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第三章 ウチのダンジョンに討伐軍がやって来た!
第十四話 ディーン、兵法を学ぶ
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17階層で夜間の見張りをやってもらったSランク冒険者たちは、ミノさんと盗賊団チームと交代して草原エリアに戻っていた。そして村里共有の銭湯で朝風呂を浴びてサッパリした後、食堂で朝ご飯を食べている。
村里の食堂はハーフエルフの女達が、交代で調理を担当してくれてる。配膳はセルフサービスで、自分でご飯とみそ汁をよそって、カウンターに並べてある小鉢を一品ずつお盆に乗せていく。食事が済んだら、流しできちんと食器を洗って厨房に返却する決まりだ。
「あ、ディーンさま。おはようございます。珍しいですね?」
三角巾とエプロンを着けた、ハーフエルフに声を掛けられた。
「うん。ちょっと」
「朝ご飯、まだありますよ? 食べて行ってください」
カウンターを見ると、炊き立てご飯に、しじみとネギの味噌汁、温泉卵、納豆、赤カブの漬物、焼き海苔、梅干しが並んでいる。せっかくだから、食べるか。
オレは朝食をお盆に乗せて、Sランクパーティのテーブルへ向かった。テーブルには、一番年嵩の賢者のじぃさん、壮年の騎士と魔法剣士、妙齢の聖女、青年の暗殺者がオレをチラチラ見ている。
「おはよ、昨夜はお疲れさま」
賢者の爺さんの前に座ると、温泉卵にネギと出し醤油をかけて、ほかほかご飯の上にのせて混ぜる。オレは卵かけご飯は、生卵より温泉卵の方が好きだ。
「むぅ。お若いの、卵かけご飯は、先に出し醤油をご飯に馴染ませてから温泉卵を混ぜた方が、おいしいですぞ?」
「えっ?! そうなんだ……。今度そうしてみる」
実はまだ、このパーティには、オレがダンジョンマスターだと明かしてなかった。どこから話そうか考えていると、爺さんから話しかけて来た。
「どうやら、悩みごとのようじゃな? ほれ、ここは年の功。このわしに話して見なされ」
「はは、アールの世話焼きが始まった。でもアールはこう見えても賢者で、色々物知りだから、話してみたら?」
聖女はオレに笑いかけると、立ち上がって食器を洗いに行く。他のメンバーもオレと爺さんを残して「お先に」と行ってしまった。
「えっと。よろしくお願いします?」
なんだか、悩み相談室みたいになってしまった。
「お爺さんも知っての通り、討伐軍がここに攻め込んで来ている。敵方に居た赤狼人族の傭兵団が、このダンジョンに寝返ったんだけど、奥さんと子供が王都に残っていたんだ。討伐軍の将軍は傭兵たちは死罪、その家族は奴隷にすると言っていて……。なんとかしなきゃいけなくなって」
「……ふむ。おぬしはソーンの兵法を知っておるか?」
「いや、知らないけど」
「二千年程前に、今は亡き東方の国の名将であり軍略家として名高い者がおってな。その者の書き残した兵法書が、今も国政において賢き為政者の中で、尊ばれておるのじゃ」
なんか、話が長くなりそうだなあ……。
「攻め込まれた場合、こちらには地の利があり、備えもある。しかし相手方は将に人望はなく、兵も離れた。この戦いはダンジョン側の勝ちに終わるじゃろう。しかし、これで大局が決したわけではない。そこでソーンの"敵の情を知らざる者は不仁の至りなり"じゃ」
「なんですか、それ」
「兵法書の第十二章「火攻篇」で出てくる一節じゃ。相手方の情報を得る重要性を説いている」
「はぁ……」
「そもそも、王都の様子を探る諜報活動を担当する者が、おらんかったのが問題なのじゃ。行き当たりばったりに、戦いの最中、兵の家族を人質に捕られるかもしれないから、救出したいなど。将としての器に問題じゃ」
「うぐっ」
ダンジョンに、引きこもっていればいいんじゃなかったのか、ダンジョンマスターって。狼人族の傭兵が寝返ることまで、考えてなかったし。
「まあ、そこはあれじゃが、兵を大事にするという所は評価しておる。ダンジョン側の皆の士気も高く、一致団結しておるでの」
もしかして爺さん、オレがダンジョンマスターって分かってる……?
