軍人と魔女

6

　この文はなにを示しているんだ。言葉の意味は分からなくはない、単語単語で意味をなんとなく汲み取ることもできる。しかし、全体としてみたときに理解ができない。

　このまま考えても答えは出ないか。私は本を棚へと戻し寝床へついた。
『明日もあの場所に行ってみるか』
そう思い目を閉じた。


　目が覚めたのは8時だった。仕事がないから気が抜けているのか普段よりかなり遅い起床となってしまった。
　服を着替え、朝食をとってから今日やろうと思っていることの必要性を考えた。どう考えても必要はない。誰かに頼まれたわけでもない、伝説ももう信じてはない。では、なぜ私は行くのだろう。

　暇だったから、という結論にしておいて自分を納得させ家を出た。

　街へ着き、いつもどおり賑わっている道を通りながら、昨日の女性を探した。今のところ手がかりは昨日僅かに見えた頬の火傷の跡だけだが、ないよりはマシといったところだ。

　30分くらい探したが、それらしきものは見つからなかった。

「失礼、マルコム殿ですか」
声をかけてくるものがいた。姿を見てすぐ国軍のものであるとわかった。
「ああ、そうだが。何か用か」
「王様から伝言を頼まれてきました」
「そうか。それで王はなにと」
「はい。二週間後の今日祝賀会を行う、とのことでした」
「そうか、伝言ありがとう」
「後日、招待状とともに時間を伝えさせるとも言っておられました」
「わかった。王に楽しみにしていますと伝えといてくれ」
「かしこまりました。それでは」

　そう言い、使いのものは足早に城のある方へと走って行った。それをしばらく見届けた後にトニーさんのところにでも行こうと酒場の方を向くと、また声をかけてくるものがいた。

「ねえ」

　誰か確認するため、後ろを向くとそこには右頬にやけどの跡がある女性が立っていた。私はあまりに急な出来事に言葉が出なかった。

「わたしには関わらない方がいい」

それだけ言うと女性は姿を消した。あまりに衝撃的な出来事に頭が追いつかなかったが、１つだけは確認できた。

　魔女はいる。