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第2節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われるデビュー

35.女子高生(おっさん)の合コンデビュー

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 小説家として、ようやく(と、いうか女子高生になってからはたやすく)表舞台への第一歩が踏み出せて浮かれていたそんな冬休みの最中……一本の電話がかかってきた。
 クラスの女子ーーギャルの【三久(さんきゅう)美咲(ミク)】……〈通称【ミクミク】〉だ。アシュナになってからも大して話したりはしてないのだが、そこは流石のギャルといった感じの距離の詰め方で当たり障りなく連絡先を交換していた。

「あー、しもー、アシュナっち。ごめんなんだけどさー……合コン参加してくれないかなーって思って。いや男は他校の奴等なんだけどさー……ウチらのメンツ揃わなくって……」
「いいよ♪」
「あーね、アシュナっちがこーゆーの興味ないってのはわかってるんだけどさー…………って、いいの!?」

~~~~~~~~~
~~~~
~~
……

 と、いうベタなやり取りを経て今日は合コン当日。
 浮かれて軽返事をしてしまった自分を殴りたい、はっきり言って行きたくない。

(おっさんが男子高校生相手に合コンするってどんな罰ゲームなんだ……おっさんズラブでもそんなシチュエーションないだろああ面倒くさい……)

 当然、合コンというものに縁などなく……初体験であるにも関わらず、それでもさほど緊張しないのはーーやはり、『女性』として参加するからだろうか。
 男だったらタイプの女性を見つけられるか、意中の女の子と上手くいくか、などと試行錯誤しなければならないが……今や俺は女の子。追われる側である。勿論、俺は男に興味などないので……単なる食事会と同義。

(費用はあっち持ちらしいし……まぁ、タダ飯食らって帰ろうーー)

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 ーーなどと、気楽に待ち合わせ場所に向かい、ミクミクと合流した俺に面倒なミッションが課せられる事になった。

「もぅ~……どうしてアシュナちゃんを呼ぶのさ~……」
「ごめんってば、でもアシュナっちは男に興味ないから大丈夫だって」

 ミクミクの他に、もう一人女の子がいた。同学年の別クラスの女子ーー名前は【早苗(さなえ)エナ】。ギャルのミクミクとは正反対といっていい真面目そうで大人しそうな感じだ。別クラスなために、前世でも会った記憶もない完全な初対面。

「ごめんねアシュナっち、エナは奥手でさ~……一目惚れしたって男と仲良くなりたいって言ってて~、それで協力してほしいんだよね」

 要約すると……二人は幼なじみで、臆病なエナのためにミクミクがセッティングしたのが今回の合コンーーつまりは意中の男子とエナをくっつけるために用意された場というわけだった。
 だが、エナはというと……俺(アシュナ)の登場により自信を無くしていた。どうやら、意中の男が俺(アシュナ)に惚れてしまうと懸念しているらしい。

「だからさっ、アシュナっちゴメンだけど嫌われる感じでいってくれないかなー……?」

 ミクミクが申し訳なさそうに、両手を合わせて頼み込んできた。つまりは引き立て役に徹してほしいという事らしい。
 まぁ、もともと男に興味はないし……何より、冬とは思えないギャル特有の薄着で谷間を見せるミクミクに免じて了承する。

 こうして、キューピッド大作戦の行われる合コンへ向かった。

                    〈続く〉
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