たくげぶ!

みなはらつかさ

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第四話 賢いバカ、本領発揮する

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 初セッションから一週間。るうもだいぶ部活と卓上ゲームに慣れてきた頃。

「んー、みんな! ボクたちでTRPG作らない?」

 部室で、きいろが唐突にそんな事を言った。

「どうした急に」

 ツッコむ、にこ。

「うん。ボクたち……るーこはまだだけど、来年受験勉強じゃない?」

「うん」

 うなずく歌留奈。

「でさ、うんと遊べる今年度のうちに、TRPGを一本作りたいなって」

「あー。きいろ、前からゲーム作ってみたいって言ってたしな」

「だね」

 顔を見合わせる、にこと歌留奈。

「ゲーム作りですか。初心者のわたしにできるでしょうか?」

「むしろ、初心者視点ってありがたいよ。慣れてると気づきにくい欠点って、逆にあると思うから」

 心配げなるうに、きいろが返す。

「ゲーム作るって、私たちは何すればいいの?」

「世界観を作って欲しい。ボク、システムしか作れないからさ。あと、テストプレイ」

「世界観かー。大変そうだな」

 腕組みし、天井を仰ぐにこ。

「で、方向性は決まってるの? ファンタジーとか」

「ボク、考えたんだよね。ネクロニカの作者さんの発言の深みを。平凡な世界観じゃ、埋もれるって話思い出してさ」

 永い後日談のネクロニカ。きいろの発言の通り、ゾンビ少女が戦うゲームという、特異な作品である。

 きいろの発言は正確ではなく、「部位破壊ルールを思いついたが、ロボはもうあるから」という動機で作られた。

「でさ、何かないか、何かないかってぐるぐる考えて、あ、探検ゲームって無いねって気づいて」

「冒険とは違うんか」

「んにゃ、探検。探検隊がチーム組んでさ、秘境を探検するの」

 「あー」と、得心が行く、歌留奈とにこ。

「探検ゲームって、ないんですか?」

「私が知る限り、ないねー」

 るうの質問に、歌留奈が答える。

「でね、ボクらの世界とはちょっと違う世界線の、ムー大陸みたいな場所があるようにしてさ。変な生物とか、いっぱい出そうよ!」

「おもしろそーだな!」

「その世界を作るのか~。やりがいありそうだね」

 にこと歌留奈も、乗り気だ。

「わたしにも、お手伝いできるでしょうか……?」

「無理しない範囲でいーよ。二人がきっと、アシストしてくれるから」

「任せて」

 不安げなるうに、きいろと歌留奈がフォローの言葉をかける。

 こうして、部活の新方針が固まった。しばらく、遊びと並行しながら、ゲーム作りをすることになった次第。


 ◆ ◆ ◆


「あれから、色々考えたんだけど。人間工学を志そうと思う」

「なんぞ、それ?」

 翌日。部室にて、きいろの謎発言に、にこが首を傾げる。

「ゲームのコントローラーって、持ち手が下の方にあるじゃん? あれがあると、持ってて疲れにくいんだよね。そういう、人間に優しい科学が、人間工学」

「ムズカシイこと、知ってんな~」

 舌を巻く、にこ。

「まーね。でさ、計算の手間と、ダイス振りの回数を減らそうと思って」

「そりゃまた、なんでさ?」

「プレイ時間の短縮。あと、ダメージが二桁とかになると、計算めんどいし。あとは、ソード・ワールドRPGやったじゃん?」

「ああ」

 ソード・ワールドRPG。かつて、一斉を風靡したシステムである。きいろが言っているのは、無印……何十年も前に出たもので、父から借りてプレイした。現在は、世界観やルールを一新した、「ソード・ワールドRPG2.5」というシステムが展開されている。

「あれ、敵の攻撃と防御を何回も振るの、めんどくさくてさ」

 ソード・ワールドRPGは、攻撃とダメージ、回避と防御で二回ダイスを振る。そして、レーティング表と呼ばれるものを参照して、打撃点 (ダメージ)と防御点を出す。

「固定値の敵出せば、良かったのに」

 ツッコむ歌留奈。モンスターの打撃点と防御点は、固定値を使う。

「思いついたシナリオが、敵兵の集団と戦うんだもん。あれは、ちょっと手間だった」

「だったら、固定値にするルール使えばよかったじゃん」

 そういうことが、できるようになるサプリがあり、きいろは父から、それも借りていた。にこは、それを言っている。

「う~ん。ドラマが欲しいのが人情じゃん。つい、ね」

「それは、きーちゃんの問題じゃない?」

「そうでもあるけど。ボクは、PLもGMもラクできるシステムを作りたいんだ」

 「ふ~む」と唸る、歌留奈とにこ。るうは、ちょっと蚊帳の外で、きょとんとしていたが。

「まあ、面白ければ、何でもいいんじゃないでしょうか?」

「そそ! るーこ、いいこと言うねえ!」

 きいろが、るうの支持を得て、ぱちんと指を鳴らす。

「システム周りは、ボクを信頼してくれると、ありがたいかな」

「まあ、きーちゃんがそこまで言うなら。システム作るの、きーちゃんだし」

「だな」

 こうして、話はまとまった。新作ゲーム、いよいよ制作着手だ。
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