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第二十六話 九月二十日(火) ヤマト街、再び ―前編―
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学校から帰宅すると、お父さんとおじいちゃんが、チェスっぽい遊び……ボクは脳内でチェスって呼んじゃうけど、それで対戦してました。
「ただいまー。どっちが優勢?」
「難しいところだね。でも、もう終わりだな。アユムを待ってたんだ。ヤマト街へ行こうじゃないか」
チェス盤を片付けながら、お父さんが言う。
「ボクは構わないけど、シャワー浴びて着替える時間ぐらいはちょうだいね」
「私も行くー! おねーちゃんと一緒がいいー!」
すると、漫画を読んでたハーちゃんが、話に入ってきました。
「あらあら。こないだまで、あんなにツンケンしてたのに」
「う~……色々あったの!」
お母さんが突っ込むと、顔を真っ赤にして、そっぽを向くハーちゃん。かわいいなあ。
「うふふ。とりあえず、また仲良くなったようで、良かったわ」
お母さん、昨日一緒に寝てるボクたちを見て、色々察したんだろうな。
「じゃあ、俺、親父、アユム、ハーちゃんの四人で行くか」
「バーシも誘っていい?」
「ん、じゃあ出掛けに、声をかけよう」
というわけで、体と服をピカピカにしたら、四人でお隣へ。
「はーい……あら、おじさんたち、こんにちはー」
部屋着でくつろいでいたらしいバーシが、裏口を開けて応対。
「ボクら、ヤマト街行くんだけど、バーシもどう?」
「え、行きたい! 五分待てる!?」
「急がなくていいよー。じゃあ、終わったら、うちに声かけて」
「ほーい」と言いながら、彼女は再び屋内に消えていきました。
ダイニングで適当に過ごしていると、呼び鈴が。
「お待たせしましたー」
急いで着替えたのであろう、息を切らしつつ、ちょっとよれた服を直しながら、バーシが裏口に立っていました。
「急がなくていいって言ったのに」
「じゃあ、バーシムレちゃんも来たことだし、車出そうか」
お父さんが、立ち上がる。というわけで、お出かけタイム! 早く湯豆腐食べた~い!
◆ ◆ ◆
「ねえ、アユム」
道中、バーシが不意に話しかけてくる。
「なーに?」
「ハーちゃん、反抗期って言ってなかった?」
そこには、後部座席の真ん中に座り、ボクの腕に、にこにこと絡みつく、最愛の妹の姿が。
「あー。まあ、色々あったんだよ。うん」
ハーちゃんの名誉のために、昨日の出来事は伏せておこう。
「まあ、また姉妹仲良くなったんなら、なによりだけどね。ふう~、爽やか~」
肩をすくめ、窓を開けて風を感じるバーシ。
「次、交差点を右」
地図を広げて、運転中のお父さんに指示出しするおじいちゃん。カーナビがないって、不便だねえ。
ともかくも、こんな調子で一路ヤマト街を目指すのでした。
◆ ◆ ◆
「着いたよ」
お父さんが、車を駐車場に停める。ぞろぞろと車を降りる、ボクたち。
ちなみに、車はピックアップトラックとかいうタイプ。いろいろ、荷台に積めそうだね。
それにしても、三日ぶりなのに、何か懐かしいな。前世の記憶が、そう思わせるのだろうか。
「とりあえず、さっそく乾物が見たいんだが、案内してくれるかい?」
「あ、うん。えっとねー。確か、こっち」
おじいちゃんに促され、てくてくと街巡り。
「いらっしゃーい。おや、あの時のお嬢ちゃんたち……と、そのご家族さんかな?」
「はい。おじいちゃんたちに、ヤマトの食材を紹介したら、もう、興味津々で。あ、おじいちゃんもお父さんも、料理人なんです」
「へえ~。じゃあ、張り切って商品を紹介しなきゃねえ!」
というわけで、おじいちゃんとお父さんが、店長さんを質問攻め。血が騒いでしょうがないんだね。
ボクらは、呑気に店内見学。干した椎茸とか、煮干しなんかが並べられている。
「アユム。これ、なんだかわかる?」
「うん。干し椎茸。水で戻すとね、これも、いいダシが出るんだ」
ボクはボクで、下手に前世知識があるものだから、質問攻めにされてしまう。
ボクも、早死にしちゃったから、そこまで博学でもないんだけどな。
「で、こっちの干し椎茸がですね」
おっと、店長さんたち、こっち来ちゃった。邪魔にならないように、入れ替わりに昆布とかのコーナーに移動する。
そんなこんなで、結構な量の乾物を買い込み、一度後部座席にしまう。
「ねえねえ! 次は、お茶とお菓子にしよ! おいしいんだよ~」
おじいちゃんの袖を、くいくいと引っ張る。
次は、二度目の和菓子攻略だ!
