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消えたジュラル

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翌日、オレ達は遅くまで寝ていた。
オレは浅く起きている。赤くなって来た空だけが視界に入っていた。
―そんな中、スタスタと歩く音が聞こえて来た。



「―はっ!」
オレは急に目が覚めた。りんと揮はまだ寝ていた。
脇の辺りがすうすうする。
―ジュラルは?
辺りを見渡す。ジュラルはやっぱりいなかった。
「おい!ジュラルがいねえぞ!!」
オレが二人の耳元で叫ぶと、二人は耳を抑えて起きて来た。
「うるさいわね!」
りんが激怒し、オレを睨みつけた。
揮も怒っているようではあったが、誰かがいない事に違和感を感じた。
「ジュラルは?」
「やっと気づいたのかよ!知らねえよ、そんなの」
揮は道のりに沿って歩く。そして、オレ達に向かって叫んだ。
「僕について来て!わかる気がするんだ」
りんとオレは、自身ありげな揮についていく事にした。

着いたのは、古そうな神社だった。
「本当にいるのか……って、いた!!」
オレが疑っていると、早速ジュラルらしき犬を発見した。
垂れた耳、茶色い毛の犬―ソイツはやっぱりジュラルだった。
ジュラルはシーサーの置物を見つめている。
―何やってんだアイツ。
「おーい!どこ行ってたんだよーー!!」
大声で呼ぶオレ。ジュラルはすぐに振り返った。
「なんでここにいるって分かった!?」
「ロボランの推理力で」
ジュラルはまた表情を歪ませた。コイツ、やたら勉強のことに反応するな。
「急にいなくなるから、みんな心配したのよ」
りんはそうため息をつくけど、心配なんて一ミリもしてない。
ジュラルは少し俯き、突然の謝罪をした。
「……ごめん」
オレ達は何故謝ったのか分からず、呆然とする。
「別に私たちは怒ってないわよ?」
りんが言うと、ジュラルは顔を真っ赤に染めた。
「ふざけんなあーー!!!!」
ジュラルは何とも言えない情けない声で叫《わめ》いた。

オレは、ジュラルと仲良くなったような気がした。
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