10 / 15
ジュラルの想い
しおりを挟む
オレ達が起きた時には、ジュラルは姿を消していた。
証拠に、分かりづらいが道に『ありがとう』と文字が書かれている。
「一体何がしたいのよ……」
りんは声を絞り出すようにして呟いた。
「全く、そうだよ。何も言わずに飛び出して、迷惑かけて……」
揮も喋る。りんの言葉に答えているみたいだった。
オレもそう思う。もう三回目だ。
揮に二回も推理させて、その度にオレ達は振り回される。
暫くオレらはその場にいた。
気づいたときには夜だった。
いつのまにかりんも揮も、尻尾を伸ばして熟睡している。
この時も、ジュラルはいなかった。
オレはジュラルのことを考えていた。
彼は自分が人間だったと語った。恐らく今も、ジュラルは人に戻る為何かしている。
オレ達とジュラルは同じだった。あの日のあの朝、光に包まれて犬になった。
―けれど、オレ達はジュラルと違って人間に戻ろうとしていない。
そういえば、学校のみんなはどうなんだろう。オレらの事、心配しているのだろうか。
勉強は?―どこまで進んでいるんだろう。あれからかなり日にちが経った。
オレは少し心配になってきた。
知らないけど、今寝ているりんと揮も不安なのかな?
「……よし」
オレは深呼吸をする。頭の中を整理するからだ。
(今日は、もう寝よう)
背中をグッと反ると、オレは浅い眠りに落ちた。
証拠に、分かりづらいが道に『ありがとう』と文字が書かれている。
「一体何がしたいのよ……」
りんは声を絞り出すようにして呟いた。
「全く、そうだよ。何も言わずに飛び出して、迷惑かけて……」
揮も喋る。りんの言葉に答えているみたいだった。
オレもそう思う。もう三回目だ。
揮に二回も推理させて、その度にオレ達は振り回される。
暫くオレらはその場にいた。
気づいたときには夜だった。
いつのまにかりんも揮も、尻尾を伸ばして熟睡している。
この時も、ジュラルはいなかった。
オレはジュラルのことを考えていた。
彼は自分が人間だったと語った。恐らく今も、ジュラルは人に戻る為何かしている。
オレ達とジュラルは同じだった。あの日のあの朝、光に包まれて犬になった。
―けれど、オレ達はジュラルと違って人間に戻ろうとしていない。
そういえば、学校のみんなはどうなんだろう。オレらの事、心配しているのだろうか。
勉強は?―どこまで進んでいるんだろう。あれからかなり日にちが経った。
オレは少し心配になってきた。
知らないけど、今寝ているりんと揮も不安なのかな?
「……よし」
オレは深呼吸をする。頭の中を整理するからだ。
(今日は、もう寝よう)
背中をグッと反ると、オレは浅い眠りに落ちた。
10
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる