32 / 49
第三十二話 女子力高めませんか?
しおりを挟む
「ところで、女子力高めませんか?」
部活でマーダーミステリー終了後、るうが不意にそんなことを言い出した。
「どうした急に」
「いえ、わたしたち、基本ゲームばかりしてるじゃないですか。それじゃ華がないので、お菓子でも作って、女子力高めたらいいんじゃないかと」
「調理実習じゃだめなん?」
「それじゃ、好きなものが作れないじゃないですか」
「なるほど」と、考えこむにこ。
「女子力ってなんですか?」
「女の子っぽい事しようっていう、お誘いです」
「オー、ジェンダーロールですね」
ノヴァルナ、得心がいく。
「しかし、アタシ、お菓子って柄じゃねーぞ?」
「そこはギャップ萌えで!」
「お、おう」
鼻息をふんすと吹き、興奮気味にサムズアップするるう。
「この中で、キッチンが広いの誰のうちかなあ」
「あの、ワタシの家はどうでしょう? オーブン、大きいのあります」
「おお、それはいいね! ノヴァ子の家、行ってみたかったし」
ぽんと手を打つリーダー。
「では、今度の土曜日でどうでしょう」
「異議なーし」
一同、ノヴァルナの提案に乗るのであった。
◆ ◆ ◆
土曜日。
「あ、ノヴァ子ー!」
学校に向かってくるノヴァルナの姿を認め、手を振るきいろ。
「オー! 遅くなりましたか?」
「だいじょぶだよ。ね、みんな?」
他の三人、うんうんとうなずく。
「さっそく、行きましょう」
「おー!」
ノヴァルナを先頭に縦列で歩く一同。
しばらくして……。
「着きました!」
おしゃれな一軒家に到着。
「おお~!」
「入ってください」
「おじゃましまーす」
皆で、上がり込む。
「いらっしゃい。ノヴァルナのお友達ですね。………妻も、いらっしゃいませと言っています」
婦婦が、一同を出迎える。片方は、ドイツ語で喋っていた。
「おお! ほんとにお母さんが二人なんだ!」
「こら、きーちゃん失礼でしょ。すみません、うちのきーちゃんが」
「気にしないでください。ドイツでも、まだ珍しいですから」
リビングに通される一同。
「外は暑かったでしょう。飲み物をどうぞ」
「いただきまーす」
キンキンに冷えたコーラを、飲み干すきいろたち。
「あ~、涼し~」
リーダー、完全に弛緩。
「もう。だらしないなあ、きーちゃん」
やっぱりおかんだなあ、と思うきいろであった。
やがて、暑さも引き。
「そろそろやりませんか?」
るう、提案。
「だね」
「では、こちらへどうぞ」
キッチンに移動。
二人の母が、材料や調理器具を用意してくれたので、ダンケと、ノヴァルナが母たちに言う。
きいろたちも、「ありがとうございます」と、礼を述べる。
「では、わたしが分量言いますね。まず小麦粉を……」
るうが主役となって、調理開始。
生地を混ぜ、成形し、オーブンに入れることしばし……。
「できあがりです!」
「おお~と声を上げる一同。
ドイツ語で、二人の母に自分のクッキーを供するノヴァルナ。両者から、頬にキスされる。
「おおう、欧米!」
「だから、きーちゃん……」
お小言も、疲れてしまったらしい。
「せっかくです。できたてを食べましょう」
ノヴァルナの提案で、一同リビングに移動。
母たちが紅茶を持ってきてくれ、ノヴァルナが礼を言う。
「そういえば、ノヴァ子の片方のお母さん、なんで日本語上手なの?」
立ち入った質問をしたがるきいろに、「あちゃあ」という感じで額に手を当てる歌留奈。お小言は、完全に諦めモード。
「ドイツで、日本相手にボードゲームを売る仕事してたんです。転勤で、日本に住むことになりました」
「へー」と言いながら、さくさくとクッキーを食べるきいろ。母二人は、娘のクッキーを食みながら、キッチンで談笑している。
「ノヴァ子は、日本どう?」
「好きですよ。色んな料理があったり。でも、お母さんは二人とも、車が左側通行なのだけが怖いって言ってます」
車を運転することがない一同、「へえ」と、わかったような、わからないような反応。
「それにしても、クッキーうめえな。さすが、るう先生だぜ」
「ありがとうございます……」
にこの褒め言葉に、赤くなってうつむいてしまう、るう。
「ごちそうさまでした。家族にお土産できちゃった」
きいろの暴走も止まったようなので、機嫌を取り戻した歌留奈。
一同食べ終わり、お土産をビニール袋に入れる。
「それじゃ、送ります」
「ありがとー」
ノヴァルナの先導で、土産を手に、帰宅するのであった。
