灼炎の転生魔女〜いじめられて自殺した私、異世界で炎の魔女の娘に転生しましたが、今度こそ強く生き抜きます!〜

銀鏡。

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五章 ラグルの呼び声

358.砂の尾根を越えて

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 私たちは、尾根の斜面を登っていた。
足元は崩れやすい砂と岩の混じった急勾配で、思っていた以上に体力を削られる。

先頭を行くノエルが、何かを感じ取ったのか、手を広げて地面に触れた。

「大丈夫・・・ここは安定してる。アリア、次、右足から」

 ノエルの指示通りに足を運ぶと、しっかりとした感触が返ってきた。地属性の魔力で、足場を固めてくれているのだ。

「ありがと」

「どういたしまして」

息を切らしながらも笑う彼女に、私も小さく笑い返す。
その後ろでは、サラと母も慎重に足を進めていた。

 あと少しで、頂上だ。
私は最後の岩を掴み、尾根のてっぺんへと身体を引き上げた。

「──っ!」

そして、視界が開けた次の瞬間、私は息を呑んだ。

 そこは、まるで別の世界だった。

見渡す限り、乾いた大地が波打つように広がり、岩肌がむき出しになった断層がいくつも走っていた。
荒涼としていて、美しく、そして──危険な気配を孕んでいる。

 私たちが越えてきた砂漠とは、まるで表情が違う。

「うわ・・・すごい・・・」

後ろから登ってきたサラも、同じく目を見張っている。

「ここが・・・境目、なのね」

 母がそう言った直後だった。

耳に、かすかな風切り音が届いた。

「・・・アリア、伏せて!」

ノエルの叫びと同時に、私の本能が何かを察知して身をかがめた。

直後、尾根のすぐ脇を巨大な影が通過する。
風が裂けるような轟音、荒れ狂う砂煙。
・・・飛竜だ。

「また・・・!」

 今度の個体は、前に出会ったものよりも一回り大きい。
オレンジの鱗が朝日にきらめき、尾根の上空で旋回している。

その目は──明らかに私たちを見ていた。

「やる気みたいね・・・」

 母は杖を構える。
私も反射的に杖を構え、先端に炎を灯した。

「どうします?撃退・・・しますか?」

サラの声は冷静だったが、足元の砂はすでに熱を帯び始めている。

「逃げたとして、振り切るのは難しい・・・戦う他にないわ!」

 母の言葉と同時に、尾根に炎の陣が走る。

私は視線を飛竜に定め、胸の奥から熱を引き上げた。

「いくよ、みんな・・・!」

蒼穹に吠える飛竜と、炎を掲げる魔女たち。
炎と炎、空と地の戦いが再び幕を開ける。

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