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炭焼き小屋
しおりを挟む砦の中庭で、五十人くらいを相手にして、ようやく解放された
最後の方は、ひとりで立っていられなくて、ゼラに抱えられながらなんとか家畜の務めを果たし終えた。
結局、私たち七人の女で、この砦のオーク兵全部を相手にしたことになる。
娼婦だった女囚が「ちくしょう、オークの奴ら、みんな巨根かよ! ふざけんな」と叫んで暴れてから、口枷をされてしまっている。
他の女たちはといえば、ぐったりして死んだような目をしていた。
貴族の子息を誘拐した町娘は、うつろな瞳で何かブツブツ呟いていた。
オークは二メートルを超えるくらいの背丈とがっちりした体形で、私たちのような普通サイズの女が欲望をぶつけられれば疲弊するのは当然だ。
すべてが終わると、また清拭で清められ、香油を塗られた。
そして、再び飼育隊員のオークたちの背に乗せられて砦から出発し、森の中を進んだ。
疲れ切った私は、そのままぐったりとゼラの背中に身を預け、眠り込んでしまった。
途中何度か起こされ、水分補給や果物、ドングリのクッキーを食べさせられたり、排泄の世話を焼かれたりしながら、移動中はほとんど寝て過ごした。
ようやく、目が覚めると夕方になっていて、今夜は炭焼き小屋に泊まると言われた。
森の中の炭焼き小屋は冬場しか使用されず、時々狩人が利用しているくらいで、今は誰も居ない。
小屋の中は、少し前に狩人が使用したのか、小ざっぱりと片付けられて、それほど汚れたり埃っぽくもなかった。
オークたちは筵を引いて、床の上に私たちを寝かせると、隅に置かれた毛布を掛けてくれた。
「飯ができるまで、寝てろ」
ゼラに言われなくても、身体がだるくて動けそうもない。
飼育隊員たちはまた手分けして、水を汲んだり、火を熾したりしている。
小屋の中には調理用かまどがある。
あれで何か料理を作ってくれるのだろうか。
私は床に寝かされた他の女たちの様子を見た。
不思議なことに、この女たちの中で今のところ正気を保っているのは、私とあの娼婦だけのようだ。
あの娼婦は、魔族の領土まで連れて来られたのに、まだあきらめていない。
隙あれば逃げようとしたり、反抗したりしている。
そういう彼女とは真逆に、私はこの状況に順応できないかと考えてる。
こうして裸で世話をされたりすることは、貴族令嬢として育てられた私にとっては慣れたことだった。
着替えや入浴など、幼いころから全部使用人たちがやっていたのだから。
子供の頃から、政略結婚で愛のない相手と結婚するのだと、覚悟もしてきた。
相手が年寄りだったり醜い容姿だというのも十分あり得た。
だから、たまたま見目麗しいアンベール様の婚約者になって浮かれてしまったのかもしれない。
婚約者にはすでに恋人がいると知り、シャルロットを排除しようとして、私の人生は転落してしまったけれど。
好きでもない相手とああいうことをして、子を産まなきゃいけないなら、結局相手がオークでも同じことなんじゃないかしら。
そんな風にどこか割り切っている自分もいた。
処女を散らされたばかりで、五十人の相手は大変だったし、惨めだったけど。
あの後も変わらずゼラは、私の世話をしている。
狩りに出ていたオークたちが戻って来た。
持ち帰った獲物は、ポッポ鳥だった。臭みがなく柔らかくておいしい肉だ。
ここに戻って来るまでに血抜きは済んでいて、手際よく捌いている。
かまどからも、おいしそうな湯気と匂いが立ち始めた。
ゼラがドングリの粉と森で見つけた自然薯をすり下ろしたものを水で溶いて、沸騰したお湯の中に匙で少しずつ落している。
火が通るとふわふわした団子になって、そこにこれも採って来たキノコや山菜、ポッポ鳥の肉も入れて岩塩で味付けして、出来上がりだ。
オークでもちゃんと料理をできるのかと、感心してしまった。
「起き上れるか?」
ゼラは私を起こすと、彼の胸に背中をもたれさせて座らせた。
持って来たスープを木匙ですくうと、ふうふうと息をかけて冷まし、私の口に運んだ。
ポッポ鳥やキノコからいい出し汁が出て、とてもおいしい。
何回かお代わりをしたあと、薬湯を差し出された。
苦そうな匂いに、顔をしかめる。
「せっかくおいしいものを食べたのに。口の中がまずくなってしまいますわ」
「蜂蜜をすこし入れてやるから、飲め。明日には元気になれるから」
薬湯の入った木杯の中に、瓶に入った貴重な蜂蜜をひと匙垂らしてくれた。
一般的に甘味は少なく、蜂蜜は貴重で薬や嗜好品として使われている。
大事にされていると少しでも感じられれば、荒んだ心がやわらいだ。
「慣れない旅で疲れただろう? ゆっくり休め」
寝る前に清拭で身体を清め、香油を塗り終わると、毛布を肩まで掛けてくれた。
――今夜はこのまま寝るのね。ほっとしたような、がっかりしたような……。
他の女たちも、早々に眠りについているようだ。
昼間ずっと眠っていたせいか、身体はだるいのに眠くない。
「眠れないのか?」
コクリと頷けば、ゼラは私の脚の間に太い手を入れた。
ビクッとして、ゼラの顔を見る。
「軽くイくと、身体がリラックスしてぐっすり眠れる」
ゼラは親指で秘粒をそっと撫でながら、人差し指と中指を蜜口に差し入れた。
やわやわと刺激されると、すぐに中から蜜が零れてくちゅくちゅと音を立て始める。
「ん、んっ。イ、イッちゃうっ」
ゼラの二本の指を痛いほど締め付けて、達してしまった。
指を引き抜かれるときの喪失感。
蜜口はまだヒクヒクとして、物欲しそうに口を開けて震えている。
ゼラは、今日はシなくていいのかしら……。
「お休み、シロ」
私は急速に眠気に襲われて目を閉じた。
あたたかな腕の中ですとんと眠りの中に落ちていく。
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