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ジュラルの正体
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その日オレ達は日が暮れるまで遊んだ。
通りすがりの男の子にかまってもらったり、ポメラニアンに嫌われたり、いっぱい出来事があった。
「ねえ、今日は早めに寝ましょうよ」
りんがそう吐いた。ジュラルも賛成だった。
「そうだな。疲れたし、みんなも足ダルいだろ」
オレ達は寝る準備をし、夜を眠り通した。
「……!!」
オレは悪夢に起こされた。明け方頃の事だった。
―嫌な夢だったな。
りんは寝言をブツブツ言っている。たい焼きをもう食べれないだの、サッカー選手になっただの、意味不な言葉を発していた。
「……あれ、ジュラルは?」
不意に、揮の声がした。
振り向くと、揮がきょろきょろしてジュラルを探している。―起きてたのか。
―そういえばジュラルがいない。
またかよ。
「りん、後でたい焼きやるからジュラル探すぞ」
オレが耳元で囁くと、りんは「ホント!?」と嬉しそうに飛び跳ねた。
「揮、行くぞ!」
オレとりんは揮に続きゆっくり歩き出す。
この時、オレ達はどこに行くか決まっていた。
「……やっぱりね」
りんが唖然とする。
ジュラルは前回と同様、神社にいた。心なしか、ジュラルの手が綺麗すぎるように見えた。
ジュラルはポツリと呟く。
「なんで……」
その後、りんが強い口調で怒鳴った。
「何をしに行ってたの?」
ジュラルは少し黙り込んでから、情けない声で叫んだ。
―情けないけれど、不思議な一言だった。
「実は、俺人間なんだ!」
「……え?」
揮とりんが同時に声をあげる。オレも目を丸くした。
ジュラルは続けた。
「朝起きたら、こうなってて!それで、元に戻ろうとしていたんだ……」
オレ達は喋らなかった。ジュラルが真剣な話をしているのが分かったからだ。
そして、オレは気づいたんだ。
ジュラルも、あの光によって犬になってしまった事を。
起きたら、犬になっていた。オレと、りんと、揮と、全く同じだ。
けれど、一つオレ達と違うところを見つけた。
オレは思わず尋ねた。
「なんで元に戻ろうとしたんだ?」
犬は最高の生き物。人間になんて戻ろうとしなくてもいいのに。
―勉強にやたら反応するのは、ジュラルが勉強嫌いだからだ。
「このままだと、何もかも不便だ。人間の方が出来ることも多い。だから……」
「なーに馬鹿な事考えてるんだ」
オレは呆れ、小さい声で呟いた。
「それは……」
オレはトドメの一撃の言葉を放った。
「お前、勉強嫌いなんだろ?しなくていいだろ?動物は好かれまくって幸せだろ?」
ジュラルはオレに共感したのか、反論しなくなった。
「このまま、オレ達と一緒に生きようぜ」
「……いい」
とても小さな声だったので、オレは聞き取れなかった。
「?」
「いいよ」
ジュラルは切なそうな表情を浮かべて、オレについていく事を誓った。
りんと揮は黙り込んでいる―が、ちょっとだけオレを睨んでいるような気がした。
こうして、オレ達とジュラルは死ぬまで暮らす事になった。
通りすがりの男の子にかまってもらったり、ポメラニアンに嫌われたり、いっぱい出来事があった。
「ねえ、今日は早めに寝ましょうよ」
りんがそう吐いた。ジュラルも賛成だった。
「そうだな。疲れたし、みんなも足ダルいだろ」
オレ達は寝る準備をし、夜を眠り通した。
「……!!」
オレは悪夢に起こされた。明け方頃の事だった。
―嫌な夢だったな。
りんは寝言をブツブツ言っている。たい焼きをもう食べれないだの、サッカー選手になっただの、意味不な言葉を発していた。
「……あれ、ジュラルは?」
不意に、揮の声がした。
振り向くと、揮がきょろきょろしてジュラルを探している。―起きてたのか。
―そういえばジュラルがいない。
またかよ。
「りん、後でたい焼きやるからジュラル探すぞ」
オレが耳元で囁くと、りんは「ホント!?」と嬉しそうに飛び跳ねた。
「揮、行くぞ!」
オレとりんは揮に続きゆっくり歩き出す。
この時、オレ達はどこに行くか決まっていた。
「……やっぱりね」
りんが唖然とする。
ジュラルは前回と同様、神社にいた。心なしか、ジュラルの手が綺麗すぎるように見えた。
ジュラルはポツリと呟く。
「なんで……」
その後、りんが強い口調で怒鳴った。
「何をしに行ってたの?」
ジュラルは少し黙り込んでから、情けない声で叫んだ。
―情けないけれど、不思議な一言だった。
「実は、俺人間なんだ!」
「……え?」
揮とりんが同時に声をあげる。オレも目を丸くした。
ジュラルは続けた。
「朝起きたら、こうなってて!それで、元に戻ろうとしていたんだ……」
オレ達は喋らなかった。ジュラルが真剣な話をしているのが分かったからだ。
そして、オレは気づいたんだ。
ジュラルも、あの光によって犬になってしまった事を。
起きたら、犬になっていた。オレと、りんと、揮と、全く同じだ。
けれど、一つオレ達と違うところを見つけた。
オレは思わず尋ねた。
「なんで元に戻ろうとしたんだ?」
犬は最高の生き物。人間になんて戻ろうとしなくてもいいのに。
―勉強にやたら反応するのは、ジュラルが勉強嫌いだからだ。
「このままだと、何もかも不便だ。人間の方が出来ることも多い。だから……」
「なーに馬鹿な事考えてるんだ」
オレは呆れ、小さい声で呟いた。
「それは……」
オレはトドメの一撃の言葉を放った。
「お前、勉強嫌いなんだろ?しなくていいだろ?動物は好かれまくって幸せだろ?」
ジュラルはオレに共感したのか、反論しなくなった。
「このまま、オレ達と一緒に生きようぜ」
「……いい」
とても小さな声だったので、オレは聞き取れなかった。
「?」
「いいよ」
ジュラルは切なそうな表情を浮かべて、オレについていく事を誓った。
りんと揮は黙り込んでいる―が、ちょっとだけオレを睨んでいるような気がした。
こうして、オレ達とジュラルは死ぬまで暮らす事になった。
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