ボク、女の子に生まれ変わったけど、元気です!

みなはらつかさ

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第十三話 九月十日(土) おじいちゃんのぽかぽか焼き

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「アユム、入っていいかな?」

 おじいちゃんの声だ。

「どうぞー」

「やあ、はじめまして。お菓子ができたのだけどね。食べるかい?」

 おじいちゃんが手にしているのは、クッキーと思われるもの。

「あ、はい! はじめまして! いただきます! クク・チェンバレンです!」

「はじめましてっす。シャロン・レーベルトっす~。いただきますっす~」

 というわけで、ありがたくいただくことに。

「じゃあ、アユム。マエへさんと茶話してるから、用があったら声をかけておくれ」

「はーい」

 笑顔を残し、去っていくおじいちゃん。

「あ、お名前聞いてなかったっすね」

「おじいちゃんは、イクゼっていう名前だよ。マエへっていうのは、おばあちゃん」

「お父さんたちは?」

 ククが問うてくる。

「うーん、一度に全員紹介しても、混乱するだけだと思うから、追々ね。ちなみに、お父さんとお母さんは仕事中」

「ハーちゃんは?」

 そういえばという感じで、尋ねるバーシ。

「お友達のところに、行ってるはずだよ」

「そっかー。ハーちゃんにも、二人を紹介したかったなあ」

 残念そうに、お菓子をつまむ幼馴染み。

「ハーちゃんって、誰ぞ?」

 ククも、お菓子をつまむ。

「ボクの妹。かわいいんだよ~」

 にへら~と、顔が緩む。はい、姉バカです。

「へー。会ってみたかったなあ」

「また今度ね」

 ボクも、お菓子をつまむ。

 あ、チョコクッキーだこれ! まだ温かいから、中のチョコチップが、とろけておいし~!

「こりゃ、おいしいっすね~」

 うなずく一同。さすが、おじいちゃん。

「ところでアユムっち。ベッド借りていいっすかね?」

「あたしが代わりに、ダメ出しするよ。よそ様のうちで、居眠りすんな」

 「ちぇ~」と、残念そうなシャロン。ほんとに、この睡魔はどこから湧いてくるのだろう。

「そういえばさ、ボランティア部、発足したらまず何やる?」

 クッキーをかじりながら、前向きな話をするバーシ。

「実はボクに、妙案があるんだよね」

 みんなに頭を寄せるようジェスチャーし、六つの猫耳が揃ったところで、こしょこしょと腹案を述べる。

「それだ!」

「確かに、すごく喜ばれそーだな!」

「いいっすねー」

 三人とも、好感触!

「じゃあ、満場一致で、初活動はこれで!」

 クッキーで乾いた喉を、紅茶で潤す。

「ところで、うちもなーんかシュミって、持ったほうがいいんすかねー?」

 うーんと伸びをしながら、不意にシャロンが尋ねてくる。

「いい悪いの問題じゃないと思うけど……。まあ、寝る以外にもなんかあったほうが、人生充実すると思うよ? ボクと一緒に、早朝ジョギングする?」

「いや……早起きはちょっと……」

 ふわあと、大あくびとともに返答。残念。ロードワーク仲間ほしいんだけどなあ。

「あたしが付き合ってやろうか?」

「ホント!?」

 ククの、思わぬ申し出に歓喜!

「ウチ、犬飼っててさ。散歩させるの日課だから」

「わあ! じゃあ、一緒に走ろ!」

「おう。でも、アユムほど足速くないから、そこは勘弁な。あと、お土産・・・の処理せにゃならんし……っとと、食事中にすまんね」

 肩をすくめる彼女。

「ううん、一緒に走ってくれるだけでも嬉しい!」

「なんか、私がやらないの、気まずい流れだなあ……」

「いやいや、無理しなくていいよ」

 恐縮するバーシを、フォローする。

「ありがとね。朝は、身支度が大変でさ」

 彼女の申し訳なさも、消えたようです。

「そういえば、ワンちゃん何て名前?」

「ホリン。でっけーんだー、これが」

 ククが、手で大きさを示す。おお、こりゃかなりの大型犬だ。

「うちは逆に、猫飼ってるっすよ」

 「おおー」と反応する、ボクとバーシ。

 ちなみに、この世界の猫の立ち位置は、前世で言う猿……の、さらに一つ前ぐらいの存在かなあ? まあ、ボクらのご先祖様だけど、ペットとしては一般的です。

「名前は?」

「ケットっす」

 「おおー」と再反応。いやー、ペット話は盛り上がるね! うちも、飲食店やってなかったら、飼いたいんだけど。魚ぐらいなら、育ててもいいのかな? 今度、相談してみようかな?

 ともかくも、初のお招きは大成功に終わりました!
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