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第2節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われるデビュー
49.女子高生(おっさん)のタイムリープ問題
しおりを挟むその後、大盛況の中……帰る時間なので各方面に惜しまれつつも俺達は帰路についた。
なんかメイドカフェ店長が時給2万円にするから専属メイドになってほしいとせがんできたり、TVクルーがアイドルや女優としてデビューさせる計画を練ってたりして大変なことになりそうだったので逃げてきた。
「すー……すー……」
めらぎは電車で座るなり直ぐに寝てしまった。
本当はコスプレさせたりラジカン行ったりラーメンか肉盛り食べさせたりしたかったけど……色々あって疲れてしまったのだろう。だけど満足気な表情で嬉しそうに俺の肩にもたれかかっているし楽しんでくれたみたいだからとりあえず胸を撫で下ろす。
(また今度一緒に来よう)
秋葉原が更に賑わいを増すのはこれからだ、それはアキバやオタクが主役となり舞台となる『ある物語』が一般にも知れ渡り大ヒットするのが原因ーーその名も【電車巫女男(でんシャーマン)】。
某大型ネット掲示板発祥のこの物語は、映画化されるや一大ムーヴメントを起こし、関連書籍は500万部越え、翌年TVドラマ化されると瞬く間に秋葉原とオタク文化を一般層に馴染ませた。
あらすじとしてはーーとある冴えないオタクでアキバ系サラリーマンである主人公が、電車の中で酔っ払った中年から巫女さんを助ける事で始まる実際に起きたラブストーリー。友達がいなく、恋愛経験もない主人公は某大型ネット掲示板に出来事を書き込み、掲示板住人に助力を乞う。様々なアドバイスを受けながら奮戦する主人公と、実は良い家柄の出で優しい巫女さんとの恋愛劇……おっさんの時代の掲示板でも伝説と化している。
(懐かしいな……帰ったらまとめでまた読んでみよう……ってそういえばまだこの時代では起きてなかった……さっきも勘違いしたけど気をつけないとな……)
めらぎがまだアニメに精通してなかったから誤魔化せたもののーーうっかりネタバレや未来の出来事を口にしてしまうと些細なきっかけで未来が変わってしまうかもしれない。特に俺(アシュナ)の場合……周りがアシュナのために凄い行動を起こすからうっかり第3次世界大戦を引き起こす可能性だってあるかもしれない。
注意しなければなるまい、と気を引き締めると同時に電車に人が乗り込んできた。
俺の隣は空いていた、そこに巫女の格好をした女性が座る。東京では見慣れた光景なので、おっさんは(可愛い巫女さんだなぁ、おっさんの隣に座ってくれてありがとう)と、女性が隣に座ってくれるのに慣れていないので緊張しながらも感謝した。
目の前にはオタクっぽいサラリーマンが立っている。
そして電車が走り出すと同時に、酔っ払った中年が乗客に絡み出した。
どっかで見たような光景だな、と思いつつーーおっさんはお嬢様と巫女に挟まれ、二人の良い香りを堪能していたので油断していた。
〈続く〉
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