たくげぶ!

みなはらつかさ

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第三話 初心者、初セッションする!

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「すっごく面白かったです!」

 翌日、部活時間。部室でるうがルールブックを手に、キラキラした瞳を一同に向ける。

「色々、用語も覚えました! dがダイス……サイコロの略だとか。あと、十面体なんて、変なサイコロもあるんですね!」

「うんうん。楽しめたようで何より!」

 るうから本を受け取り、棚に戻すきいろ。

「よっし! 次なる新入部員を求め、一年の教室巡りをしようぞ~」

「おー!」

 一同、意気軒昂いきけんこう。気合を入れ、部室を飛び出して行く。


 ◆ ◆ ◆


 しばらく後、燃え尽きて部室の机に突っ伏す一同がいた。

「ダメだったね~」

「ダメだね~」

「ダメダメですね~」

「全滅とはな~……」

 きいろ、歌留奈、るう、にこが、突っ伏したままぼやく。

「この四人で、仲良くやっていこう!」

 体を上げ、拳を突き出すきいろ。一同、それに拳を合わせる。

「えい、えい、おー!」

 皆、気力を取り戻す。

「先輩、わたし、クトゥルフやってみたいです!」

「いいよ~。イチからシナリオ作るの好きだけど、時間かかるから、明日遊ぼう。今日は、『HANABI』とかどう?」

「なんです、それ?」

「カードゲーム。ルールはね~」

 実物を取り出し、ルールを説明していくきいろ。

 HANABIは、その名の通り、複数の色の花火を打ち上げるのが目的のゲーム。ただし、自分の手札を自分では見ずに仲間に見せ、自分の手札を推理する作品だ。

 プレイヤーは皆協力者なので、敵がいない、平和なゲームである。

「あー、惜しい!」

 打ち上げ完遂、一色。このゲーム、コツが少々あるのだが、初心者のるうにはまだ難しいようだ。

「いや、初めてにしては、上出来、上出来! るうちゃん、センスあるよ~」

「ありがとうございます!」

 るうの瞳が、キラキラ輝く。

「ところできーちゃん、足、閉じようよ。はしたないよ?」

「えー。スパッツだし、女しかいないからいーじゃん」

 開脚状態で、気楽にプレイしていたきいろに、歌留奈がお説教。しかし、聞く耳持たず。

 この二人、いつもこんな調子である。

「いーじゃん、いーじゃん。歌留奈はカタすぎるんだよ」

「もー、にこちゃんまで~」

 そんな仲良しトリオのやりとりに、ふふとなる、るうであった。


 ◆ ◆ ◆


「えーと。初心者にはどういうキャラがおすすめなんですか?」

「精神力高くて、図書館と目星と聞き耳持ちかな。必須技能って、シナリオにも書いてあるし」

 翌日、クトゥルフセッション。るう、念願のクトゥルフデビューである。

「で、るーこや」

「るーこ?」

 きいろの唐突な「こ」付けに困惑する、るう。

「あー、気にせんであげて。コイツ、親しくなった相手には、変な愛称つけるんだ。アタシなんて、『にこちん』だぜ? タバコかっての」

「私は、『かるかん』。歌留奈で、猫飼ってるからって。るーこは、割と理解できる範囲だと思うよ」

「はあ」

 納得いったんだか、いってないんだかといった様子で、うなずくるう。

「えー、にこちんも、かるかんも、カワイイじゃーん」

「きーちゃんの、可愛いの感覚は、ちょっと私たちには難易度高い」

 歌留奈の言に、うんうんとうなずく、にこ。

「え~? セキセイインコ可愛いじゃん。それと一緒だよ~」

「うん、わからない」

 歌留奈のツッコミに、「ちぇ~」と口を尖らせるきいろ。

「それより、さっさと進めよーぜ。時間がもったいない」

「そだね。キャラできた? 見せて。……うん、……うん、おけ。把握した。じゃあ、始めまーす。現代の静岡。漁港・印子いんすに……」

 きいろと歌留奈の、グダグダ漫才を中断させるのが、にこの重要な仕事である。本人たちは、無自覚だが。


 ◆ ◆ ◆


「SANチェックど~ぞ~。成功で1d3、失敗で1d10ね。ひっひっひっ」

「きゃ~」

「まって! アタシ、ロストしそうなんだけど!?」

 クトゥルフの呼び声にはSAN値という数値……正気度があり、恐怖体験をすると下がっていく。これがゼロになると、キャラロストとなる。

「は~。助かった~。ギリSAN残った」

「ほんとに、精神力重要なんですね」

「シナリオによるけどね。で、日記の続き読む?」

 こうして、セッションは進んでいき……。

「事件解決、おめでとー! SAN回復してくださいな」

「面白かったです~!」

 初セッション成功に、感動するるう。

「そりゃよかった。アタシらも楽しかったよ。なにごとも、最初がカンジンだもんな!」

「るーこ、メタ知識で割りと解決するよね~」

「えへへ。あっ、これニャル様だー。とか、ピンときちゃうんで」

 照れる当人。

「まあ、メタ推理もほどほどにね。キャラと自分は別けないと」

「もー、かるかん、楽しい雰囲気に水差すのナシ!」

「ごめんなさい」

 珍しく、逆ツッコミされる歌留奈。

「また、やりたいです!」

「うん。またやろーね! さ、ちょうど下校時刻だし、帰りますか~」

「はーい!」

 初心者るうのTRPGデビューは、大変楽しいものとなった。めでたしめでたし。
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