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第1節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われる復讐

11.女子高生(おっさん)のいる家族Ⅱ

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「お姉ちゃ~ん、次はこっちだってば~」

 休日、家族でショッピングモールに来た。
 目的はなく単なる買い物の付き合い、だけどお小遣い以外で父さんに服とか買ってもらえるのチャンスなので妹は張り切っていた。

 おっさんだった時のクセで喫煙所に入ろうとしたりして怒られたりした。

 妹と母は休日しかできない家族団欒を満喫しているようだ。
 しかし俺は身体は女、頭脳はおじさんなので長い買い物は好きじゃなかった。服なんてユニ○ロかしま○らで充分だ。

 故に買い物中は自然と男同士(?)、父と二人になる事が多かった。

「アシュナ、俺が言うのもあれだが……本当に服とか見なくていいのか……?」
「いいよ、興味ないし」
「……そうか」

 口数の少ない父、男だった頃もそんなに話した記憶はない。それが女子高生となれば更に寡黙になるのも当然かもしれない。
 父親というのはそういうものなのだろう、と理解しようとも思わなかった。だが、子供はいないが父と同世代になった今ならなんとなくわかる。

 どう距離をつめればわからないのだ、俺も若い世代との接し方を常に模索している。だから決して話したくないわけじゃないんだ。常に子供の事を考えている。

 それを理解した今ならば、父とも仲良くできるかもしれない。
 そう思った俺は話しかけてみる。

「あー……ねぇ、父さん。タバコ貰っていい?」
「いいわけないだろう!! 何に影響された!? 男か!? 彼氏か!?」
「ち……違うよ、ほら。男同士腹を割って話すには酒かタバコがつきものじゃない?」
「男同士ってなんだ!? しかもそれは仕事の同僚とかと距離を詰める手段だろう?!」
「ま……間違えた。じゃあ買い物終わったら馬でも見に行こう?」
「な……なんだ、動物園に行きたかったのか……?」
「競馬だよ。今日のレース確か『クラフトライン』が大穴馬券になるはずなんだよ。二人で賭ければ」
「母さ~ん!? アシュナが変だ!! 一体なにがあったんだ!?」

 接し方を間違えたらしい、やっぱり人との距離の詰め方は難しい。

 
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