ボク、女の子に生まれ変わったけど、元気です!

みなはらつかさ

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第四十二話 九月二十八日(木) 念動能力者 VS 発火能力者!?

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「ふぃ~っ……! よくまあ、これだけ好き勝手に、捨ててくれるもんだねえ」

 部活のゴミ拾い中、ククが額の汗を拭いながら、不満をこぼす。

 ここ、ルンドンベアはきれいな街だけど、悲しいかな、やはり心無い人というのはいる。

 例えば、植え込みに煙草の吸い殻。喫煙者のマナーが良くなったなんていわれるけど、こうしてゴミ拾いしていると、どうにも実感できない。火事にでもなったら、どうするのだろう。

 実際、吸い殻に限らず、拾っても拾っても出てくる、細々こまごまとしたゴミに、ちょっとボクらは疲れていた。

「こっちは空き缶だー。もうちょっと歩けば、ゴミ箱あるのになー」

 今度は、バーシの愚痴。どうも、アイちゃんや子供の相手と比べると、士気が下がっちゃうねー。

「くはあ~……」

 シャロンは大あくび。マイペースだね。ことシャロンに関しては、良くも悪くも、一時期の不安定な感じがなくなってきたようで、何より。

 ネコザキ先生は、ゴミ袋広げて、ボクらの取得物を回収する係。

「もう、いっぱい! 二袋め持ってくるから、待ってて」

 そう言って、トランクにゴミをしまいに行く先生。この後、収集所に持っていく予定です。

 とりあえず、ボクらは休憩。

「疲れますなー。アユムさんや」

「そだねー。なので、ボクは少しでも楽しくなる方法を、今、ひらめきました」

「ほうほう?」

 空き瓶をトングで拾って、掲げる。

「例えば、これ捨てた人。栄養ドリンクの空き瓶だから、きっと、バリバリの営業マン。この辺で営業周りしてたわけですよ」

「おお、名推理!」

 ポンと手を打つバーシ。

「なーんて風に、推理したり、背景を考えながらゴミ拾いすると、ちょっと楽しくなるかも?」

「なるほどね! ククー! シャロンー!」

 さっそく、ゴミ拾いが楽しくなるかもしれない方法を、向こうのチームに伝授しにいく幼馴染み。

 二人も、うんうんうなずいていて、興味深そう。

「お待たせしました。再開しましょう」

「はーい!」

 先生が戻ってきたので、少し場所を移動しながら、再開。

「この吸い殻――」

 バーシが、短くなったタバコを拾い上げる。

「発火能力者の仕業ね!」

 なんか、妄想劇場が、開幕変な方向に行ったー!

「この男は、ここで、もう一人の超能力者とバトルしてたのよ! 見て、この煙草の袋!」

 吸い殻を小袋に入れ、ねじられたタバコの空き袋をつまみ上げる。

「こっちは、念動能力者の仕業! ここで、念動能力者と、発火能力者が、決死のバトルを繰り広げてたのよー!」

 どうしても、そういう方向にいくのね。

 ククとシャロンも、何かおしゃべりしながら、ゴミ拾いしてる。

 みんなが、少しでもやる気出たなら、大成功かな。


 ◆ ◆ ◆


「みんな、お疲れ様。部活時間が終わるので、切り上げましょう」

 先生が、ボクらに声をかけてくる。楽しむコツ・・を掴んだら、あっという間だったねー。

「じゃあ、今持ってるぶんを、ここに空けてちょうだい」

 みんなで、小袋のゴミを、先生の大袋に入れる。

「全部で四袋かな? 大量だねー」

 ククが、呆れる。

「まあ、街もお陰で、ピッカピカっすよ!」

 シャロンが、サムズアップ。うんうん、すっかりいつもの調子だね。

「いいことしたあとってのは、気持ちいいもんだねー」

 バーシも、腰に手を当て、うんうんとうなずいている。

「じゃあ、一度学校に戻りましょう」

 指先で、キーを、くるりと回す先生。こうして、一度学校へ寄ってから、解散することになりました。

 先生はこのあと、収集所に行く予定だそうで。お疲れ様です。


 ◆ ◆ ◆


「今日も、街の役に立った!」

 ククが、バンザイしながら、達成感と開放感を味わう。

「っす!」

 シャロンも真似する。微笑ましいなー。

「あ、そうそう。明日、水着入荷だから、帰りは私んちに寄ってってね」

「りょーかーい!」

 バーシの言葉に、一同応じる。

 どんなの入荷したのかなー。ボク好みのがあるのかも気になるけど、みんなのチョイスも気になるね!
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