部活でマーダーミステリー終了後、るうが不意にそんなことを言い出した。
「どうした急に」
「いえ、わたしたち、基本ゲームばかりしてるじゃないですか。それじゃ華がないので、お菓子でも作って、女子力高めたらいいんじゃないかと」
「調理実習じゃだめなん?」
「それじゃ、好きなものが作れないじゃないですか」
「なるほど」と、考えこむにこ。
「女子力ってなんですか?」
「女の子っぽい事しようっていう、お誘いです」
「オー、ジェンダーロールですね」
ノヴァルナ、得心がいく。
「しかし、アタシ、お菓子って柄じゃねーぞ?」
「そこはギャップ萌えで!」
「お、おう」
鼻息をふんすと吹き、興奮気味にサムズアップするるう。
「この中で、キッチンが広いの誰のうちかなあ」
「あの、ワタシの家はどうでしょう? オーブン、大きいのあります」
「おお、それはいいね! ノヴァ子の家、行ってみたかったし」
ぽんと手を打つリーダー。
「では、今度の土曜日でどうでしょう」
「異議なーし」
一同、ノヴァルナの提案に乗るのであった。
◆ ◆ ◆
土曜日。
「あ、ノヴァ子ー!」
学校に向かってくるノヴァルナの姿を認め、手を振るきいろ。
「オー! 遅くなりましたか?」
「だいじょぶだよ。ね、みんな?」
他の三人、うんうんとうなずく。
「さっそく、行きましょう」
「おー!」
ノヴァルナを先頭に縦列で歩く一同。
しばらくして……。
「着きました!」
おしゃれな一軒家に到着。
「おお~!」
「入ってください」
「おじゃましまーす」
皆で、上がり込む。
「いらっしゃい。ノヴァルナのお友達ですね。………妻も、いらっしゃいませと言っています」
婦婦が、一同を出迎える。片方は、ドイツ語で喋っていた。
「おお! ほんとにお母さんが二人なんだ!」
「こら、きーちゃん失礼でしょ。すみません、うちのきーちゃんが」
「気にしないでください。ドイツでも、まだ珍しいですから」
リビングに通される一同。
「外は暑かったでしょう。飲み物をどうぞ」
「いただきまーす」
キンキンに冷えたコーラを、飲み干すきいろたち。
「あ~、涼し~」
リーダー、完全に弛緩。
「もう。だらしないなあ、きーちゃん」
やっぱりおかんだなあ、と思うきいろであった。
やがて、暑さも引き。
「そろそろやりませんか?」
るう、提案。
「だね」
「では、こちらへどうぞ」
キッチンに移動。
二人の母が、材料や調理器具を用意してくれたので、ダンケと、ノヴァルナが母たちに言う。
きいろたちも、「ありがとうございます」と、礼を述べる。
「では、わたしが分量言いますね。まず小麦粉を……」
るうが主役となって、調理開始。
生地を混ぜ、成形し、オーブンに入れることしばし……。
「できあがりです!」
「おお~と声を上げる一同。
ドイツ語で、二人の母に自分のクッキーを供するノヴァルナ。両者から、頬にキスされる。
「おおう、欧米!」
「だから、きーちゃん……」
お小言も、疲れてしまったらしい。
「せっかくです。できたてを食べましょう」
ノヴァルナの提案で、一同リビングに移動。
母たちが紅茶を持ってきてくれ、ノヴァルナが礼を言う。
「そういえば、ノヴァ子の片方のお母さん、なんで日本語上手なの?」
立ち入った質問をしたがるきいろに、「あちゃあ」という感じで額に手を当てる歌留奈。お小言は、完全に諦めモード。
「ドイツで、日本相手にボードゲームを売る仕事してたんです。転勤で、日本に住むことになりました」
「へー」と言いながら、さくさくとクッキーを食べるきいろ。母二人は、娘のクッキーを食みながら、キッチンで談笑している。
「ノヴァ子は、日本どう?」
「好きですよ。色んな料理があったり。でも、お母さんは二人とも、車が左側通行なのだけが怖いって言ってます」
車を運転することがない一同、「へえ」と、わかったような、わからないような反応。
「それにしても、クッキーうめえな。さすが、るう先生だぜ」
「ありがとうございます……」
にこの褒め言葉に、赤くなってうつむいてしまう、るう。
「ごちそうさまでした。家族にお土産できちゃった」
きいろの暴走も止まったようなので、機嫌を取り戻した歌留奈。
一同食べ終わり、お土産をビニール袋に入れる。
「それじゃ、送ります」
「ありがとー」
ノヴァルナの先導で、土産を手に、帰宅するのであった。
1
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる