11 / 90
第一部 ようこそ、ハーレムな異世界へ
第11章 魔法と技の闘技
しおりを挟む
僕は、周囲の熱気に少し圧倒されながら、闘技場の中央を見つめる。
金髪のセイマー――どうやら司会進行役らしい――が、高らかに声を響かせる。
「それでは、第一試合! まずは、こちらの選手から!」
彼女が手を掲げると、闘技場の片側の門が開かれ、1人のセイマーが姿を現した。
白銀の髪をなびかせたスレンダーな女性。彼女は腰に二本の剣を携え、自信に満ちた笑みを浮かべながら歩みを進める。
セリナたちと同じく、スタイルは抜群だ。
「氷刃のカレン! 今大会もその剣技で観客を魅了してくれるでしょう!」
歓声が上がる。カレンと呼ばれた彼女は軽く片手を挙げ、観客に応えた。
そして、もう一方の門が開く。
「対するはーー炎獄のレイナ!」
今度は赤髪をなびかせた筋肉質な女性が現れる。
正直、こういう女も嫌いじゃない。
こちらは片手に巨大な戦斧を持ち、力強い足取りで闘技場へと進んだ。
「氷と炎の対決か……」
僕が思わず呟くと、セリナが微笑む。
「そうよ。属性の相性もあるけれど、どちらも実力者。簡単には決まらないわ」
僕は期待に胸を高鳴らせながら、闘技場を見つめた。
「それでは、試合開始――!」
司会の声が響いた瞬間、カレンが動いた。
疾風のごとき速さで間合いを詰め、双剣を交差させながらレイナに斬りかかる。
しかし――
「甘い!」
レイナはその一撃を戦斧で受け止めると、力任せに弾き返した。カレンの体が宙を舞う。
だが、カレンは空中で体勢を整え、氷の魔法を発動させた。
「氷槍!」
瞬時に十数本の氷の槍が生まれ、レイナ目掛けて放たれる。
「燃え尽きろ!」
レイナも負けじと炎の魔法を放ち、氷槍とぶつかり合う。炎と氷が交錯し、蒸気が立ち込めた。
観客の歓声がさらに大きくなる。
「すごいな……こんなのが生で見られるなんて」
僕は、ただただ圧倒されるばかりだった。
「さあ、どちらが先に決定的な一撃を叩き込むか!」
司会の金髪セイマーが声を張り上げる。観客の興奮は最高潮に達していた。
蒸気の中から、カレンが再び姿を現す。白銀の髪が濡れ、氷の刃に光が反射する。
「まだまだよ!」
カレンは素早く地を蹴り、低い体勢でレイナへと迫る。双剣を構え、まるで獲物を狙う獣のような鋭い視線を送る。
「いいぞ……」
レイナも負けじと戦斧を構え直した。彼女の周囲に炎が舞い、空気を震わせる。
そして――
カレンが右の剣を突き出し、レイナの視線を引く。しかし、それはフェイントだった。
瞬間、左の剣が逆方向から振り抜かれる。
レイナはすんでのところで気づき、戦斧を横に構えて受け止めたが、カレンの狙いはそれだけではなかった。
「凍てつけ!」
剣と戦斧がぶつかり合った瞬間、カレンの魔法が発動する。冷気が一気に広がり、レイナの斧に薄氷が張った。
「チッ……!」
レイナはすぐさま炎を放とうとするが――
「遅い!」
カレンが一気に間合いを詰め、蹴りを叩き込んだ。レイナの体が揺らぎ、その隙を突いて双剣が十字に閃く。
レイナの肩口から火花が散った。
「おおっと! ついにカレンの一撃が入った!」
歓声が湧き上がる。
僕は息をのんだ。
「決まるか……?」
だが――
「甘いね!」
レイナが笑った。
カレンの剣は確かに当たっていた。しかし、その傷は浅い。
レイナの体が炎をまとい、瞬時に氷を焼き払う。
「こっちの番だ!」
次の瞬間、レイナの戦斧が唸りを上げた。
その一撃は、カレンの防御を打ち砕くほどの威力を秘めていた――。
かくして、レイナの勝利で試合は終わった。
「今回はレイナの勝ちか。相変わらず強いね、彼女」
セリナの言い方からすると、彼女はこれまでにも勝った経験があるのだろうか。
「まあ、正直予想通りね。…ね、あなたはどうだった?」
エリアスに感想を尋ねられた。
「そうだね…なかなか面白かったよ。技とか魔法を使った戦いなんて、こうして生で見るの始めてだし」
「それは良かったわ」
ちなみに、この大会は勝っても報酬は特にないらしい。
あくまでも単純な強さを競うことが目的の、儀礼的な大会だからだそうだ。
「ただ、勝てば当然有名にはなれる。そして…」
エリアスは、意味深な目で僕を見てきた。
「自分の勇姿を見ていた者の中に、異世界から来た者、それも男なんてのがいれば…さあ、どうなるかしら」
