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第二十話 HANABI
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「ねえ! そういえば今度、花火大会あるじゃない?」
HANABIプレイ中、突然切り出すきいろ。T川の花火大会は、大変賑わう。今年は、F市南部でこれが見られる。
「ああ、あるな」
「みんなで見に行こうよ!」
「さすがに、保護者同伴になると思うぞ」
やや、難色を示すにこ。さすがに、保護者同伴イベントが多くて、萎え気味か。
「いいじゃん! みんなが良ければ、今ちょうど全員揃ってるし、訊こうよ!」
「わたし、大須先輩と見に行きたいです!! あ、いえ、みなさんとの言い間違いです……」
本音が出てしまい、照れるるうに、歌留奈がクスッとなる。
「私も賛成だな~。どうする、にこちゃん?」
「う……。嫌とは言ってないだろ……。賛成だよ」
「じゃあ、リビングへGo!」
我らがリーダー、さっそうと躍り出、慌ててそれに続く三人。
保護者との話し合いの結果、やはり同伴の条件付きで、皆で行けることとなった!
◆ ◆ ◆
「お~。かるかん、相変わらず似合ってるねえ!」
祭りに引き続き、花火大会にも浴衣で現れた歌留奈。さっそく、皆のサムズアップを受ける。
「こういう機会でもないと、まず着ないからね。まだ始まってないよね?」
「そこはだいじょーぶ! まだ、余裕あるよ」
「良かった」
やがてアナウンスとともに、打ち上げ開始!
光のアートが、闇のキャンバスに描かれる。
「たーまやー!」
声を張り上げる、歌留奈。
「あ、それボク知ってる! たーまやー!」
周囲も、大盛りあがりだ。
歌留奈の視界の端に、にこにささやく、るうが映る。そして、二人で手繋ぎ。
(あらあら、大胆。ごちそうさま)
「たーまやー!」
(きーちゃんは、色気より、食い気とイベントよね)
純真な我らがリーダーに、くすっと微笑む。
(私も、空の大輪に見惚れるとしましょうか)
再びうちわ片手に、光のアートに視線を戻すのであった。
やがて、最後の花火も打ち終わり、アナウンスが流れる。
「壮観だったねー!」
興奮冷めやらぬきいろに、一同同意。
「わたし、今日のこと、一生忘れません!」
「そこまで!?」
るうの、ふんすと鼻息も荒い気合に、リーダーびっくり。
駐車場が満車になるのはみんな承知しており、バスや電車で帰る。さらば、光の祭典。また、来年。
◆ ◆ ◆
「というわけで、ちょっと物足りないから、近所の公園で、花火大会やらない?」
「あー、手持ちのやつで?」
翌朝、きいろが突飛なことを言い出すが、意図を理解した、にこが返す。
「そそ。みんなはどうかなあ?」
「賛成です!」
「私も」
「同じく」
一同、あっさり同意。
「じゃあ、親御さんの説得よろよろ~。ボク、たっぷり遊ぶためにも、課題とシステム進めなきゃ」
Zoom終了。続いてLINEで。
「にこちゃん、昨日は優しかったねー」
「なんだよ。アタシはいつでも優しいつもりだぞ」
「それはわかってるけど、るうちゃんのこと」
水出し緑茶をすする歌留奈。
「るう? ああ、手をつなぎたいって言うから、いいよって言って繋いだぞ。去年まで小学生だもんな。女友達と、こういうのしたいんだなって」
「ええ!? そういう理解!?」
「おかしいか?」
鈍感なのは、きいろだけではなかったのかと、額に手を当てる。
説明したものかとも悩むが、るうが自分で切り出したほうがいいだろう、とも思う。
「わかった。当面それでいいわ。NPCについて、もう一度三人でZoomしない?」
「なんなんだよ。それはともかく、Zoomいいぞ」
世界観チームも、作業を進めるのであった。
夜の花火大会は、またも各家揃い踏みで開催。
歌留奈は、またも浴衣。
「今年、三度目の出番があるとは、思わなかったわ」
などと、自分に言っている。
「お父さん、火、ちょうだい」
「まってまって……よっ」
きいろの持つ花火に点火されると、光のシャワーが吹き出す。それを、次々に「おすそわけ」していく。
それが終わると、ネズミ花火から逃げ回ったり、ヘビ花火の微妙さに、微妙な気持ちになったり、次々に楽しむ。
(大須先輩、きれいだな……)
一通りの花火を楽しみ、締めにみんなで線香花火をやっていると、ささやかな光に照らされたにこの顔を見て、るうが想う。
二度目の花火大会も、こうしてしめやかに終わった。
HANABIプレイ中、突然切り出すきいろ。T川の花火大会は、大変賑わう。今年は、F市南部でこれが見られる。
「ああ、あるな」
「みんなで見に行こうよ!」
「さすがに、保護者同伴になると思うぞ」
やや、難色を示すにこ。さすがに、保護者同伴イベントが多くて、萎え気味か。
「いいじゃん! みんなが良ければ、今ちょうど全員揃ってるし、訊こうよ!」
「わたし、大須先輩と見に行きたいです!! あ、いえ、みなさんとの言い間違いです……」
本音が出てしまい、照れるるうに、歌留奈がクスッとなる。
「私も賛成だな~。どうする、にこちゃん?」
「う……。嫌とは言ってないだろ……。賛成だよ」
「じゃあ、リビングへGo!」
我らがリーダー、さっそうと躍り出、慌ててそれに続く三人。
保護者との話し合いの結果、やはり同伴の条件付きで、皆で行けることとなった!
