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第1節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われる復讐
8.女子高生(おっさん)のいる陰キャ男子Ⅱ
しおりを挟む「ケン、パソコンで何やってんの?」
部室内、集まった面子の中で見慣れない事をしていたケンに話しかける。PCを使ってなにやら熱心に打ち込んでいた。
「どぅふおぅっ! ア……アシュナ殿……拙者はPCで小説を書いているだけでござるよ! 決してやましい事はしておらぬでござる!」
たぶんエロサイトを見ていただろうケンを無視して思い出す。そういえばこの頃からケンはパソコンで小説を書いてたんだった。
小説と言えば原稿用紙、と古き良き概念を捨て去れなかった当時尖っていた俺は気にする事なく手書きしていたんだっけ。
スマホが普及してからは小説投稿サイトも爆発的に増加し、手軽さ故に乗り換えたけど……この時は邪道だと思ってケンを馬鹿にしてたんだった。今思うと悪い事をした、先見の明があったのはケンの方だったのに。
俺はケンの肩に手を乗せて近づいて頼んだ。
「……ケン、私にもやり方教えて」
「ぶふぉうっ!? ア……アシュナ殿! いけませぬ! 女子がそのような真似っ……!」
「女子とか関係ないでしょ。私もPCでやってみたい」
「ほ……本気ですかな? アシュナ殿……」
「勿論。やっぱり時代は受け入れなきゃ」
折角のタイムリープ、固定観念に囚われてちゃやり直してる意味がない。
かつての俺はSNSやネットなんか見向きもしなかった、唯一、小説投稿サイトには投稿していたけど……他はからっきしだった。『本当に面白い作品なら誰かが見てくれる』と、ネットで仲間内も作らず、宣伝なんかも一切しなかった。
もっとSNSで輪を広げていたなら多少は何かが違っていたかもしれない、と思う日もあった。
今こそ迎合するべきだ、使えるもんは何でも使って皆に作品を見てもらう。それで何かが変わるかはわからないけど、やれる事はやるべきなんだ。
ケン達はそんな俺を驚いた眼で見る、一歩を踏み出し始めた俺に驚いているのだろうか。
「わ……わかりましたぞ……アシュナ殿! 拙者が手とり足とり手解き致す! ま……まずはこ……こちらをクリックして……」
ケンがクリックして出てきたのはエロサイトだった。
「そっちじゃないよ!!」
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