たくげぶ!

みなはらつかさ

文字の大きさ
33 / 49

第三十三話 キャンペーン!

しおりを挟む
「諸君! エクスプも大詰めだな!」

 夜、Zoomをやっていると、きいろが腕組みして、不敵な笑みを浮かべていた。

「そうだね」

「どうした急に」

 相変わらずのにこのツッコミに、ちっちっちっと指を振るリーダー。

「キャンペーンを始めようと思うのですよ。成長バランスが適切か見たいし」

 一同から、「おお~」と声が上がる。

「なんで、明日はキャンペーン第一回やらない?」

 「さんせー」と、これまた皆。

「おっけーおっけー。じゃあ、明日十時、ボクんち集合ね」

「昼飯は?」

「ボクんちで用意する」

 またも、「おお~」と声が上がる。

「というわけでよろ。ノヴァ子は迎えに行った方がいい?」

「大丈夫です。道、覚えました」

「それは結構! じゃーみんな、また明日~。ボク、シナリオ作るから」

「おつかれ~」

 Zoomを切って、テキストエディタを立ち上げる。いよいよ、本格始動だ!


 ◆ ◆ ◆


「こんにちは~」

 るうが、入室してくる。

「これで、全員揃ったね」

 お茶菓子完備の客間で、きいろがあぐらをかいて、全員を待っていた。

 人も揃ったので、お茶をれ、「それでは、始めまーす」と、厳かに宣言する。

「注意事項、特になし。前回から、大幅にルール変わってはいないよ」

「オー、投げ槍とか、接近戦のルールで使える割に、そこそこ射程長いですね」

「ノヴァ子が、接近戦強くしてほしいって言ってたから」

 わいのわいのと、キャラを作っていく。

「みんなー、ごはんよ~」

「ありゃ、時間が経つのはあっという間だね。ご飯食べたら、セッション進めよう」

「りょーかーい」

 母に呼ばれたので、一同着座。

「今日は、チキンカレーですよ」

「やっふぅ~! チキンカレー!」

 きいろ、大興奮。

「なあ、きいろ。カレーと焼きそばだったら、どっちが好きよ」

「ぬぬぬ……甲乙つけられない……!」

 本気で悩むきいろ。

「お、おう。両方こよなく愛してるのはわかった。いただきますしようぜ」

「そだね。いただきます!」

 チキンカレーを頬張る一同。

「から~い! うま~い!」

 リーダー、ご満悦。

「ほんとに美味しいですね」

 るうも称賛。

「ありがとう。おかわりもあるからね」

「はい!」

 笑顔で、水を飲む。

「女の子が元気なのは、やっぱりいいものだね」

「なーに、お父さん急に?」

 きいろ、父の謎所感にツッコむ。

「なんとなく、なんとなくね」

 ふふとほほえみ、カレーを食べる父。

「おかわりいただきます!」

「ボクも~」

 大人気・佐武印チキンカレーは、あっという間に売り切れてしまった。

「私も、おかわりしたかった~」

「かるかんは、お菓子いっぱい食べていいから」

「くすん。そうする」

 皿を洗って、歯磨き。再度、客間へ。

「ふー、お腹いっぱい。少し、食休みしていい?」

「賛成です」

「さんせー」

 しばし、皆でめいめい動画など見て過ごす。

 歌留奈は、南部せんべいを食んでいる。

 十分じゅっぷんぐらいして……。

「そろそろやる?」

「ですね」

「やりましょう!」

「では、第一回・新大陸メガラニカを始めまーす」

 一同拍手。

「ロレック王子に呼び出された君たちは……」

 セッションは、順調に進んでいく。

「あ、ファンブルです」

「じゃあ、ヒルの沼にはまってしまい、五のダメージ。死んでなかったら、一ダメージ」

「オー」

 ノヴァルナ、災難。

 そして、ラスボスと対峙。

「ええー! 死んじゃいました~!」

 るうの悲鳴。

「その場合、一回休み。同じ能力の隊員が、メンバーから現れるよ。名前考えてあげて」

 きいろは、暇になるだけで何も面白くない、デスペナルティをなるべく軽くしたいと考えていた。

 そこで考えたのが、「一回休み。次のターンに、探検隊から同能力の者が、戦闘に加わる」というものであった。

「はー……。なんとか勝ちました~……」

「おつかれ。報酬どうぞー。でね、マスター持ち回りにしたいんだけどいいかな?」

「いいけど……なんで?」

 歌留奈が、応じつつ疑問を挟む。

「ボク以外が回したときも、きちんと機能するか知りたい。次、やりたい人~」

 ノヴァルナが手を挙げる。

「意外! それはノヴァ子!」

「だめでしょうか?」

「オッケーもオッケーだよん。よろしくね」

 きいろから、ルールブックという名の、クリアファイルを受け取る。

「がんばります!」

「よろよろ~。時間もいいし、お開きかな。じゃあ、また明日」

 「お邪魔しましたー」と、一同外に出るので、きいろが見送る。

(明日も楽しみだ!)

 いい笑顔で、夕日を背に浴びるリーダーであった。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。 「再婚するから」 そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。 次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。 それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。 ※他サイトにも掲載しております

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

秘密のキス

廣瀬純七
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...