「この度の討伐軍を、撃退した後のことまで考えておるか?」
「戦いが終わったら、ゆっくり考えるつもりで……」
「それでは、遅いのじゃ。常に先手先手を考え、幾通りもプランを立てて、備えねば。それが一国一城の主の務めであろう? フレイア教団や王国が、勇者と聖剣をこれで諦めるとは、おぬしも思っておるまい?」
「えっと、じゃあ、どうすれば――?」
「元凶を、元から断て。さすれば、問題も解決となるじゃろう」
村里の質素な麻の服を着た爺さんは、爛々と目を光らせた。
「そんなこと言ったって……。どうすればいいのか」
「わしには、その解決策がある」
自信たっぷりな爺さんだった。村里でも鬼たちから慕われていると聞いているし、ここは信じてもいいかな?
「――師匠、と呼ばせてください! 兵法も、もっと教えて下さい。お願いしますっ」
爺さんに頭を下げる。
「ふむ。それには条件があるが……」
その条件とは……賢者の爺さん以外の、Sランクパーティメンバーの解放だった。
もともと、依頼するつもりだった王都の狼人の家族の救出をやってくれたら、解放するつもりだった。ただ、ダンジョン内の情報は守秘させる呪いを呪術系の魔法で掛けるつもりだったのだけど――。
条件と作戦の両方を聞いて、オレは頷いた。
アーサーに相談しないで、決めちゃって大丈夫かな、というのが心に引っかかりはしたけど。アーサーは局地的な戦術には長けているけれど、全体を見て先手を繰り出す戦略にかけては、この爺さんの方に軍配が上がる、と感じた。どっちみち、爺さんを連れて、マスタールーム(1LDK)に戻るつもりだし。
「師匠と呼ぶからには、その隷属の首輪を外させていただきます」
「うむ」
これからの作戦を、爺さんを交えて1LDKで練ろうじゃないか。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
注釈)
作中のソーンの兵法書は孫子
兵法の第八章「九変篇」帰師には遏むること勿かれ
村里の食堂はハーフエルフの女達が、交代で調理を担当してくれてる。配膳はセルフサービスで、自分でご飯とみそ汁をよそって、カウンターに並べてある小鉢を一品ずつお盆に乗せていく。食事が済んだら、流しできちんと食器を洗って厨房に返却する決まりだ。
「あ、ディーンさま。おはようございます。珍しいですね?」
三角巾とエプロンを着けた、ハーフエルフに声を掛けられた。
「うん。ちょっと」
「朝ご飯、まだありますよ? 食べて行ってください」
カウンターを見ると、炊き立てご飯に、しじみとネギの味噌汁、温泉卵、納豆、赤カブの漬物、焼き海苔、梅干しが並んでいる。せっかくだから、食べるか。
オレは朝食をお盆に乗せて、Sランクパーティのテーブルへ向かった。テーブルには、一番年嵩の賢者のじぃさん、壮年の騎士と魔法剣士、妙齢の聖女、青年の暗殺者がオレをチラチラ見ている。
「おはよ、昨夜はお疲れさま」
賢者の爺さんの前に座ると、温泉卵にネギと出し醤油をかけて、ほかほかご飯の上にのせて混ぜる。オレは卵かけご飯は、生卵より温泉卵の方が好きだ。
「むぅ。お若いの、卵かけご飯は、先に出し醤油をご飯に馴染ませてから温泉卵を混ぜた方が、おいしいですぞ?」
「えっ?! そうなんだ……。今度そうしてみる」
実はまだ、このパーティには、オレがダンジョンマスターだと明かしてなかった。どこから話そうか考えていると、爺さんから話しかけて来た。
「どうやら、悩みごとのようじゃな? ほれ、ここは年の功。このわしに話して見なされ」
「はは、アールの世話焼きが始まった。でもアールはこう見えても賢者で、色々物知りだから、話してみたら?」
聖女はオレに笑いかけると、立ち上がって食器を洗いに行く。他のメンバーもオレと爺さんを残して「お先に」と行ってしまった。
「えっと。よろしくお願いします?」
