違う料理?
なんだろう。
あんまりイメージできない。
「それは、何が違うの?」
「太さです」
「太さ・・・」
「『うどん』の方が太くて、『そうめん』は細いんです」
頑張ってイメージしてみる。
パンを細長い形にするか丸い形にするか、みたいな感じだろうか。
食感が違うから好みがあるとは聞いたことがあるけど、別の料理って感じはしない。
でも、彼女達の言い方からすると、別の料理なのだろう。
同じ料理で形が少し違うだけなら、『○○パン』『△△パン』みたいに呼ぶはずだ。
しまったな。
こんなことなら、彼女達にお願いして、それぞれ注文してもらうんだった。
ちょっと、見てみたい。
もっとも、この店には『うどん』と『そば』はあるけど、『そうめん』は無いみたいだ。
「お待たせしました!」
私がそんなことを考えていると、注文した品がやってきた。
さて、どんな料理なんだろうと見てみると、
「これは・・・スープにパスタが入っているの?」
そんな感じだった。
私が知っているパスタは上からソースをかけるものなのだけど、これはそうじゃなくてスープにどっぷりと浸かっている。
あと、パスタも太い。
太さは均一だから、素人が作って太くなった、というわけでもないようだけど。
「食器がフォークですね。箸の方が食べやすいんですけど、仕方ありません」
彼女達の反応を見ると、料理としてはこれで正解らしい。
食器にもこだわりがあるようだけど、それは後でいいや。
それより、これはどうやって食べるんだろう。
ちゅるちゅるちゅる・・・
彼女達を観察していると、パスタ・・・うどん?・・・の端を咥えて、そのまま器用に吸い込んでいる。
なんだか、肺活量が必要そうな食べ方だ。
音を立てるのは行儀が悪い気もするけど、王族や貴族の会食というわけでもないし、それは気にしないことにする。
私も彼女達を真似て食べてみることにする。
ちゅるちゅ・・・けほけほ!
むせた。
熱い雫が喉を直撃した。
これは食べるのに、かなりの技術を必要とするみたいだ。
「聖女様、大丈夫ですか!」
「ご、ごめん・・・大丈夫」
慌てて声をかけてくる彼女達に、問題ないことを返す。
「無理に、すすらなくてもいいと思いますよ」
「そうさせてもらうわ」
私はパスタを食べるときのようにフォークに絡めて口に持っていく。
「味は美味しいわね」
さっき太さによって汁の絡みが違うって話が出ていたけど、こういう料理なら納得だ。
さらさらしたスープみたいだから、太さによって差が出るのだろう。
そして、もう一つ気づいた。
「これ、ショウユが使われているわよね」
「はい。『うどん』の汁にはショウユが使われます」
ショウユとは、以前あの国へお使いに行ったときに、師匠に頼まれてお土産として買ってきた調味料だ。
この国では手に入らないからという理由で、お土産に頼まれたのだけど、普通に街の食堂で使われているな。
「師匠、知らなかったのかな」
「ひょっとしたら、城の食堂で好評だったから、街まで広がったんじゃないでしょうか?」
その可能性もあるか。
でも、そうだとすると、あの国から新たに輸入することになったのかな。
あの国は北にあるから食糧の生産量が、それほど多くなかったはずだけど、調味料とはいえ輸出する余裕があるのだろうか。
「聖女様、『うどん』は時間が経つと麺が汁を吸ってのびてしまい、味が落ちてしまいます。早く食べた方が」
考え事を始めた私に、彼女達が声をかけてくる。
見ると、彼女達はもう半分ほどを食べ終えていた。
「そうね」
いけないいけない。
今はこの料理を楽しむことにしよう。
小屋を出てしばらくしたところで、アンズが話しかけてきた。
聖女様というのは止めて欲しいんだけど、私のことを呼んでいるのは分かるから返事をする。
「なに?」
アンズは、なぜかこちらの機嫌を窺うようにしている。
なんだろう。
私はそんなに不機嫌そうに見えるのだろうか。
全くそんなことはないんだけど。
「あの男から話を聞き出さなくてよかったのですか?」
「ああ、そのこと」
話を聞き出せなくて、私が不機嫌になっていると考えたのか。
けど、それは間違いだ。
「もともと、それほど期待はしていなかったから、かまわないわ」
そもそも、マッチに依存している人間なら、マッチを人目には晒さないはずだ。
アンズも無差別に追い剥ぎをしたわけじゃないだろうし、マッチが目に付いたから奪ったのだろう。
ということは、マッチを持っていた人間は、マッチに依存している人間じゃない。
たまたま手に入れた、という可能性が高いとは思っていた。
そして、男の反応を見て、それを確信した。
だから、この辺りでマッチが出回っているという情報が入手できただけで、満足することにしたのだ。
あとは、マッチ売りの女性の思惑を邪魔できたら儲けものだとは考えている。
「・・・聖女様は、マッチ売りの女性が、あの国の人間だと考えているのですよね?」
「そうよ」