「ただいまー。どっちが優勢?」
「難しいところだね。でも、もう終わりだな。アユムを待ってたんだ。ヤマト街へ行こうじゃないか」
チェス盤を片付けながら、お父さんが言う。
「ボクは構わないけど、シャワー浴びて着替える時間ぐらいはちょうだいね」
「私も行くー! おねーちゃんと一緒がいいー!」
すると、漫画を読んでたハーちゃんが、話に入ってきました。
「あらあら。こないだまで、あんなにツンケンしてたのに」
「う~……色々あったの!」
お母さんが突っ込むと、顔を真っ赤にして、そっぽを向くハーちゃん。かわいいなあ。
「うふふ。とりあえず、また仲良くなったようで、良かったわ」
お母さん、昨日一緒に寝てるボクたちを見て、色々察したんだろうな。
「じゃあ、俺、親父、アユム、ハーちゃんの四人で行くか」
「バーシも誘っていい?」
「ん、じゃあ出掛けに、声をかけよう」
というわけで、体と服をピカピカにしたら、四人でお隣へ。
「はーい……あら、おじさんたち、こんにちはー」
部屋着でくつろいでいたらしいバーシが、裏口を開けて応対。
「ボクら、ヤマト街行くんだけど、バーシもどう?」
「え、行きたい! 五分待てる!?」
「急がなくていいよー。じゃあ、終わったら、うちに声かけて」
「ほーい」と言いながら、彼女は再び屋内に消えていきました。
ダイニングで適当に過ごしていると、呼び鈴が。
「お待たせしましたー」
急いで着替えたのであろう、息を切らしつつ、ちょっとよれた服を直しながら、バーシが裏口に立っていました。
「急がなくていいって言ったのに」
「じゃあ、バーシムレちゃんも来たことだし、車出そうか」
お父さんが、立ち上がる。というわけで、お出かけタイム! 早く湯豆腐食べた~い!
◆ ◆ ◆
「ねえ、アユム」
道中、バーシが不意に話しかけてくる。
「なーに?」
「ハーちゃん、反抗期って言ってなかった?」
そこには、後部座席の真ん中に座り、ボクの腕に、にこにこと絡みつく、最愛の妹の姿が。
「あー。まあ、色々あったんだよ。うん」
ハーちゃんの名誉のために、昨日の出来事は伏せておこう。
「まあ、また姉妹仲良くなったんなら、なによりだけどね。ふう~、爽やか~」
肩をすくめ、窓を開けて風を感じるバーシ。
「次、交差点を右」
地図を広げて、運転中のお父さんに指示出しするおじいちゃん。カーナビがないって、不便だねえ。
ともかくも、こんな調子で一路ヤマト街を目指すのでした。
◆ ◆ ◆
「着いたよ」
お父さんが、車を駐車場に停める。ぞろぞろと車を降りる、ボクたち。
ちなみに、車はピックアップトラックとかいうタイプ。いろいろ、荷台に積めそうだね。
それにしても、三日ぶりなのに、何か懐かしいな。前世の記憶が、そう思わせるのだろうか。
「とりあえず、さっそく乾物が見たいんだが、案内してくれるかい?」
「あ、うん。えっとねー。確か、こっち」
おじいちゃんに促され、てくてくと街巡り。
「いらっしゃーい。おや、あの時のお嬢ちゃんたち……と、そのご家族さんかな?」
「はい。おじいちゃんたちに、ヤマトの食材を紹介したら、もう、興味津々で。あ、おじいちゃんもお父さんも、料理人なんです」
「へえ~。じゃあ、張り切って商品を紹介しなきゃねえ!」
というわけで、おじいちゃんとお父さんが、店長さんを質問攻め。血が騒いでしょうがないんだね。
ボクらは、呑気に店内見学。干した椎茸とか、煮干しなんかが並べられている。
「アユム。これ、なんだかわかる?」
「うん。干し椎茸。水で戻すとね、これも、いいダシが出るんだ」
ボクはボクで、下手に前世知識があるものだから、質問攻めにされてしまう。
ボクも、早死にしちゃったから、そこまで博学でもないんだけどな。
「で、こっちの干し椎茸がですね」
おっと、店長さんたち、こっち来ちゃった。邪魔にならないように、入れ替わりに昆布とかのコーナーに移動する。
そんなこんなで、結構な量の乾物を買い込み、一度後部座席にしまう。
「ねえねえ! 次は、お茶とお菓子にしよ! おいしいんだよ~」
おじいちゃんの袖を、くいくいと引っ張る。
次は、二度目の和菓子攻略だ!
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