なんだか、悩み相談室みたいになってしまった。
「お爺さんも知っての通り、討伐軍がここに攻め込んで来ている。敵方に居た赤狼人族の傭兵団が、このダンジョンに寝返ったんだけど、奥さんと子供が王都に残っていたんだ。討伐軍の将軍は傭兵たちは死罪、その家族は奴隷にすると言っていて……。なんとかしなきゃいけなくなって」
「……ふむ。おぬしはソーンの兵法を知っておるか?」
「いや、知らないけど」
「二千年程前に、今は亡き東方の国の名将であり軍略家として名高い者がおってな。その者の書き残した兵法書が、今も国政において賢き為政者の中で、尊ばれておるのじゃ」
なんか、話が長くなりそうだなあ……。
「攻め込まれた場合、こちらには地の利があり、備えもある。しかし相手方は将に人望はなく、兵も離れた。この戦いはダンジョン側の勝ちに終わるじゃろう。しかし、これで大局が決したわけではない。そこでソーンの"敵の情を知らざる者は不仁の至りなり"じゃ」
「なんですか、それ」
「兵法書の第十二章「火攻篇」で出てくる一節じゃ。相手方の情報を得る重要性を説いている」
「はぁ……」
「そもそも、王都の様子を探る諜報活動を担当する者が、おらんかったのが問題なのじゃ。行き当たりばったりに、戦いの最中、兵の家族を人質に捕られるかもしれないから、救出したいなど。将としての器に問題じゃ」
「うぐっ」
ダンジョンに、引きこもっていればいいんじゃなかったのか、ダンジョンマスターって。狼人族の傭兵が寝返ることまで、考えてなかったし。
「まあ、そこはあれじゃが、兵を大事にするという所は評価しておる。ダンジョン側の皆の士気も高く、一致団結しておるでの」
もしかして爺さん、オレがダンジョンマスターって分かってる……?
「この度の討伐軍を、撃退した後のことまで考えておるか?」
「戦いが終わったら、ゆっくり考えるつもりで……」
「それでは、遅いのじゃ。常に先手先手を考え、幾通りもプランを立てて、備えねば。それが一国一城の主の務めであろう? フレイア教団や王国が、勇者と聖剣をこれで諦めるとは、おぬしも思っておるまい?」
「えっと、じゃあ、どうすれば――?」
「元凶を、元から断て。さすれば、問題も解決となるじゃろう」
村里の質素な麻の服を着た爺さんは、爛々と目を光らせた。
「そんなこと言ったって……。どうすればいいのか」
「わしには、その解決策がある」
自信たっぷりな爺さんだった。村里でも鬼たちから慕われていると聞いているし、ここは信じてもいいかな?
「――師匠、と呼ばせてください! 兵法も、もっと教えて下さい。お願いしますっ」
爺さんに頭を下げる。
「ふむ。それには条件があるが……」
その条件とは……賢者の爺さん以外の、Sランクパーティメンバーの解放だった。
もともと、依頼するつもりだった王都の狼人の家族の救出をやってくれたら、解放するつもりだった。ただ、ダンジョン内の情報は守秘させる呪いを呪術系の魔法で掛けるつもりだったのだけど――。
条件と作戦の両方を聞いて、オレは頷いた。
アーサーに相談しないで、決めちゃって大丈夫かな、というのが心に引っかかりはしたけど。アーサーは局地的な戦術には長けているけれど、全体を見て先手を繰り出す戦略にかけては、この爺さんの方に軍配が上がる、と感じた。どっちみち、爺さんを連れて、マスタールーム(1LDK)に戻るつもりだし。
「師匠と呼ぶからには、その隷属の首輪を外させていただきます」
「うむ」
これからの作戦を、爺さんを交えて1LDKで練ろうじゃないか。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
注釈)
作中のソーンの兵法書は孫子
兵法の第八章「九変篇」帰師には遏むること勿かれ
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