リンゴを刺した相手が、彼女の妹という情報から考えても、その確率は高いと思う。
問題は目的だ。
「依存させるようなモノを売っているところからすると、この国を混乱させることを狙っているか、人を攫うことを狙っているかの、どちらかだと考えているんだけど・・・」
麻薬など依存性のあるモノを出回らせると、依存した人間がそれを購入するための金銭を得ようとして、犯罪を起こす件数が増える。
それは、国を混乱させることに繋がる。
また、それを提供することと引き換えに、依存した人間を連れ去るという可能性もあり得る。
今回の場合、あの王女が関係しているとすれば、
「私は後者だと思っているわ」
その可能性が高いだろう。
なぜなら、あの王女は『偏食家』だ。
この国に攻撃をしかけるより先に、自分の食欲を見たそうとするような気がする。
そして、もう一つ分かったことがある。
どうやら、私があの国でおこなった作戦は、効果を上げているようだ。
自分の国で口減らしにあった人間を集めることができなかったから、この国で集めようと考えたのだろう。
「だから、あの男達がマッチ売りの女性についていかないようにするだけで意味があるわ」
それが、あの王女の目的を妨害することになる。
「ですが、あの男は聖女様の忠告を素直に聞くでしょうか?反論するような返事ばかりしていましたが」
確かに、そんな反応だった。
けど、あの男もスラムで生き残ってきた人間だ。
危険に対する嗅覚はあるだろう。
それに、前金を払うと言ったのに、関わり合いになるのを避けて受け取らなかったところから考えると、
「あの男は見た目に反してチキンみたいだからね」
臆病と言えるくらいの慎重さだった。
「あ、でも、鶏なら自分から屠殺場へ行っちゃうかも知れないわね。あはは」
「は・・・はは・・・」
和ませようと思ったんだけど、あまり受けなかったようだ。
私には冗談のセンスが無いらしい。
もしかして、あの国の話題が出たことで、嫌なことを思い出させてしまったのだろうか。
「悪かったわね。嫌なことを思い出させちゃった?」
そう尋ねると、アンズは激しく首を横に振る。
「い、いえ、お気になさらないでください。あの国には、ほとんど良い思い出はありませんが、聖女様に助けられたことで、全て上書きされています」
「そう?なら、いいけど」
そう言うなら、それ以上は何も言わないでおこう。
私に気を遣っての言葉だったとしても、あの国での生活を体験していない私から言えることは無い。
下手な慰めなら、しない方がいいだろう。
「じゃあ、ここでの用事もすんだし、場所を移しましょうか」
*****
「私はこの『うどん』ってメニューを食べてみるわ。みんなは?」
気分転換というわけじゃないけど、王都にある食堂に来ていた。
ちょうど、昼食の時間だし、たまにはいいだろう。
王都はあまり出歩いたことがないし、食べ物にも興味がある。
というより、食べ物くらいしか興味がない。
服や装飾品には興味がないから、街を歩くといっても、何をしていいか分からない。
そんなわけで、ミカン、アンズ、スモモを誘って、昼食を食べに来たというわけだ。
「『うどん』ですか、懐かしいですね」
そう言って、全員が『うどん』を注文する。
できれば、色々な食べ物を見てみたかったから、別のメニューを注文してくれた方が嬉しかったんだけど、まあいいや。
なんだか、懐かしそうにしているし。
けど、この料理を知っているのか。
「私は食べたことがないんだけど、街や村では、よく食べる料理なの?」
知ったかぶりをするつもりは無いので、尋ねてくる。
「どうでしょう?私の暮らしていた村では一般的でしたけど・・・そう言えば、この国ではあまり見かけませんね。城の食堂でも見たことがありません」
じゃあ、あの国から入ってきたのかな。
この国では珍しい料理のようだから楽しみだ。
「私の村では、『そば』の方が一般的でした。『うどん』はお祝い事のときくらいでしたね」
「ふーん、『うどん』の方が高級ってこと?」
言い方からすると似たような料理のようだけど、値段でも違うのだろうか。
「高級というより、気候のせいか『そば』の方が育てやすかったので。『うどん』の材料も手に入るんですけど、外から買わないといけなかったから、高くついたんです。希少価値というやつですね」
そういう理由か。
でも、そうか。
彼女達は農村の出身だった。
自給自足が基本だろうから、材料で食べるものも決まってくるんだろう。
私はメニューを見てみる。
「ここでは『そば』の方が高いみたいね」
おそらく『そば』は寒い気候の方が育ちやすいんじゃないだろうか。
彼女達の出身国はこの国よりも北にある。
「私は『うどん』よりも、『そうめん』の方が好きでした。汁がよく絡むんです」
「それも、『そば』みたいに材料が違うの?」
「いえ、『そうめん』の材料は『うどん』と一緒です。料理方法も同じですね」
「???」
材料と料理方法が一緒なのに、違う料理?
