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ある死神部隊の日常

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 人気ひとけの失せた市街地の只中で、政府軍の機械化歩兵モータードライブが、その巨体を蜂の巣にされて機能を停止する。「機械化歩兵」は人類が地球マザーに住んでいた時代と異なり、全高六メートルほどの搭乗式人型兵器を意味する言葉になっていた。

「ブラッディー・ハンドフォーより。ブラッディー・ハンドワンへ。目標殲滅クリア。センサーに動反応なし」
「ブラッディー・ハンドワン、了解。各員休憩せよ」
 隊長の言葉を受け、ブラッディー・ハンド分隊のメンバーがコックピット・ハッチを開けて、地面に降りる。

 簡易コンロを使い、この星の特産品で作ったコーヒー(のような物)を飲む一同。
「……隊長、この戦争はいつ終わるんでしょうねえ」
「さあな。偉いさん次第だな」
 隊員と隊長が、もう何度目になるか分からない問答をする。
「うちのガキが産まれてくる頃には、終わらせてやりたいもんですな」
「たしか男の子だったな。ま、俺たちは命じられるままに戦うだけだ。今頃、広報が民衆を説得してる頃だな」
 腕時計に目を落とすと、もうすぐ休憩開始から惑星時間で一時間(地球換算三十分)経とうとしていた。
「休憩終わり。次の都市せんじょうに往くぞ野郎ども!」
 モータードライブに乗り込む一同。彼らの戦いは続く――。
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