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食事
しおりを挟む日が暮れる頃になって、森に囲まれた岩山に辿り着いた。
岩山は、天然の要塞になっていた。
入り口にはかがり火が焚かれ、多くの戦士たちがいた。
砦のオークたちは私たちを見ると、ヒュッと短く口笛を吹いたりしたけど、それ以上のことはなかった。
私たちは、殺風景な大部屋に連れてこられた。
今夜はここに泊まるらしい。
部屋の隅に乾燥した藁と麻布が置かれていて、それが即席のベッドになるようだ。
数人のオークが部屋を出てどこかに行き、残ったオークが藁を整えて麻布を被せている。
出かけていたオークたちは、食事を持って戻って来た。
筵の上に座らされ、朴ノ木の葉で包んだ料理を床に置いて食べるようだ。
大きな葉に包んであったのは、岩塩で味付けされたブラックホーンの炙り肉だった。
ブラックホーンは危険な魔獣だが、その肉は極上と言われている。
国では貴族や裕福な商人位しか口にすることはできなかったはず。
こんがりと美味しそうな焼き色の付いた肉の塊を、オークはナイフで食べやすく切ってくれた。
ジューシィな肉汁が食欲をそそる。
その他にどんぐりパン、イチジクなどが朴ノ木の葉の皿の上に並べられた。
オークたちは、エール酒を樽ごと持ってきて、ゴブレットに注ぎ、飲みながら飲み食いを始めた。
食事の量は、申し分なくたっぷりとあった。
ずっと緊張していたので気が付かなかったけど、とてもお腹が空いていた。
昼にドングリのクッキーしか食べていなかったので、当然だ。
「ナイフとフォークはありませんの?」
私がおずおずと聞くと、オークはフン、と鼻で笑った。
「手掴みで食べるなんて……」
「なんか勘違いしているようだが、おめぇは家畜だ。四つん這いになって、皿に口をつけて食うんだよ」
「そんな……っ」
ブラックホーンの香ばしい匂いに、思わず唾が出て食べたくて仕方ないのに。
他の女たちを見れば、すでに四つん這いになって葉っぱのお皿の上に置かれた肉を、獣のようにガツガツと食べている。
「嫌なら食べなくてもいいんだぞ?」
……ここで逆らっても何もいい事はない。
私は、オークに言われた通り四つん這いになると、木の葉の皿に置かれた肉を直に口をつけて食べた。
――王妃になるために最高のマナー教育を受けてきた私が、獣のように食事をするなんて……。
心の中に広がる苦い感情とは別に、ブラックホーンの焼肉はとても美味しかった。
「おめぇは細っこ過ぎるから、沢山食べろ」
……お腹が一杯になるまで、たくさん食べてしまった。いつもは体型をを気にして、食べ過ぎないようにしているのに。
食事が終わると、またオークは二つのチームに分かれて、片づけをする組とお湯を桶に入れて持ってくる組とでそれぞれ立ち働く。
オークはお湯で絞った清拭で、自分たちがそれぞれ背負ってきた女を拭き清める。
それからまたあの香油を塗られた。
昼よりも丁寧に、胸の先端を摘まんでクニクニと弄んだり、秘所にも執拗に塗り込める。
「はっ、ぁ、んっ」
花弁の上のつつましく包皮を被った秘粒にも、オークの指の腹でクルクルとまわすようにして塗された。
「んんっ、ぅっ」
身体が勝手にビクンと跳ねる。
「もうここがぐしょぐしょ、じゃねぇか、ん?」
にやりと笑うと、藁のベッドに連れて行かれた。
――ああ、いよいよだ。今夜、私はこの醜いオークに初めてを奪われる……。こんな大部屋の大勢の中で。
他の女たちも、諦めたのか目立って抵抗するような者はいない。
オークは鎧と、皮と麻の服を脱ぎ、女たちに使った残りの湯で自分たちの身体を清めると、それぞれの寝床に横になった。
国境からずっと私の世話をして来た、薄い緑の肌のオークが隣に来ると、思わず身を固くした。
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