◆ ◆ ◆
「お~。かるかん、相変わらず似合ってるねえ!」
祭りに引き続き、花火大会にも浴衣で現れた歌留奈。さっそく、皆のサムズアップを受ける。
「こういう機会でもないと、まず着ないからね。まだ始まってないよね?」
「そこはだいじょーぶ! まだ、余裕あるよ」
「良かった」
やがてアナウンスとともに、打ち上げ開始!
光のアートが、闇のキャンバスに描かれる。
「たーまやー!」
声を張り上げる、歌留奈。
「あ、それボク知ってる! たーまやー!」
周囲も、大盛りあがりだ。
歌留奈の視界の端に、にこにささやく、るうが映る。そして、二人で手繋ぎ。
(あらあら、大胆。ごちそうさま)
「たーまやー!」
(きーちゃんは、色気より、食い気とイベントよね)
純真な我らがリーダーに、くすっと微笑む。
(私も、空の大輪に見惚れるとしましょうか)
再びうちわ片手に、光のアートに視線を戻すのであった。
やがて、最後の花火も打ち終わり、アナウンスが流れる。
「壮観だったねー!」
興奮冷めやらぬきいろに、一同同意。
「わたし、今日のこと、一生忘れません!」
「そこまで!?」
るうの、ふんすと鼻息も荒い気合に、リーダーびっくり。
駐車場が満車になるのはみんな承知しており、バスや電車で帰る。さらば、光の祭典。また、来年。
◆ ◆ ◆
「というわけで、ちょっと物足りないから、近所の公園で、花火大会やらない?」
「あー、手持ちのやつで?」
翌朝、きいろが突飛なことを言い出すが、意図を理解した、にこが返す。
「そそ。みんなはどうかなあ?」
「賛成です!」
「私も」
「同じく」
一同、あっさり同意。
「じゃあ、親御さんの説得よろよろ~。ボク、たっぷり遊ぶためにも、課題とシステム進めなきゃ」
Zoom終了。続いてLINEで。
「にこちゃん、昨日は優しかったねー」
「なんだよ。アタシはいつでも優しいつもりだぞ」
「それはわかってるけど、るうちゃんのこと」
水出し緑茶をすする歌留奈。
「るう? ああ、手をつなぎたいって言うから、いいよって言って繋いだぞ。去年まで小学生だもんな。女友達と、こういうのしたいんだなって」
「ええ!? そういう理解!?」
「おかしいか?」
鈍感なのは、きいろだけではなかったのかと、額に手を当てる。
説明したものかとも悩むが、るうが自分で切り出したほうがいいだろう、とも思う。
「わかった。当面それでいいわ。NPCについて、もう一度三人でZoomしない?」
「なんなんだよ。それはともかく、Zoomいいぞ」
世界観チームも、作業を進めるのであった。
夜の花火大会は、またも各家揃い踏みで開催。
歌留奈は、またも浴衣。
「今年、三度目の出番があるとは、思わなかったわ」
などと、自分に言っている。
「お父さん、火、ちょうだい」
「まってまって……よっ」
きいろの持つ花火に点火されると、光のシャワーが吹き出す。それを、次々に「おすそわけ」していく。
それが終わると、ネズミ花火から逃げ回ったり、ヘビ花火の微妙さに、微妙な気持ちになったり、次々に楽しむ。
(大須先輩、きれいだな……)
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