金髪のセイマー――どうやら司会進行役らしい――が、高らかに声を響かせる。
「それでは、第一試合! まずは、こちらの選手から!」
彼女が手を掲げると、闘技場の片側の門が開かれ、1人のセイマーが姿を現した。
白銀の髪をなびかせたスレンダーな女性。彼女は腰に二本の剣を携え、自信に満ちた笑みを浮かべながら歩みを進める。
セリナたちと同じく、スタイルは抜群だ。
「氷刃のカレン! 今大会もその剣技で観客を魅了してくれるでしょう!」
歓声が上がる。カレンと呼ばれた彼女は軽く片手を挙げ、観客に応えた。
そして、もう一方の門が開く。
「対するはーー炎獄のレイナ!」
今度は赤髪をなびかせた筋肉質な女性が現れる。
正直、こういう女も嫌いじゃない。
こちらは片手に巨大な戦斧を持ち、力強い足取りで闘技場へと進んだ。
「氷と炎の対決か……」
僕が思わず呟くと、セリナが微笑む。
「そうよ。属性の相性もあるけれど、どちらも実力者。簡単には決まらないわ」
僕は期待に胸を高鳴らせながら、闘技場を見つめた。
「それでは、試合開始――!」
司会の声が響いた瞬間、カレンが動いた。
疾風のごとき速さで間合いを詰め、双剣を交差させながらレイナに斬りかかる。
しかし――
「甘い!」
レイナはその一撃を戦斧で受け止めると、力任せに弾き返した。カレンの体が宙を舞う。
だが、カレンは空中で体勢を整え、氷の魔法を発動させた。
「氷槍!」
瞬時に十数本の氷の槍が生まれ、レイナ目掛けて放たれる。
「燃え尽きろ!」
レイナも負けじと炎の魔法を放ち、氷槍とぶつかり合う。炎と氷が交錯し、蒸気が立ち込めた。
観客の歓声がさらに大きくなる。
「すごいな……こんなのが生で見られるなんて」
僕は、ただただ圧倒されるばかりだった。
「さあ、どちらが先に決定的な一撃を叩き込むか!」
司会の金髪セイマーが声を張り上げる。観客の興奮は最高潮に達していた。
蒸気の中から、カレンが再び姿を現す。白銀の髪が濡れ、氷の刃に光が反射する。
「まだまだよ!」
カレンは素早く地を蹴り、低い体勢でレイナへと迫る。双剣を構え、まるで獲物を狙う獣のような鋭い視線を送る。
「いいぞ……」
レイナも負けじと戦斧を構え直した。彼女の周囲に炎が舞い、空気を震わせる。
そして――
カレンが右の剣を突き出し、レイナの視線を引く。しかし、それはフェイントだった。
瞬間、左の剣が逆方向から振り抜かれる。
レイナはすんでのところで気づき、戦斧を横に構えて受け止めたが、カレンの狙いはそれだけではなかった。
「凍てつけ!」
剣と戦斧がぶつかり合った瞬間、カレンの魔法が発動する。冷気が一気に広がり、レイナの斧に薄氷が張った。
「チッ……!」
レイナはすぐさま炎を放とうとするが――
「遅い!」
カレンが一気に間合いを詰め、蹴りを叩き込んだ。レイナの体が揺らぎ、その隙を突いて双剣が十字に閃く。
レイナの肩口から火花が散った。
「おおっと! ついにカレンの一撃が入った!」
歓声が湧き上がる。
僕は息をのんだ。
「決まるか……?」
だが――
「甘いね!」
レイナが笑った。
カレンの剣は確かに当たっていた。しかし、その傷は浅い。
レイナの体が炎をまとい、瞬時に氷を焼き払う。
「こっちの番だ!」
次の瞬間、レイナの戦斧が唸りを上げた。
その一撃は、カレンの防御を打ち砕くほどの威力を秘めていた――。
かくして、レイナの勝利で試合は終わった。
「今回はレイナの勝ちか。相変わらず強いね、彼女」
セリナの言い方からすると、彼女はこれまでにも勝った経験があるのだろうか。
「まあ、正直予想通りね。…ね、あなたはどうだった?」
エリアスに感想を尋ねられた。
「そうだね…なかなか面白かったよ。技とか魔法を使った戦いなんて、こうして生で見るの始めてだし」
「それは良かったわ」
ちなみに、この大会は勝っても報酬は特にないらしい。
あくまでも単純な強さを競うことが目的の、儀礼的な大会だからだそうだ。
「ただ、勝てば当然有名にはなれる。そして…」
エリアスは、意味深な目で僕を見てきた。
「自分の勇姿を見ていた者の中に、異世界から来た者、それも男なんてのがいれば…さあ、どうなるかしら」
56
あなたにおすすめの小説
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる