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五章 ラグルの呼び声
357.再び歩き出す朝
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夜が明けた。
砂漠の夜は冷え込んだが、結界の内側は穏やかで、私たちは十分な休息をとることができた。
外がわずかに明るみはじめた頃、私はテントの外に出て、大きく息を吸い込んだ。
冷たく乾いた空気が喉を抜け、身体の奥まで染み渡っていく。
夜明けの砂漠は、どこまでも静かだった。
空は群青から淡い橙へと移ろいはじめ、砂の起伏に長く影が落ちている。
「・・・よかった。砂嵐、来なかったみたいね」
隣で、母が杖を手に呟いた。
昨夜張った結界はまだ薄く残っていて、きらきらと朝露のように光を受けていたが、間もなく消えていった。
ノエルとサラも、続いて起き出してくる。
「・・・寝起きの砂は、ちょっと足にくるね」
ノエルが軽く伸びをしながら言い、サラはもう手際よく携帯用の調理具を広げていた。
「朝食、準備しますね。あんまり重いのはないですけど・・・乾燥肉とスープ、それとビスケットで」
「ありがとう、助かる」
昨夜の名残がまだ少し残っている空気の中で、それでも私たちは少しずつ、いつもの旅のテンポを取り戻していった。
魔力灯を消し、軽く顔を洗って砂を払う。簡素な朝食でも、温かいものがあるだけで、身体が目覚めていくのがわかる。
食後には、ノエルと私でテントの解体。
寝袋をたたみ、杭を抜き、魔法具へ収納していく。サラが魔力で固めた地面を掃き清め、母が最後に残った痕跡を風とともに消していった。
再び歩き出す前の、この静かな時間が私は好きだった。
何かが終わり、また始まる気配。
夜が明け、星が去り、太陽が照らしはじめる。
今日もまた、新しい一日が始まる。
「さて。次は・・・あの尾根を越えた先ね。導きの針は、まだ南を指してる」
母がそう言って私の手を取り、小さなコンパスを見せる。
みんなは頷き合い、装備を整えた。
「じゃあ、行きましょうか。気温が上がる前に、できるだけ進みたいですし」
サラが言うと、ノエルも頷いて砂を踏み出す。
私はひとつだけ、振り返った。
昨夜を過ごした見張り台の遺構。
もう誰もいないそこに、ほんのひとときだけ、私たちの時間があった。
──ありがとう。
心の中でそう呟いて、私はその場を後にした。
旅はまだ続く。
でも、昨夜のあの“静かなやり直し”を胸に刻んで、また一歩、前へ進める気がしていた。
砂漠の夜は冷え込んだが、結界の内側は穏やかで、私たちは十分な休息をとることができた。
外がわずかに明るみはじめた頃、私はテントの外に出て、大きく息を吸い込んだ。
冷たく乾いた空気が喉を抜け、身体の奥まで染み渡っていく。
夜明けの砂漠は、どこまでも静かだった。
空は群青から淡い橙へと移ろいはじめ、砂の起伏に長く影が落ちている。
「・・・よかった。砂嵐、来なかったみたいね」
隣で、母が杖を手に呟いた。
昨夜張った結界はまだ薄く残っていて、きらきらと朝露のように光を受けていたが、間もなく消えていった。
ノエルとサラも、続いて起き出してくる。
「・・・寝起きの砂は、ちょっと足にくるね」
ノエルが軽く伸びをしながら言い、サラはもう手際よく携帯用の調理具を広げていた。
「朝食、準備しますね。あんまり重いのはないですけど・・・乾燥肉とスープ、それとビスケットで」
「ありがとう、助かる」
昨夜の名残がまだ少し残っている空気の中で、それでも私たちは少しずつ、いつもの旅のテンポを取り戻していった。
魔力灯を消し、軽く顔を洗って砂を払う。簡素な朝食でも、温かいものがあるだけで、身体が目覚めていくのがわかる。
食後には、ノエルと私でテントの解体。
寝袋をたたみ、杭を抜き、魔法具へ収納していく。サラが魔力で固めた地面を掃き清め、母が最後に残った痕跡を風とともに消していった。
再び歩き出す前の、この静かな時間が私は好きだった。
何かが終わり、また始まる気配。
夜が明け、星が去り、太陽が照らしはじめる。
今日もまた、新しい一日が始まる。
「さて。次は・・・あの尾根を越えた先ね。導きの針は、まだ南を指してる」
母がそう言って私の手を取り、小さなコンパスを見せる。
みんなは頷き合い、装備を整えた。
「じゃあ、行きましょうか。気温が上がる前に、できるだけ進みたいですし」
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私はひとつだけ、振り返った。
昨夜を過ごした見張り台の遺構。
もう誰もいないそこに、ほんのひとときだけ、私たちの時間があった。
──ありがとう。
心の中でそう呟いて、私はその場を後にした。
旅はまだ続く。
でも、昨夜のあの“静かなやり直し”を胸に刻んで、また一歩、前へ進める気がしていた。
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