カンブリアン・アクアリウム

みなはらつかさ

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第十六話 続・まりんの休日

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 火曜、休館日。

「雁州まりんさん、お届け物でーす」

 インタホンを通し、男性の声がする。男子禁制の女子寮といっても、こうした配達員などはさすがに別だ。

「オートロック、開けますね」

 寮長が応え、まりんを呼びに行く。

「荷物ですか。ありがとうございます」

 寮長に礼を言い、玄関で受け取ると、ロビーまで持っていく。

(ひょっとして、「あれ」かな?)

 段ボール箱のテープを解き、オープン!。

「おお!」

 カセットコンロにボンベ! 包丁! まな板! 雪平鍋! フライパン! 食器! 生ゴミ圧縮乾燥機! その他もろもろ!

「うふふ~」

「どしたの、それ」

 ロビーで、ソファで寝っ転がりながら、サッカーの試合をアーカイブを見ていた、あくあが尋ねる。

「んー? 通販で買ったの~。これで、織田先輩がいなくても、雨の日でも、自炊できるの~」

 新品の包丁を取り出し、うっとりと刃を見つめるまりん。ちょっと、怖い。

「よっと! ……重!」

 自室まで運ぼうとして、腰を痛めそうになる。

「あー、手伝う、手伝う。無理すんな」

 二人がかりで、えっちらおっちらと運ぶ。

「さて! さっそく、なにか作りたいな! 寮長さーん、買い出し行ってきまーす」

「はいよー」

 外出届にサインし、近所のスーパーに向かうのでありました。


 ◆ ◆ ◆


「ただいまー」

 ニコニコ笑顔を浮かべて、帰ってきたまりん。

「おかえりー。いい感じに材料揃ったみたいだね」

 再び、ロビーで試合を見ていた、あくあに言われる。

「うん! 今日、特売日でねー。先輩方は、いらっしゃるかな」

「織田先輩、キャンプで明日まで帰ってこないって。奈良先輩と波部先輩は、いるよー」

「そっかー。織田先輩にも、食べてほしかったんだけどな」

 そう言いながら、食堂に向かうまりん。

「なに作るん?」

 あくあも試合鑑賞を中断し、あとをついてきた。

「焼きそばですよー。しかも、具だくさん! お昼ご飯が入るように、おそばの量は控えめにするけどね」

「へー」

 さっそく、自室から新品の包丁とまな板、フライパン、皿を持ってきて、流しで洗う。流しだけは、使う許可が出ている。圧縮乾燥機も設置。

「さーて! 作りますよー!」

 ふんふふんふふーん、と鼻歌を歌いながら、具材に包丁を入れていくまりん。人参の皮だの、キャベツの芯だのは、乾燥機に入れていく。

 サラダ油を敷き、キャベツと人参を、まずは炒める。いい感じに火が通ったら、ほぐした麺と豚こまを投入。あとは、これまた火を通して、火が通ったら、調味料で味付け。

「でっきあがり~!」

 あっという間に完成。

「相変わらず、鮮やかなもんだねー。奈良先輩と波部先輩呼んでくるから、盛っといて」

「ありがとー」


 ◆ ◆ ◆


「美味しそうねー」

「らいあの話を疑うわけじゃなかったけど、ほんとに料理上手なんだ」

「えへへ~」

 やって来た両先輩に褒められ、照れるまりん。

「さっそく、いただきましょう!」

 割り箸が配られ、一同、いただきますを言う。

「ん! 美味しー!」

「うんうん!」

「すごいな、まりん」

 口々に褒められ、照れくさくて、後頭部を撫でるシェフ。実際、自分で食べても美味しいと思う。

「ごちそうさまでした」

 小盛りなので、ぺろりと平らげる一同。

「はー……いいストレス発散になりましたー。ほんとは、オーブンもあるといいんですけどねー」

「アタシの領域を、どれだけ侵略する気だ」

 ただでさえ、今回大荷物が届いたのに、オーブンを望むまりんに苦情を言う、相部屋の相方。

「あはは。じゃあ、洗ってきまーす」

 縮んで干からびた生ゴミを、ビニールに入れ、口を縛ってゴミ箱に入れると、調理道具と食器を持って、流しに向かうまりん。

 明日は、なに作ろうかなーと、思いを巡らせる彼女であった。

 なお、昼食に焼きそばが被ってしまって、少々とほほとなる、四人でありましたとさ。
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