たくげぶ!

みなはらつかさ

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第十七話 BBQ! うぇーい!

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「おじさん、おばさん、今日はよろしくお願いします!」

 大須家にて、ぺこーっとお辞儀するきいろ。意外と、こういうことはしっかりしている。

「はっはっは! よろしくな!」

 歌留奈も同様に、「よろしくお願いします」と挨拶する。

「悪ぃー! 遅くなった!」

 にことるうも、息を切らして参上。

 「そんな急がなくても」と、母がフォローするが、「待たせて迷惑かけたくなかったから!」と返す。にこはにこで、こういうところ、しっかりしている。

「すみません。わたしの足が遅いせいで……。今日は、お世話になります」

 恐縮する、るう。

「キニシナーイ! ね、おじさん?」

「おうよ。若もんが、そんな恐縮すんなって」

 きいろのフォローに、同意する父。娘同様、気さくなたちのようだ。

「じゃ、さっそく乗ってくんな。助手席は、家内な」

「よろしくお願いしまーす!」

 改めて一同挨拶し、出発!

「楽しみだなー、肉!」

「よっ! 肉食系女子!」

「ヘンな言い方すんなし」

 にこときいろの、漫才。一方……。

「るうちゃん、何読んでるの?」

「スティーブン・キングです。ホラーの大家の一人ですよね!」

「え、ええ。そうなんだ」

 ホラーは、ラヴクラフトぐらいしか知らない歌留奈、困惑。

 そんな珍道中も、終わりを告げ。

「着いたぞ~」

 K公園、BBQ場に到着!

 T川沿いの河原にある、BBQ場である。すぐ隣に川という立地。

「ひゃっほー! 肉だ肉だ~!」

「こら、騒いでないで手伝いなさい」

「ボクらも手伝いまーす!」

「ありがとねえ」

 六人で手分けした結果、てきぱきとセッティングは進み……。

「ヒャッハー! 完成だあ!」

「にこちゃん、テンション高いね」

「だね」

 苦笑する、歌留奈ときいろ。るうは、(こんな、大須先輩もいいな……)などと、ぽうっとしていた。

「着火するぞー」

 父がおがくずに点火すると、火が炭に渡っていく。

「焼いていい? 焼いていい?」

「ああ、人参とか、火の通りが悪いのからな」

「まっかせて!」

 トングを、カッチャン、カッチャンと鳴らし、人参から焼いていく、にこ。

「ボクにもやらせてー」

「ほいよ。じゃあ、玉ねぎな」

 危うく、BBQ奉行になりかけたが、平常心を取り戻し、きいろにトングを手渡す。

 みんなでそうやっているうちに、本命の肉が焼かれ始める。

「あー、やべ。よだれ出そ」

「にこちゃん、はしたないよ」

「この音と匂いを前に、冷静でいられるかよ~」

 笑いに包まれる会場。るうは、(こういう、ワイルドな先輩も素敵です……!)と、別の方面で冷静さを失っていた。

「じゃあ、言おうか。いただきます!」

「いただきまーす!」

 父の音頭取りで、実食タイム。

 紙皿に肉や野菜と、BBQソースを戴かせ、もりもりと食べていく。

「うーん、うめー!」

 語彙力はないが、全力でBBQが好きなんだな、とわかる、にこのシャウト。

「ほんとに、美味しいです~」

 さすがのるうも、恋心より食欲のほうが、勝ったようだ。

「腹ペコで来たかいが、あったよ~」

 我らがリーダーも、ご満悦。

「ほんといい肉ですね。高かったんじゃないですか?」

「はっはっは! 若い子が、気にするんじゃないよ!」

 父、気さくに答え、歌留奈に気を使わせない。

 父は運転するのでノンアルコールビールだが、母は普通にビール。

「ふー。ごっそさん! もう入らないや!」

 にこ、完食。一同も、次々ギブアップ。

「おじさん、楽しい催し、ありがとうございました!」

 ぺこーっと、お辞儀するきいろ。こういうところは、ほんとにしっかりしている。

 るうと歌留奈も、きちんとお辞儀。

「いやー、台風が来る前にできてよかった! グリルが冷めたら、片付けよう。ゴミはこの袋に入れてー」

 父が、帰りの用意を始める。

 そして、家に到着。

「それでは、失礼します! 本当に、ありがとうございました!」

 ぺこーっと、再度お礼する三人。

「またやろうな!」

 にこの呼びかけに、一同応じる。

「るう、送っていくよ」

「はい!」

「あれ? るーこ、道覚えるの得意だって……」

 と言いかけたきいろの口をふさぎ、「無粋なこと言わないの」と、黙らせる歌留奈。

「あ、うん。なんだかよくわからないけど……」

 どこまでも鈍感な、我らがリーダーであった。
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