なんだろう。
あんまりイメージできない。
「それは、何が違うの?」
「太さです」
「太さ・・・」
「『うどん』の方が太くて、『そうめん』は細いんです」
頑張ってイメージしてみる。
パンを細長い形にするか丸い形にするか、みたいな感じだろうか。
食感が違うから好みがあるとは聞いたことがあるけど、別の料理って感じはしない。
でも、彼女達の言い方からすると、別の料理なのだろう。
同じ料理で形が少し違うだけなら、『○○パン』『△△パン』みたいに呼ぶはずだ。
しまったな。
こんなことなら、彼女達にお願いして、それぞれ注文してもらうんだった。
ちょっと、見てみたい。
もっとも、この店には『うどん』と『そば』はあるけど、『そうめん』は無いみたいだ。
「お待たせしました!」
私がそんなことを考えていると、注文した品がやってきた。
さて、どんな料理なんだろうと見てみると、
「これは・・・スープにパスタが入っているの?」
そんな感じだった。
私が知っているパスタは上からソースをかけるものなのだけど、これはそうじゃなくてスープにどっぷりと浸かっている。
あと、パスタも太い。
太さは均一だから、素人が作って太くなった、というわけでもないようだけど。
「食器がフォークですね。箸の方が食べやすいんですけど、仕方ありません」
彼女達の反応を見ると、料理としてはこれで正解らしい。
食器にもこだわりがあるようだけど、それは後でいいや。
それより、これはどうやって食べるんだろう。
ちゅるちゅるちゅる・・・
彼女達を観察していると、パスタ・・・うどん?・・・の端を咥えて、そのまま器用に吸い込んでいる。
なんだか、肺活量が必要そうな食べ方だ。
音を立てるのは行儀が悪い気もするけど、王族や貴族の会食というわけでもないし、それは気にしないことにする。
私も彼女達を真似て食べてみることにする。
ちゅるちゅ・・・けほけほ!
むせた。
熱い雫が喉を直撃した。
これは食べるのに、かなりの技術を必要とするみたいだ。
「聖女様、大丈夫ですか!」
「ご、ごめん・・・大丈夫」
慌てて声をかけてくる彼女達に、問題ないことを返す。
「無理に、すすらなくてもいいと思いますよ」
「そうさせてもらうわ」
私はパスタを食べるときのようにフォークに絡めて口に持っていく。
「味は美味しいわね」
さっき太さによって汁の絡みが違うって話が出ていたけど、こういう料理なら納得だ。
さらさらしたスープみたいだから、太さによって差が出るのだろう。
そして、もう一つ気づいた。
「これ、ショウユが使われているわよね」
「はい。『うどん』の汁にはショウユが使われます」
ショウユとは、以前あの国へお使いに行ったときに、師匠に頼まれてお土産として買ってきた調味料だ。
この国では手に入らないからという理由で、お土産に頼まれたのだけど、普通に街の食堂で使われているな。
「師匠、知らなかったのかな」
「ひょっとしたら、城の食堂で好評だったから、街まで広がったんじゃないでしょうか?」
その可能性もあるか。
でも、そうだとすると、あの国から新たに輸入することになったのかな。
あの国は北にあるから食糧の生産量が、それほど多くなかったはずだけど、調味料とはいえ輸出する余裕があるのだろうか。
「聖女様、『うどん』は時間が経つと麺が汁を吸ってのびてしまい、味が落ちてしまいます。早く食べた方が」
考え事を始めた私に、彼女達が声をかけてくる。
見ると、彼女達はもう半分ほどを食べ終えていた。
「そうね」
いけないいけない。
今はこの料理を楽しむことにしよう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
17
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる