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第二十四話 復活
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「あくあちゃん、元気ないね。大丈夫?」
晩御飯の焼売定食を、ぼそぼそ元気なく食べるあくあが気になり、まりんが声を掛ける。
「あんまり大丈夫じゃない」
返ってきた言葉は、それだけだった。
「私になんか、できることある?」
「ごめん、ない」
肩をすくめ、案内課先輩コンビと、顔を見合わせる。
里愛は、複雑な心境で、その光景を見守るのであった。
◆ ◆ ◆
夕食後、企画課トリオのデバイスに、里愛からメッセージが届く。「話があるので、ロビーに集まってほしい」と。
言われたとおりに集まると、里愛は重い口を開き、自分が知る限りの、あくあの苦境について話した。
特に、同僚からの悪評の話はショッキングで、まりんは、特に落ち込んでしまう。
「ほんとに、なにもしてあげられないのが、もどかしいな……」
夕食の場での、あくあの対応を思い出す彼女。
「仕事ができすぎるというのも、難しいものだな」
らいあも、難しい顔をする。
「あんなに明るかった、春木さんが……」
首を横に振る、奏。
「飲みに誘っても、解決するような話じゃないと思うし。私も先輩として、どうしてあげたらいいのか……」
里愛も、苦渋の表情を浮かべる。
「休館日に、レジャーに連れ出して、気分転換! てのも、上手くいきそうな気がしませんね」
「やりがいを見失ってしまったのがなあ……」
入社当初、閑職に失望したらいあが、勉強することでエディアカラ生物を好きになり、やりがいを見出したことを思い出す。
とにかく、案内課トリオにどうこうできる話ではないと、痛感する。
「里愛、なんとかしてあげられない?」
「私なりには、やってるんだけど……」
悪評について話してしまった、自分の判断を悔やむ。黙っていても、いずれ本人の知るところとなったろうが、社内いじめに発展するかも知れないと思うと、忠告せずにはいられなかった。
「あの。あくあちゃんは、仕事にやりがいがほしいわけですよね。絶滅展の中心は無理でも、少しでもそれに近い仕事を、割り振ってあげられないんでしょうか」
「んー……。課長に進言してみるね」
さっそく、デバイスでメッセージを送る里愛。
「今出せる知恵は、こんなもんかなー。みんな、ありがとうね」
企画課トリオに、頭を下げる。
「あくあちゃんを、よろしくお願いします」
深々と、里愛に頭を下げるまりん。
入浴時間となったので、皆で風呂に入るが、やはりあくあの表情は、暗いままだった。
◆ ◆ ◆
翌日。あくあにはサポートだけでなく、絶滅展の中心に近い仕事が、多少割り振られるようになった。
(ありがとうございます……!)
課長に感謝する、あくあ。
少しだけど、元気が湧いてきた。
ここしばらく、立場が安定しない彼女であったが、今は中心に指先だけでも、引っかかっているのが嬉しい。
八割のペースを心がけ、仕事に励む彼女。
「差し入れ」
缶コーヒーを、あくあのデスクに置く里愛。
「ありがとうございます」
「お仕事、無理しない程度に頑張ってね」
あくあの表情が明るいのを確認すると、安心して自分のデスクに戻る里愛であった。
紆余曲折あったが、あくあの問題については、これで概ね解決した感じであろう。
課長も、顔に生気が戻ったあくあを見て、一安心する。
里愛のデバイスに、「助言、感謝する」と、メッセージを送り、(俺も、まだまだだな)と思いながら、缶コーヒーを飲むのであった。
◆ ◆ ◆
今日は皆、定時上がりの日。
「波部先輩、今日は久しぶりに、五人で帰りましょうよ」
終礼が終わると、背の凝りをう~んと伸ばしほぐしながら、提案する。
昨日の、死人のようだった彼女とは、まるで別人だ。
「うん」
企画課トリオのデバイスにメッセージを送ると、「すぐ行く」と、奏とらいあから返信が来る。
合流すると、道すがら今日の仕事ぶり、特に絶滅展関係について、笑顔であれこれ話すあくあ。
いつもの彼女が帰ってきたと、ほっとする四人であった。
晩御飯の焼売定食を、ぼそぼそ元気なく食べるあくあが気になり、まりんが声を掛ける。
「あんまり大丈夫じゃない」
返ってきた言葉は、それだけだった。
「私になんか、できることある?」
「ごめん、ない」
肩をすくめ、案内課先輩コンビと、顔を見合わせる。
里愛は、複雑な心境で、その光景を見守るのであった。
◆ ◆ ◆
夕食後、企画課トリオのデバイスに、里愛からメッセージが届く。「話があるので、ロビーに集まってほしい」と。
言われたとおりに集まると、里愛は重い口を開き、自分が知る限りの、あくあの苦境について話した。
特に、同僚からの悪評の話はショッキングで、まりんは、特に落ち込んでしまう。
「ほんとに、なにもしてあげられないのが、もどかしいな……」
夕食の場での、あくあの対応を思い出す彼女。
「仕事ができすぎるというのも、難しいものだな」
らいあも、難しい顔をする。
「あんなに明るかった、春木さんが……」
首を横に振る、奏。
「飲みに誘っても、解決するような話じゃないと思うし。私も先輩として、どうしてあげたらいいのか……」
里愛も、苦渋の表情を浮かべる。
「休館日に、レジャーに連れ出して、気分転換! てのも、上手くいきそうな気がしませんね」
「やりがいを見失ってしまったのがなあ……」
入社当初、閑職に失望したらいあが、勉強することでエディアカラ生物を好きになり、やりがいを見出したことを思い出す。
とにかく、案内課トリオにどうこうできる話ではないと、痛感する。
「里愛、なんとかしてあげられない?」
「私なりには、やってるんだけど……」
悪評について話してしまった、自分の判断を悔やむ。黙っていても、いずれ本人の知るところとなったろうが、社内いじめに発展するかも知れないと思うと、忠告せずにはいられなかった。
「あの。あくあちゃんは、仕事にやりがいがほしいわけですよね。絶滅展の中心は無理でも、少しでもそれに近い仕事を、割り振ってあげられないんでしょうか」
「んー……。課長に進言してみるね」
さっそく、デバイスでメッセージを送る里愛。
「今出せる知恵は、こんなもんかなー。みんな、ありがとうね」
企画課トリオに、頭を下げる。
「あくあちゃんを、よろしくお願いします」
深々と、里愛に頭を下げるまりん。
入浴時間となったので、皆で風呂に入るが、やはりあくあの表情は、暗いままだった。
◆ ◆ ◆
翌日。あくあにはサポートだけでなく、絶滅展の中心に近い仕事が、多少割り振られるようになった。
(ありがとうございます……!)
課長に感謝する、あくあ。
少しだけど、元気が湧いてきた。
ここしばらく、立場が安定しない彼女であったが、今は中心に指先だけでも、引っかかっているのが嬉しい。
八割のペースを心がけ、仕事に励む彼女。
「差し入れ」
缶コーヒーを、あくあのデスクに置く里愛。
「ありがとうございます」
「お仕事、無理しない程度に頑張ってね」
あくあの表情が明るいのを確認すると、安心して自分のデスクに戻る里愛であった。
紆余曲折あったが、あくあの問題については、これで概ね解決した感じであろう。
課長も、顔に生気が戻ったあくあを見て、一安心する。
里愛のデバイスに、「助言、感謝する」と、メッセージを送り、(俺も、まだまだだな)と思いながら、缶コーヒーを飲むのであった。
◆ ◆ ◆
今日は皆、定時上がりの日。
「波部先輩、今日は久しぶりに、五人で帰りましょうよ」
終礼が終わると、背の凝りをう~んと伸ばしほぐしながら、提案する。
昨日の、死人のようだった彼女とは、まるで別人だ。
「うん」
企画課トリオのデバイスにメッセージを送ると、「すぐ行く」と、奏とらいあから返信が来る。
合流すると、道すがら今日の仕事ぶり、特に絶滅展関係について、笑顔であれこれ話すあくあ。
いつもの彼女が帰ってきたと、ほっとする四人であった。
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